発達障害・自閉症スペクトラムの息子は新1年生ですが、コロナの影響でまだ学校が始まっていません。幼稚園のご厚意で学校が始まるまで登園する予定です。最近食べなれた給食を毎回戻してしまうことが続いていて、私も先生方も本人も困っています。
6歳・男の子のママ
毎回給食を吐いてしまうのは心配ですね。食べなれているものを吐いてしまうということで、ストレスの可能性が高いのではないでしょうか。お母さんと先生にしていただきたい対応についてお伝えします。
発達科学コミュニケーションリサーチャー 丸山香緒里
【目次】
1.毎日給食を吐いていた発達障害・自閉症スペクトラムの息子
2.家では大丈夫なのに園では吐いていたワケ
3.息子のプレッシャーを取り除くために先生にお願いしたこと
①いちいち報告不要!
②吐いてもスルーして!
4.「ハンバーガー、おいしかった!」再び給食が楽しめるように!
1.毎日給食を吐いていた発達障害・自閉症スペクトラムの息子
毎日給食を吐いてしまうのは心配ですよね。まずは病気の可能性がありますから、病院を受診してみましょう。
病気でないならまずは一安心。吐いてしまう原因は
・食べ過ぎ
・嫌いなものを吐き出した瞬間に全部戻してしまう
・ストレス
などいろいろ考えられます。
特に発達障害・グレーゾーンの子どもたちは、感覚が鈍感で満腹を感じにくく、ついつい食べ過ぎてしまったり、逆に口の中が過敏で苦手な食べ物・触感の感覚を過度に受け取ってしまったりする子がいます。
また、不安が大きかったり、環境の変化になかなか慣れなかったりして、ストレスも受けやすい特性です。
私の息子も新1年生。発達障害・自閉症スペクトラムの診断があります。我が家も相談者さんと同じくまだ学校が始まっていません。
息子の場合は通いなれた放課後等デイサービスにお世話になってしますが、やはり3月末から給食を吐いてしまう日々が続きました。
今思うと、3月の中旬に行ったお別れピクニックがきっかけになったような気がします。
3月末で引っ越しされるご家庭もあり、「みんなで最後のピクニック!」と楽しみにしていたのですが、お弁当タイムで戻してしまったのです。
先生方からは、「暑かったので水分を取りすぎてしまったのかも…次回のお弁当は量を減らしてみてください」と言われたのですが、その日をきっかけに給食でも吐くようになってしまいました。
大好きな麺類も戻してしまったり、卵焼きを一口かじった瞬間に戻してしまったり、先生からは「吐くことが癖になってしまっていませんか?おうちではどうですか?」と相談がありました。
本人もプレッシャーを感じたのか、給食の話題は一切しないようになっていきました。
2.家では大丈夫なのに園では吐いていたワケ
園で毎日のように吐いていた頃、家ではどうだったのかというと…モリモリ食べていたんです。
朝食はいつも通り食べ、
給食は吐いてしまい、
おやつはモリモリ食べ、
夕食もモリモリ。
家では全く吐くこともなく、夕食ではお代わりまでする息子の姿を見て、「これはストレスだ!」と確信!
幼稚園で吐いてしまっていた理由、それは吐いた日の先生と私のやり取りではないかと考えました。
先生:「お母さん、今日も息子君戻してしまって…(息子に向かって)息子君、もう1年生のお兄さんだから、おやつだけじゃなくて給食も食べないとだめだよ。大きくなれないよ」
私:「そうですか…家ではモリモリ食べてるんですけど。今日の給食は何でしたか?」
先生:「今日は焼うどんでした。息子君、うどんは大好きなはずなのに一口目でだめだったんですよ。どうしたのか聞いたら『麺が長くて…』って」
毎日のように、私と先生が息子の目の前でこんな会話を繰り広げていました。
もう1年生ですから、息子も吐かずに食べなければならない、ということはわかっています。そんな息子の前でのこの会話はプレッシャーにしかならなかったはずです。
デイの先生方も、もちろん悪気があって報告されていたわけではありません。
特に息子は1年生になるということもあり、
吐いてしまうと幼稚園の頃のように着替えたり先生が片付けてくださったりするのが難しいかもしれない
お友達から「息子君は吐くから一緒に食べたくない」と言われてしまうかもしれない
という心配から、なんとか吐かずに食べられるようになってほしい、お母さんにも対応してほしい、と思ってくださっていたのです。
3.息子のプレッシャーを取り除くために先生にお願いしたこと
息子が吐いてしまう原因がストレスだと考えた私は、どうしたらストレスを軽減できるか考えました。
◆①いちいち報告不要!
まず、デイの先生方には吐いたという報告はいらないと伝えました。
以前のような会話は息子に聞かれたくありませんでしたし、連絡帳も息子は読めるので察してしまいます。
その頃は、少量でも吐かずに食べられた日は息子本人から「今日は食べられたよ!」と報告があり、吐いてしまった日は報告はない、という状況でした。先生から報告を受けなくてもその日どうだったのかは予想がついたのです。
◆②吐いてもスルーして!
次にお願いしたのが、息子が吐いてしまってもとにかくスルーしてほしい、ということです。「1年生なんだから食べようね」という話は一切しないでほしい、と伝えました。
トイレに行けたときは、帰ってきたら「ハイハイおかえり~」ぐらいの声かけで構わないと伝えました。
とにかく、「吐く」という言葉を出さないようにお願いしました。
家でももちろん「今日は大丈夫だった?」なんて聞かないようにしてみました。
4.「ハンバーガー、おいしかった!」再び給食が楽しめるように!
この対応を10日ほど続けたある日の帰り道、息子が嬉しそうに
「今日はね~ハンバーガーだったんだよ!おいしかった!レタスも全部食べたんだよ」
と報告してくれました。
給食の話題を出すのは「今日は大丈夫だったよ」という報告だけだったのが、メニューや感想も言ってくれたのです!息子が再び給食を楽しめるようになった瞬間でした。
それから、給食を吐くことはなくなりました。
もちろん先生方には、量は少なめにしていただくこと、残してもOKとしていただくことなどをお願いしていますが、先生方も私も、そして息子本人も、小学校入学前にひとまず落ち着くことができてほっとしています。
幸いなことに、入学してもコロナウイルスの影響でしばらくは給食なしの午前授業ということになりましたので、給食の心配もひとまずなくなりました。
相談者さんも、今の状況は、息子さんがかわいそうだったり、先生方に申し訳なかったりしていたたまれないと思います。
だからといって「しっかり食べようね」というのはプレッシャーにしかなりませんし、「どうしてちゃんと食べないの!?」と叱ることに何のメリットもありません。
吐くことは生理現象、息子さん本人にもコントロールが難しいのです。
しっかりスルーしてプレッシャーをかけないように。そして必要であれば幼稚園もお休みしておうちでゆったり過ごしてみてくださいね。
小学校入学準備についてはこちらの記事で解説しています。お子さんのプレッシャーを取り除きながら、「小学生、カッコイイ!」と思えるようになるための対応が分かりますよ!
執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)