発達障害・ADHDタイプの息子と朝から一緒の生活は、自分でも嫌になるくらいイライラしてばかり。家事も適当にして楽にしているつもりですが、一日一回は感情的に怒ってしまいます。親の私の感情のコントロール方法はありますか?
9歳・男の子のママ
うちの息子も発達障害・ADHD傾向があります。家で毎日朝から晩まで一緒にいると、イライラすることもありますよね。私が、感情的に怒ることをやめたきっかけと方法をお伝えします。
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 秋村若菜
【目次】
1.発達障害の子どもに対して感情のコントロールが必要だと痛感した私
2.今までのやり方を変えるために受け入れることは⁉︎
3.感情的に怒らないでコントロールする方法
◆ポイント①自分の感情を掘り下げる
◆ポイント②自分の感情を心の中で唱える
◆ポイント③お○○○を伝える
1.発達障害の子どもに対して感情のコントロールが必要だと痛感した私
学校休校が終わり再開した今でも多いご相談が、子どもに対してお母さんがイライラして感情的に怒ってしまうこと。3月から5月いっぱいは、一日中家で一緒でしたから、イライラする場面は多かったですよね。
私は、中学生の一人息子に対して、今ではイライラしたり感情的になることはありませんが、息子が小さいときは常にイライラしていました。感情的になって怒ることもしょっちゅう。でも、ある日を境に、私は感情的に怒ることをやめました。
ご相談への回答として、私が怒らなくなったきっかけや方法をお伝えさせていただきますね。
きっかけになったのは、息子が小学3年生のとき。発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向がある息子は、学校に行くと帰宅後は機嫌が悪く、いつもヘトヘトに疲れていました。
集団でのコミュニケーションが苦手で、友達と遊びたくても喧嘩が多かったからです。
ある夏の夜、息子の着替えを手伝っていたときのことです。下着を出してあげる際に、誤ってヒラッと冬用の暖かい素材の下着を落としてしまいました。息子はサッとその冬の下着を履きました。
私は息子へ、夏用の下着に履き替えるよう伝えました。暑苦しい夜でしたので、一度寝たとしても途中で「暑い!」と起きてしまうことを避けたかったからです。なかなか動かない息子へ、私は何度も指示をしました。
この日も学校で疲れ切っていた息子は、一度履いたら面倒だと思っていたのでしょう。激しく反発しました。
息子は、とても暑がりで、後から暑くて痒くなるかもしれない。すでに違和感があるかもしれないと思い、私は息子のためだからと「今すぐ履き替えなさい!」と命令しました。
すると急に息子は泣き出して、「ママひどい!」「暑いかどうかを決めるのはママじゃない。僕の体のことは僕が決めるんだ!」と訴えてきたのです。
そのときはすでに23時。疲れきった息子の必死な姿を目の前にして、息子をコントロールするのでなく、私が自分の感情をコントロールしなければ!と痛感しました。
2.今までのやり方を変えるために受け入れることは⁉︎
言語化が苦手な9歳の息子。悲痛な訴えを聞いたこのときが、私が対応を変えるターニングポイントでした。
今までの私は、指示が通らないならば、怒りの感情を使ってでも自分の言うことを聞かせようとしていました。自分の考えが絶対に正しいと思っていたからです。
でも、子どもの感覚は親の私でも実際にはわかることはできません。暑いかどうかは本人次第、履き替えるか?面倒だからこのままでいるのか?も本人が決めればいいことでした。
それまで私は、感情的に怒りたくない!と思っていてもなかなか変えられませんでした。イライラや怒りの感情を抑えることは難しいからです。私はこうして、対応を変えていく決意をしました。
次に、私が取り組んだ感情のコントロール法をお伝えしますね。
3.感情的に怒らないでコントロールする方法
感情的になる自分をやめると決意してから、どのような方法で感情コントロールをマスターしたのか?3つのポイントに分けてお伝えしますね。
◆ポイント①自分の感情を掘り下げる
イライラしているとき、心の奥に感情があるはずです。その場ではただ「イライラしている」と認識されがちですが、もっと奥の感情を掘り下げます。
例えば、下着を履き替えて欲しかったとき、
・私は今、怒っている。言うことを聞いて欲しい。
・でも聞いてもらえなくて悲しい。
・そもそも間違えて落としてしまったのは自分。自分が嫌になってしまう。
・夜中に「暑い!」って癇癪起こされたら怖い。
・対応が大変。毎日毎日へとへとだ…。
このように感じていた自分を俯瞰して、感情を言語化します。
大事なことは、悲しい・寂しい・不安・恐怖といった一次感情を探ることです。自分の心の奥では、こんな風に感じているんだな…って自分のことを分かってあげるのです。
◆ポイント②自分の感情を心の中で唱える
イライラしたり怒ってしまうときは、脳のキャパシティが小さいとき。疲労の蓄積や寝不足のときなど、感情的になってキツイ言葉を選んでしまうのは、キャパシティが小さくなっていたためです。
そして、イライラを防ぐためには、キャパの容量を増やしたら良いです。その方法は、ポイント①で確認した自分の感情を、口には出さないで頭の中で唱えること!
いつもイライラしてしまうシチュエーションで、ひたすら心の中だけで感情を味わい続けます。この時間は多くても10秒くらいです。
この繰り返しで、怒りのスイッチを瞬間的に押さなくてすむようになります。日頃から、自分の考えや感情を振り返って頭の中で言語化していくことで、10秒がもっと長くなり感情的に怒ることが減っていきます。
はじめは訓練が必要ですが、ぜひ取り組んでみてください。
◆ポイント③お○○○を伝える
子どもへ感情をぶつけるということは目的があるから。その目的を達成するために怒りを使って子どもをコントロールしようとしているのです。
ポイント①の感情と一緒に、叶えたい目的も探っていきます。そして自分はどうしたいのか?を、そのまま伝えていくだけで良いのです!私の場合は、下着を履き替えてほしいという目的がありました。
具体的な伝え方は
「それは冬用の下着だよ。暑くてよく眠れなかったら困ると思うから、着替えてもらえる?」
「暑くなったら、こっちの下着に取り替えてね」
「念のため、枕元に置いておくね」
という感じで、お願い口調にします。
着替えるかどうかは本人の感覚次第。履き替えて欲しいという親の想いを聞きいれてもらいたいなら、子どもへお願いをするのです。断られた場合は、怒りを使って無理に相手を操作せずに、スッと引きましょう。予め、断られる覚悟を持っておくと良いですね。
こうして私は、自分の感情を取り扱えるようになり、息子への対応を変えることができました。可愛い小学生時代、お互いの心を大切に過ごしたことで、発達障害の特性による困りごとは感じなくなりました。
息子は今、中2の思春期。私が感情のコントロールを身につけたことが大いに役立っています!
息子はイライラすることはあっても「さっきは腹たって仕方なかったけど、本当は○○して欲しかったんだ」というように自分の感情を言語化することが日常的になっています。
また、怒りが湧いてきたとしても感情を頭の中で唱え続けることを学び、学校では、小学校のようなトラブルは起きていません。私の取り組みは、息子の感情のコントロールにも繋がっていたというわけです!
今までのやり方を変えることは難しいものですね。でも取り組み甲斐は絶対にあると思います。子育て期間を楽しむためにも、お母さんの感情のコントロール法を決意と日頃の意識で、ぜひ身につけましょう!
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執筆者:秋村若菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)