いよいよ半年後に迫った、小学校入学。発達障害・グレーゾーンのお子さんをお持ちのお母さんは何かと心配が尽きませんよね。小学校入学準備で最も大事なことは…「学校を好きになること」!学校見学の際に意識していただきたいポイントをまとめました。 |
【目次】
1.発達障害の子どもの小学校入学で最も大切なこと
2.小学校入学準備は気持ちの準備!
3.超スモールステップ!小学校が好きになる学校見学
STEP1:小学校の存在を教える
STEP2:学校の敷地内に入ってみる
STEP3:イベントに参加する
STEP4:オープンスクールに参加する
4.お母さんも小学校入学を楽しみにすれば準備は完璧!
1.発達障害の子どもの小学校入学で最も大切なこと
来年春に入学を控えている年長さんをお持ちのお母さん、小学校入学に向けてさまざまな準備をされているかと思います。
発達障害やグレーゾーンのお子さんをお持ちのお母さんは、もしかしたら楽しみよりもご心配や不安の方が大きいかもしれません。
私の息子は、現在小学校1年生。発達障害・自閉症スペクトラムの診断があります。
私もちょうど昨年の今頃、「この子は小学校でうまくやっていけるだろうか?」と不安で仕方ありませんでした。
発達障害のなかでも、自閉症スペクトラムタイプのお子さんは入学準備をしっかりとした方がいいと言われています。その理由は、
・環境の変化が苦手で新しい環境になじめるまで時間がかかる子が多いから。
・見通しを立てることが苦手な子が多いから。
見通しを立てることが苦手でも、ルーティンやマイルールがあると落ち着いて行動できる子もいます。
小学校に入学すると、幼稚園時代のルーティンは通用しません。慣れない環境の中で、新たなルーティンを作っていく…考えただけでも大変そうですよね。
当然、ルーティンができあがるまでは不安が大きくなったり、落ち着いて行動できなかったり…ということも考えられます。
うまく行かないことが続くと、「学校に行きたくない…」と登校渋りする原因になってしまいます。
そこで大事なのが、「小学校って楽しそう!大好き!」とお子さんに思えるように入学準備をすることなんです!
小学校入学準備といえば、ひらがなや数字など、お勉強の準備をしたり、生活リズムを整えたりすることを想像されるかもしれません。
確かにお勉強や生活リズムは大切ですが、その根本にあるのが、「学校が楽しみ!」という気持ちややる気です。
「小学生になるんだから、早く起きなさい!」と言われるよりも、
「小学校に行ったら○○するんだよ、早く学校に行きたいねぇ」という風に、楽しみを交えて声をかけた方が、早起きしたくなりますよね。
これは、入学してからも同じです。
小学校って楽しそう!と思うことができれば、どんなことも積極的に、楽しく取り組むことができるんです!
2.小学校入学準備は気持ちの準備!
小学校って楽しいものだとインプットしたい。
とはいえ、「今」を生きているタイプのお子さんは、未来を想像することが難しいですよね。
また、ルーティンで安心する自閉症スペクトラムタイムのお子さんに、変化を伝えること自体、「パニックになったらどうしよう…」と躊躇してしまいます。
私の息子は、目に見えないもの、経験のないことを想像することが苦手。「幼稚園は3月でおしまい。4月からは小学校に行く」ということがピンと来ていない状態でした。
息子の特性に加えて、
・小学校は家からも幼稚園からも遠く離れた場所にある
・小学生が通学しているところなんて見たこともない
・小規模の幼稚園なので去年は卒園生がおらず、卒園式もなかった
など、子どもが自然に小学校に意識が向く、という環境ではありませんでした。
このように、小学校に関する意識が向いていない状態で、ランドセルを購入したのですが…
当然、「どれでもいい」と興味なし!背負ってみても「重いからもうおしまい」と言い出してしまいました。
この状態のまま就学説明会など、本格的に入学に向けて動き出したとしたら…?
なんで小学校なの?
幼稚園にはもういけないの?
大好きな○○先生にも会えないの?
と息子が混乱することは目に見えていました。
この混乱が解消されないと、「小学校ってよく分からないし、イヤだ!行きたくない!」となってしまうのでは?と思った私は、すぐに対応することに決めました。
3.超スモールステップ!小学校が好きになる学校見学
目に見えないもの、経験のないことを想像できない、息子と同じタイプのお子さんに有効な方法。
それは実際に学校見学に行って、小学校を見せることです。
入学まであと半年。実は時間に余裕があるとはいい難い状況です。
入学までは半年ですが、これからどんどん入学関連の行事が入ってくるからです。就学説明会や就学前の健康診断なんかもそうですよね。
とはいえ、いきなり見学をお願いするのはNG!今日から段階を踏んで進めましょう。
◆STEP1:小学校の存在を教える
そんなの知ってるよ!と言われるかもしれませんが、改めて伝えてみましょう。
通学中のお兄さんお姉さんを見かけたら、「小学校のお兄さんだ!かっこいいね!」と声をかけたり、小学校の近くを通ったら、「4月からここに通うんだよ!楽しみだね!」と教えてあげてください。
まずはお母さんのストレートな声掛けで、「小学校=カッコいい、楽しい」とイメージを持たせることが大切です。
ただでさえ環境の変化が苦手なタイプのお子さんですから、ポジティブなイメージを持たせることで不安感を和らげることができます。
我が家のように学校が近所になく、通学の風景を普段目にすることがない、という方は、絵本や通信教材を利用するのもひとつの手です。
しかし、「実際に通う」小学校を目にするということは、環境の変化が苦手な子にとっては大切な準備になります。
普段は絵本や教材を利用しつつも、意識して実際に目にする機会を作ることをオススメします!
◆STEP2:学校の敷地内に入ってみる
これは地域によってできる学校とできない学校があるかもしれません。もしできるのであれば積極的に小学校の敷地内に入ってみてください。
ただ、不安感の強いお子さんだといきなり小学生がいるところに連れていくのはハードルが高いかもしれません。もし可能であれば、休日に校庭の遊具で遊ぶところから始めましょう。
とにかく楽しいイメージをインプットすることが大切です。
最初から授業の風景を見せてもピンとこない子がほとんどです。「自由に遊べないの?」なんて思ってしまうと、「やっぱり幼稚園がいい…」となってしまうかも!!
放課後や休日に小学校の遊具で遊べるなら、ぜひ公園代わりに行ってみるのも手です。
小学校の遊具は、幼稚園や公園の遊具より充実しているケースが多くあります。外遊びが好きなお子さんには特におすすめです!
◆STEP3:イベントに参加する
小学校に入ることにに抵抗がなくなったら、イベントに参加してみましょう!
これからの季節、文化祭や音楽発表会などで一般の方が小学校に入れる機会が増えます。校舎のなかに入れる貴重な機会、ぜひちらっとでもいいので教室をのぞけたらいいですね。
イベントは普段と違って人の出入りが多いのですが、とにかく学校全体の雰囲気が楽しさにあふれています。「小学校って楽しいんだな♪」ということを、子どもが肌で感じることができます。
私の息子は、バザーでおもちゃを買ってあげたところ、一気に小学校に対してポジティブな印象を持ったようです。もし何かねだられたら、チャンス!と思って可能な限りかなえてあげてください。
そして、可能な限り写真や動画で記録を残しておきましょう!あとから見返しながら「小学校に行って楽しかったね!」と声をかけることで、楽しかった記憶がどんどん強化されていきます。
◆STEP4:オープンスクールに参加する
イベントの一種なのですが、どちらかというと「授業参観」に近い学校が多いです。だれでも自由に校内に入って授業を見学することができます。
オープンスクールでは小学校に入ってからの「日常」を見せることができます。環境の変化が苦手な自閉症スペクトラムタイプの子どもたちには欠かすことのできないステップです。
「小学校に入ったらお勉強するんだよ」と伝えているお母さんは多いと思います。
それに加えて、実際に見せてあげることで、こんな風にお勉強するんだな、と視覚的に理解することができ、見通しが立ちやすくなります。
ただし、授業を見せるわけですから、イベントのような楽しさはあまりありません。
この段階までに「小学校って楽しそう!」「お勉強するのってカッコイイ!」というイメージをしっかりインプットしておくとスムーズにいくはずです。
もしオープンスクールが開催されていない場合は、学校に個別で見学できないかお願いしてみてください。日時をお任せすれば、断られることはまれだと思います。
ここでご紹介したのはあくまでも一例です。
学校によって開放ルールも、行事も、オープンスクールも異なります。
授業を見せるはずのオープンスクールで、自由に遊具で遊べる可能性もゼロではありません。
お子さんのタイプと、学校の状況に応じて作戦を考えてみてください。
4.お母さんも小学校入学を楽しみすれば準備は完璧!
スモールステップで学校見学を進めていくことで、子どもは少しずつ小学校を意識し、入学後の見通しを立てることができます。
子ども自身が小学校の楽しさを知り、小学生のお兄さん・お姉さんに憧れたら、この半年間はワクワクしながら入学を待つことができます。
そのために最も大切なのは、お母さん自身が小学校入学を楽しみにすることです!
子どもは小学校のことは何も知りません。一緒に小学校に行ったとしても、これが楽しいのか、カッコいいのか、子ども自身は判断できません。
ですから、子どもはお母さんの反応を見ているんです!
お母さんが「この学校、イマイチだな」とか、「この学校でうちの子はやっていけるのかしら…」というネガティブな思いを抱いていれば、子どもは不安になります。
反対に、お母さんが「超楽しそう!」と思っていれば、子どももワクワクしてくるはずです!
学校見学、といえばご心配なことは多いと思います。でも、お母さんの気持ちは子どもにそのまま伝わってしまいます。ですからあえて、
「ヨッシャー!今日は小学校行っちゃうぞ♪」
ぐらいの高いテンションで見学した方が、子どもに小学校のポジティブなイメージをインプットすることができますよ!
ぜひ、今日から少しずつ進めていきましょう!
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)