発達障害・グレーゾーンの子どもが学校という学びの場で成長するには一人ひとりにあった学びのスタイルやサポートが必要だと考えられます。発達凸凹の子どもの学びの場についてアンケートを実施しました。 |
・調査期間:2021年9月19日~9月23日(4日間)
・回答者:パステル総研読者/基礎講座の受講経験がある・現在受講中の方/発達科学コミュニケーショントレーナーのメルマガ読者/nicotto塾生
発達科学コミュニケーショントレーナーのセミナー受講者/発達科学コミュニケーショントレーナー・リサーチャー 194名
・調査方法:インターネット調査
【目次】
1.現在の在籍級に不安を感じているお母さんは約7割!
2.普通級で在籍級に不安がある理由の第1位は「学習の遅れ」
3.支援級で在籍級に不安がある理由の第1位は「進学先が限られるから」
4.在籍級からの転籍を考えているのは約4割
5.大切なのは発達障害・グレーゾーンの子どもが成長できる対応をできるお母さんになること
1.現在の在籍級に不安を感じているお母さんは約7割!
今年度も残すところ4か月となりました。
子どもの発達の遅れや困りごとが分かるのには個人差があるため、就学先の決定や転籍に悩む時期やそのための情報を集める時期も同じという事はありません。
教育委員会も関わることなので学校とのやり取りで決められることでもないので早めの情報収集や相談が必要となります。
4月の新学年に向けて
・現在は普通級に在籍しているけれど学校生活の様子から困りごとがでてきて支援級に転籍するか
・このまま普通級で過ごしたいけど不安がいっぱいある
・支援級に在籍しているけれどこのまま支援級で良いのだろうか…
などと、お子さんの今の状況と先の未来を考えて、悩みを抱えているお母さんが沢山いると思います。
パステル総研では、もうこんな風に悩むお母さんを生み出さない!ために今回、「発達凸凹キッズの学びの場について」のアンケートを実施しました。
今回のアンケートに答えていただいたお子さんに関するデータについてお伝えしていきます。
最初に、現在の在籍級に不安があるかという回答です。
現在の在籍級に不安があると答えた方は72%でした。就学後に在籍級に悩んでいる・不安に感じているお母さんが7割以上という事が分かりまました。
就学前に悩んで決めたけれど不安を感じている方と就学後に学校生活での困りごとがでてきて悩んでいる方がいると思います。
実際に、学校生活を送ってみないと分からないことや新たに出てくる困りごともあるからこそ、今の在籍級で大丈夫だろうか…という不安がでてきているのではないでしょうか。
次に学級別の別に見ていきます。
普通級に在籍している方の「不安がある」が57%と半数以上であることが分かります。
一方で、支援級に在籍している方は「不安がある」と「不安がない」はともに14%と同じ割合です。
学級の違いで不安を感じる割合が異なっているのはどうしてでしょうか。
それは、発達凸凹により困りごとが生じても一人ひとりのペースに合わせることが難しい普通級とお子さんの発達に合わせたカリキュラムで指導を末うことができる支援級の違いがあるからではないかと考えられます。
では、どのような不安を感じているのでしょうか…学級別に普通級、支援級の順番で解説していきたいと思います。
2.普通級で在籍級に不安がある理由の第1位は「学習の遅れ」
お子さんが普通級に在籍しているお母さんに、不安に感じる理由を選んでもらいました。結果は以下の通りです。
第1位は「学習の遅れ」です。その他の記述には、
・板書が苦手
・授業の理解度や授業の遅れ
という声もいくつかありました。
これも「学習の遅れ」に入ることから、このまま普通級に在籍していたらますます学習についていけなくなってしまうという不安がとてもあることが分かります。
発達凸凹の特性から、学校には行っているけれど学校の授業の進む速さについていけないとお子さんはどうなるでしょう?
授業に出ていても「分からない」から「やりたくない」という気持ちに変わり、その気持ちが「自分はダメだ」と自信を失くしてしまうことにつながってしまいます。
そうすると、学習意欲がますます下がり、どんどん学習の遅れが出てしまう、または登校しぶりや不登校という「二次障害」と悪循環につながる恐れもあります。
実際に不登校になると、学校での学習を自分ですすめない限り、学習に遅れがでてしまいます。しかし、家庭学習で学校の学習に合わせて行うことは難しいですよね。
不安理由の記述に「不登校や登校しぶり」という声も何件かありました。すでに登校しぶりや不登校になっていると、おのずと学習の遅れが気になるのが親の気持ちだと思います。
小学校卒業後の中学や高校進学を考えると、学校の学習をきちんと身につけたいと心配になるからこそ「学習の遅れ」が1番の不安理由になるのだと言えます。
では、心配ごとの学習の遅れをどのようにサポートしたらよいのでしょうか?頭を抱えているお母さんもいるかと思います。
そこで普通級で頑張る発達障害・グレーゾーンの子どもに、お母さんができる学習サポートについての記事を2つご紹介します。
1つ目はこれから迎える冬やすみをお子さんの学習の遅れを取り戻すチャンスにできる記事です。
そして2つ目は学習が苦手なお子さんの勉強の意欲を引き出すためにお母さんができる対応が分かる記事です。
3.支援級で在籍級に不安がある理由の第1位は「進学先が限られるから」
次に、支援級に在籍していて不安に感じる理由を選んでもらいました。結果は以下の通りです。
「進学先が限られる可能性がある」 「学習内容の偏りや進度の遅れが気になる」、という事に不安を感じている方が多いようです。
学習の進度が遅れれば、中学や高校と言ったこの先の進路の選択肢がせまくなってしまうと考えると、普通学級で学年に添った学習をしたいという思いが感じられます。
4.在籍級からの転籍を考えているのは約4割
現在の在籍級からの転籍を考えているのは36%と全体の約4割という結果になりました。
不安を感じているけれど、今の学級で学校生活を送りたいと考えている方が多いという事がわりました。
不安があるから学級の転籍を考えるのではなく、何か他のサポートを知りたい、サポートをしていきたいという事なのではないかと思います。
転籍について学級別に詳しく見ていきたいと思います。
どの学年も「考えていない」が多く、全体では76%となっています。
「いずれまたは中学から転籍したい」、「来年度の4月から転籍すると決めている」は1割程度という結果から、在籍級に不安はあるが転籍を考えている方は少ないということが分かります。
不安だから支援級に…と漠然と考えられることではないということですね。
不安があるけど今のまま普通級で過ごすにはどうしたら良いのか…それには、発達障害・グレーゾーンの子どもが普通級で過ごすために母さんができるサポートが必要になります。
そこで紹介したいのがこちらの記事です。
夏休みに実践した記事ですが、まもなく始まる冬休みに良好な親子のコミュニケーションをとる参考にしてみてください。
次に支援級から普通級への転籍についてみていきます。
転籍は考えていないが49%と約5割、転籍を考えている項目を3つ合わせると49%と約5割という結果になりました。
支援級でお子さんの発達に合わせたカリキュラムで安心と考えているお母さんとお子さんの成長具合や特性によっては普通級のほうで伸ばしていきたいという思いが伺えます。
また、不安の理由にあるように今後の進学先の選択肢を広げたいという思いがあることが分かります。
5.大切なのは発達障害・グレーゾーンの子どもが成長できる対応をできるお母さんになること
このような結果から、就学後の現在の在籍級によって不安と感じることや先を見据えた考えも異なるという事が分かります。
発達凸凹と言っても一人ひとり困りごとも違えば成長のスピードも違います。
だからこそ、その子一人ひとりに適した対応をお母さんがお子さんと一緒に考えて実行できることが一番なのではないかと思いました。
特に普通級で頑張っているお子さん、これからも普通級で頑張っていきたいというお子さんには学習面のほかにもサポートが必要ではないでしょうか。
そこで二次障害を防ぐための対応や高学年のお子さんへの対応など心のサポートについて2つの記事をご紹介します。
学習の遅れを取り戻すのも大切ですが、子どもの心が壊れてしまっては学習意欲を引き出すこともできませんよね。
高学年になればなるほど、自分と周りの違いに気が付いて苦しくなったり、自信を失うことも増えていくことも多くなります。
そのような時に、お母さんが上手にサポートできたら親子で乗り越えることもできると思います。
そして最後に紹介するのは、先生や学校を味方につけて、発達障害・グレーゾーンの子どもの学校生活をサポートしてもらえる方法をお伝えする記事です。
こちらの記事は、どのようにしたら学校や先生に上手くお子さんの事やしてほしいサポートを伝えられるかという事を教員の先生をしている方が書いてくださっています。
学校の先生にどのように相談したらよいかと悩んでいらっしゃる方は、こちらを参考にしてみてくださいね。
いかがでしたか?ご自身のお子さんの心配事と当てはまることがありましたら、文中の中で紹介した記事をご覧になって参考にしてみてください。
パステル総研にはたくさんの悩み事を抱えながらも親子のコミュニケーションを整えながら一歩一歩進んでいったお母さんたちが沢山います。
諦めずに自分のお子さんに合った対応方法を見つけて、発達障障害・グレーゾーンの子どもの成長をサポートしていきましょう。
発達凸凹と言っても一人ひとり困りごとも違えば成長のスピードも違います。だからこそ、その子一人ひとりに適した対応ができるお母さんになることが一番大切なのではないかと思います。
お子さんの学校生活を自信を持ってサポートできるお母さんが増えることを願っています。
執筆者:さとうみな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)