吃音が出ないように話し方の工夫を教えていませんか?実は吃音を隠そうとすればするほど吃音は悪化し、逃れられなくなる負のスパイラルに陥ります。吃音の出始めこそママの対応が重要です。お家でできる吃音を治す方法をお伝えします。 |
【目次】
1.吃音っ子に吃音が出にくいように話し方の工夫を教えていませんか?
一生懸命話してくれるけど、何度も吃音が出てかわいそう…なんとかしてあげたいと思って、
「深呼吸してごらん」
「ゆっくり話してごらん」
など、アドバイスされている方いませんか?
吃音はたくさん出る時と出ない時の波があります。
しばらく吃音が減っていると、良くなったのかな?これで落ち着いていくのかな?と期待し、また吃音が増えてくると、がっかりして親の気持ちも一喜一憂しがちです。
どうしたら吃音が出ないようになるか?と熱心なママほど、一生懸命次々に対策を練り出します。
「『え〜っと』って先に言ってごらん」
「頭の中で先に考えてから話してごらん」
「口をもっと大きく動かして話してごらん」
「お腹に力を入れて話してごらん」
「腕を振りながら話すといいよ」
これすべて吃音っ子を持つ多くのママがしてきた話し方の工夫の一例です。
しかし、これぜ〜んぶ逆効果です!
吃音っ子に話し方の工夫を教えると、どんどん悪化していく理由についてお話しします。
2.吃音っ子に話し方の工夫を教えると悪化する理由
ママや周囲の大人はある時から、「あれ?時々、どもるな…」と気になり、スムーズに話せるように色々な話し方の工夫を教え始めます。
しかし、子ども自身ははじめはほとんど吃音に気づいていません。
吃音が悪化していくと、徐々に「なんか話しづらいな」と思うことはあっても、吃音が出ないように工夫しようと思うことはありません。
なぜならば、吃音を抑えよう、隠そうとする意識や偏見がないからです。
偏見を持たせるのは周囲の大人の対応です。
大人は親切心で工夫を教えますが、吃音が出るたびに吃音が出ないようなアドバイスが繰り返されるので、子どもは無意識のうちに、
「吃音は出ない方がいいんだ」
「吃音は恥ずかしいことなんだ」
「吃音は隠さなきゃいけないんだ」
と吃音に対する偏見を持つようになります。
すると吃音が出てしまった時だけではなく、吃音が出そうな時ですら罪悪感に襲われるようになります。
そうなると吃音の負のスパイラルです。吃音が出るたびに罪悪感が増え、何か話そうとする度に吃音がでて逃れられない状態に悪化していきます。
悪化すればするほど、さまざまな工夫に挑戦し、あの手この手を使い果たした時、吃音を抑えることはできない、という無力感に襲われます。
そこまで進むと、とうとう話すことを嫌がったり、人に会うことも嫌がるようにな二次障害を発症します。
吃音は言語障害なのですが、言葉を治そうと真正面から取り扱うと悪化する、という難しいものなのです。
3.周囲の人からのアドバイスで顔が凍る娘
我が家の長女は3歳過ぎから吃音を発症しました。私は基本的な対応を知っていたので、娘の吃音が出てもスルーして対応していました。
しかし、他の大人の干渉を止めることはなかなか難しいのです。
保育園の先生は、娘の吃音がひどくてなかなか話が進まないと、「大丈夫。落ち着いて。ゆっくり話してごらん」とつい言ってしまいます。
担任の先生には対応をお伝えしていましたが、時間ごとに先生方が変わる保育園だったので、対応を徹底していただくのは難しい状況でした。
一番難しかったのは、実は夫でした。
悪気はないのですが、
「なに?ちゃんと話してごらん。」
「もう一回ゆっくり言ってみて」
と言ってしまうことがありました。
夫は無意識で言っています。吃音に対する基本的な対応は理解しているのですが、 吃音がひどいと聞いている人は話の内容に集中できなくなってしまうので、ついこのように聞き返してしまうのです。
娘は初めは気にしていないようでしたが、吃音が悪化した頃は言い直しを求められると、
思考が停止するかのように凍りついたような無表情な顔になり、話を続けなくなっていました。
4.ママがお家でできる吃音を治す方法!
吃音は上手に無視(スルー)してママは話をよ〜く聞いてあげてください。そしてどんな内容でも共感してあげてください。
方法とは「ママがコミュニケーション上手になること!」です。
ただ、聞くだけではなく、共感するところがポイント!
ママ自身も何か面白いことがあって、人にそれを伝えたい時、相手が面白がって共感してくれるリアクションを期待しますよね?
子どもに対してもそれをしてください!子どもが期待しているリアクションをとってあげる、ということです。
吃音が出て、たどたどしくても、苦しそうに見えても、子どもはそんなことよりママに話したい気持ちでいっぱいです。
面白かったこと、ふと思ったこと、とってもくだらないことでも、子どもにとっては全部ママに共感してほしいことです。
娘は症状が進み、声が詰まって話せない時、体の一部を動かす随伴症状(ずいはんしょうじょう)が出るまで症状が進んでいました。
「かわいい!」と一言いうだけでも、
「カ・・(呼吸停止)・・・
(腕をぶんぶん振る)・・
ワイイ!」
と10秒以上かかるほど悪化する時期もありました。
聞いている方は「息して〜!もう話さなくていいよ〜!死んじゃうよ〜!かわいいって言いたいんでしょ〜?わかってるよ〜。」と言ってあげたい気持ちです。
しかし、そこはグッとこらえて待ちます。そして、言い終えたら「本当だ。かわいいね〜。」と笑顔で共感します。
そんなことを日々続けて、娘は5歳1ヶ月の頃からまったく吃音は出なくなりました。
幼児の吃音は、ママが聞き上手になって、
「おしゃべりって楽しい」
「気持ちが通じると嬉しい」
とコミュニケーションをとることの喜びや楽しさをたくさん経験しておく土台作りが何よりも大切です。
幼児期の子どもの世界はまだ狭く、ママとの関係が与える影響が非常に大きい時期です。
園の先生やパパ、親戚の人からの悪影響があっても、ママとのコミュニケーションが良好なものであれば、吃音に対する偏見は定着せず乗り越えられます。
これはママにしかできない秘策です。吃音の専門家である言語聴覚士にもできません。
ママがコミュニケーション上手になって子どもの心を満たすと吃音は改善していきます。
私は、正直これについて半信半疑でした。何かもっと手っ取り早くできることはないの?と調べまくっていました。
しかし、実践してみて痛感しています。ママの影響力の大きさを!そしてすることよりもしないことの影響力の大きさも!
周囲の人に何を言われても、ママが子育ての軸を持って、自信を持って子どもに接すれば必ず良い方向に向かいます。