自閉スペクトラム症(ASD)の子どもが感情的になると気持ちを切り替えられず、ママは対応に悩むことが多いですよね。なぜそうなるのか、そして今すぐできる対応策についてお伝えします。
1.ASDの子どもの「気持ちが切り替えられない」に困っているママはいませんか?
自閉スペクトラム症(ASD)の子どもは、集団生活のなかで色んな悩みを抱えがちです。
その中でも、「感情的になると、気持ちの切り替えが苦手」といった悩みが一番多いと言われています。
「もうやだ!」となってしまったら、どんなことをしても自分では気持ちを切り替えられない!
ママが色んな対応をしても、どれも効果がない、、、いったいどうしたらいいの?と悩むママは多いのではないでしょうか。
そんな困りごとが起こってしまう理由と、ママが今からでもできる対応策を紹介します。

2.親子関係を悪化させる「間違った対応」とは?
私には、ASDと診断された娘がいます。
小学校に入学してから、人とのコミュニケーションをとるのが苦手になっていき、集団での生活も徐々に厳しくなっていきました。
友達との関係もうまくいかないことが増えて、一緒に遊ぶことも減っていきました。
悩み事が増えていく中、特に悩んだのは気持ちの切り替えがうまくできないことでした。
集団生活をしていく中で、ちょっと感情的になる場面があったとき、そこから気持ちの切り替えがどうしてもできずにいました。
切り替えができるように、声をかけたり、少し時間をおいてみたり、場所を変えてみたりと色んなことを試してみましたが、どれも効果がありませんでした。
集団生活が苦手だから、もっと慣れさせようと集団の中に連れていくこともありました。
でも、それをするたびに娘の状態も悪くなり、「私がどこかに誘う=集団の中に連れていかれる」といった考えが娘の中に生まれてしまいました。
私と娘の関係も悪化していく一方で、どういう対応をしたらいいのか悩むしかありませんでした。

3.ASDの子どもの気持ちの切り替えができない理由は「脳の特性」にあった
困りごとが増えていく中どうにかしたいと思い、色んなサイトで検索をしました。
そして、今学んでいる発達科学コミュニケーションに出会いました。
学んでいく中、ASDの子どもの特性が大きく関係していることがわかりました。
その特性をいくつかあげてみます。
①感情のコントロールが苦手
自分の感情に気づくことができなかったり、感情を言葉にして表現できなかったりして、思い通りにならないことが「泣く」「癇癪」といった行動になってしまう。
②こだわりが強い
「私はこれがやりたい!」「今これをやりたい」といったこだわりがあり、途中でやめることや友達に合わせること、急な予定変更に対応できない。
③見通しをもつことが苦手
これからどんなことが起こるか予測したり、想像したりすることができないため、どう行動すればいいのかわからない。
これらの特性が複雑に絡み合うため、ママが色々な方法を試してもうまくいかないことが多く、あまり効果はなく、ママのストレスが溜まってしまうだけなんです。

4.ママが今すぐできる気持ちの切り替え対応法
では、気持ちを切り替えられるようにするには、どうしたら良いのでしょうか?
それは、「自分で気持ちの切り替えができた!」という成功体験をたくさん積ませてあげることです。
自分で気持ちの切り替えをするということは、簡単なことではありません。
ASDの子どもにはとても時間がかかることです。
なので、時間がかかっても子どもが自分から次の行動に移るまで待ってあげることがとても大切になります。
子どもが気持ちを切り替えられないとき、ママは決して子どもの感情に巻き込まれず、いつも通り淡々と笑顔で日常生活を続けます。
そして、子どもが自分で気持ちの切り替えができたときは 「自分で切り替えができたね」 と声をかけて、自分でできた!の経験をたくさん積ませてあげてください。
このとき、「いいかげんにしなさい」などと、ママが怒ったり否定的な言葉をかけるのは、余計に切り替えができなくなってしまいます。
気持ちの切り変えができるようになるのは、「自分でできた!」の成功体験を子どもの記憶に残すことが重要になります。
繰り返すことで、気持ちの切り替えができる時間も早くなっていきます。
たくさんの「成功体験」を積み上げていってくださいね。

執筆者:北の 香
発達科学コミュニケーション トレーナー