最近、HSPやHSCの認知が社会の中で広まりつつあり、これらの特性を持つ子どもたちへの理解が深まっているようです。本記事では「HSCと発達障害の違い」についてご説明したいと思います。素晴らしい個性=神様からのギフトを「自分らしさ」と捉えて、周りの大人が変なレッテルを貼り付けずに伸ばしてあげることが、何よりも大切なことです。
1.HSCと発達障害はどう違う?
「繊細な子ども」「敏感な子ども」
最近、HSPやHSCの認知が社会の中で広まりつつあり、これらの特性を持つ子どもたちへの理解が深まっているようです。
Google検索で「HSC」と検索すると、3億件以上の情報がヒットします。
しかし、一方で「HSC」という名前だけが有名になってしまい、正しい知識が伝わっていないケースも少なくありません。
特に
「HSCは障害ですか?」
「HSCとどこで診断してもらえるのでしょうか?」
など発達障害との関連性について疑問に思われている方も多いようです。
そこで、本記事では「HSCと発達障害の違い」についてご説明したいと思います。
2.発達障害とHSCの違いって?
HSCはその特性がゆえに、学校などの集団生活の場において困り事を抱えがちです。
例えば
✔︎登校拒否をしている
✔︎先生と相性が合わない
✔︎給食を食べることができない
✔︎友達関係に疲れてしまう
学校で困り事を抱えて、辛そうにしている我が子の様子を心配し、発達障害を疑うお母さんも多いようです。
また、中にはお子さんの「敏感さ」や「こだわり」などの状況から、学校や幼稚園・保育園から発達障害を指摘された方もいらっしゃるようです。
発達外来を受診し、検査はしたものの…
結局、医師から「様子を見ましょう」と言われて終わりで「これからどうしたらいいのか」助けを求めて、相談に来られるママも少なくありません。
HSCは感覚過敏である場合も多く、そのことから「自閉スペクトラム症(ASD)」と誤解されることもあります。
また、状況変化に敏感であるため、気が散りやすいと捉えられ「注意欠如・多動性障害(ADHD)」と誤解されることもあります。
HSCは障害や病気とは異なるものです。
HSCは医学的に診断されるものではないことから、発達検査や診断で「あなたはHSCです」と医師から診断が出ることはありません。
HSCはその子が生まれ持った性質だと理解していただくとよいでしょう。
3.自閉スペクトラム症(ASD)の傾向があると言われました
ここで…私の娘のお話をさせていただきますね。
私も実は娘のことで「発達障害かHSCなのか?」ずっと悩み続けており、特性に合った対応を知りたいと発達科学コミュニケーションを受講しました。
娘は幼い頃から、周りをよく見る子でした。
学校での出来事、習い事での出来事、社会での出来事など、深く感じ、深く考えてしまい、どっと疲れてしまうことも度々。
その思いをどうにも処理できず、家で癇癪を起こしたり、イライラしていることもよくありました。
私はずっと娘が「ひといちばい感じて苦しくなってしまう」ことをずっと心配していました。
これらの様子を、私はこれまでの行政の発達検診や学校での面談で度々伝えていましたが
「学校では困ったことはない」
「様子を見ましょう」
「いいように捉えましょう」
カウンセラーや発達相談外来にすら繋いでもらうことはできませんでした。
なぜなら幼稚園や学校では娘は「いい子」。勉強もスポーツもでき、友達ともうまく付き合うことができる優等生だったからです。
周りをよく見て行動ができるため、先生からも頼られる存在でした。
小学校に入学後も順調に学校に通っていたのですが…1年生のゴールデンウィーク明けから突然登校拒否が始まり、状況はどんどん悪化。
そのうち娘は学校に1人では行けなくなってしまい…母子登校が始まりました。
当時、母子分離不安と感覚過敏を併発しており、今思い出すとゾッとするくらい絶不調の状態でした。
学校に行けなくなったことをきっかけに、ようやく精神科の不登校外来に受診することとなりました。
そして、これまでひといちばい敏感で苦しんできた経緯を伝え、発達検査を受けることになりました。
そして検査の結果。娘はIQが高いことが判明。
診断はつかず、不安傾向や感覚過敏があることから「自閉スペクトラム症(ASD)」の傾向があることを医師から告げられました。
4.HSCと自閉スペクトラム症の違いは「社会性」にある
私は病院からのアセスメントに納得できない部分がありました。
なぜなら、社会性があり「人の気持ちがわかりすぎる」という娘の特性と自閉スペクトラム症(ASD)の特性に相違を感じたからです。
確かに自閉スペクトラム症(ASD)は、感覚的な刺激に敏感になる特性がありますが、HSCと決定的に違う部分があります。
自閉スペクトラム症(ASD)は「人の気持ち」に気づきにくく、空気を読むのが苦手です。
例えば、相手が嫌がっているとわからずに、話を続けたり、場に適さない行動をとったりしてしまいます。
HSCは相手が嫌がっている状況を瞬時に理解することができるため、相手に合わせたり、場の雰囲気をよくしようと過度に気を使ったりするのです。
HSCは社会性があり、痛いほど「人の気持ち」がわかりすぎるため、自分が苦しくなってしまいます。
先述したように、HSCは医学的に診断されるものではないことから、発達検査や診断で「あなたはHSCです」と医師から診断が出ることはありません。
私の娘のように不安傾向や感覚過敏があると自閉スペクトラム症(ASD)の傾向によるものだと判断されてしまうことがあるかもしれませんね。
5.神様からのギフトを「自分らしさ」と捉え、伸ばしていくことが1番大事なこと!
その後、私は母子分離不安の専門家「いたがきひまり」さんの元で発達科学コミュニケーションを学び、発達障害やHSCの特性を学び、娘の特性にあった対応を家庭で実践していきました。
また、母子登校を通して、学校でどのようなことを不安や苦痛に感じるのかを理解できたため、学校と連携し、娘のペースでゆっくりゆっくりと学校に慣れさせていきました。
HSCを研究する中で、私自身もHSPであることに気づきました。
現在は、周りの理解もあり、親子でお互いを受容し、肯定し合いながら、HSPとHSCであることをポジティブに捉え、前向きに生活しています。
最後に
HSCであっても、自閉スペクトラム症であっても…
私はどちらも生まれ持った素晴らしい個性だと思っています。
その子の特性を知り、より良いアプローチができるのであれば、発達障害かHSCか判別することは、さほど重要なことではないと思うのです。
この素晴らしい個性=神様からのギフトを「自分らしさ」と捉えて、周りの大人が変なレッテルを貼り付けずに伸ばしてあげることが、何よりも大切なことです。