小学一年生が一人で登校できないのはなぜ?『甘え』じゃない不安のサインと対応法

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小学生なのに一人で登校できない…「いつまで付き添えばいいの?」と心配になりますよね?もしかしたらそれ、『母子分離不安』かも?不安が強い子どもへの声かけ・接し方のヒントを具体例つきでお届けします。
 
 

1.「小学校 一人で学校にいけない」…それって母子分離不安かも?

 
 
「ママ、学校まで一緒に来て!」
「一人じゃ無理…」
 
 
朝の支度中、小学一年生のわが子が不安そうな顔でそう訴えてくる──。
 
 
ついこの前まで保育園や幼稚園に通えていたのに、小学生になったとたん、登校のたびに涙ぐむわが子。
 
 
「うちの子だけ?」「もう一年生なのに…」と、不安になっていませんか?
 
 
それ、『母子分離不安』のサインかもしれません。
 
 
母子分離不安とは、ママなどの愛着を持っている人と離れることに強い不安を感じる状態のこと
 
 
とくに環境が大きく変わる小学一年生のこの時期は、こうした不安が強く出るお子さんは少なくありません。
 
 
母子分離不安の子には、こんな様子が見られることがあります。
 
✔朝になると「学校行きたくない」と泣いたり、用意をなかなかしない(行き渋りがある)
✔「ママも一緒に来て」と付き添い登校を求める
✔お留守番や一人での行動を極端に嫌がる
✔夜、なかなか寝付けない
✔ママにべったりくっついてくる
✔今まで自分でできていた着替えなどの身の回りのことが、急にできなくなる
✔ちょっとしたことで、激しく泣いたり怒ったりする(かんしゃくを起こしやすい)
 
 
こうした行動は、「甘えているから」ではありません。
 
 
子どもなりに、心の中にある不安を必死で伝えているサインなんです。
 
 
特に、新しい環境や人間関係に不安を感じやすい繊細な子は、ママと離れるだけで大きなストレスを抱えてしまうことも。
 
 
小学生になったのに一人でまだ登校できないというのは、子どもが自立できていないからではなく、自立へ向かう途中の『ゆらぎ』の時期ともいえます。
 
 
まずはその不安を受け止め、「どうしたら安心できるかな?」を一緒に考えていくことが、子どもが自分のペースで一歩を踏み出す大きな力になります。
 
 
この記事では、小学一年生が「一人で登校できない」ときに親が知っておきたい原因や対応のポイント、子どもに安心感を与えられる具体的な声かけをご紹介します
 
 
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2.登校しぶりが悪化したわが子…間違った対応で気づいた「親の焦り」

 
 
息子は小さな頃から不安が強く、「ママも一緒にやろう!」「ママも来て!」が口癖でした。
 
 
そんな我が子が心配で、早く自分のことは自分でできるようになってほしいと人いちばい願っていました。
 
 
年長になる頃には、友達と1人で近所の公園に遊びに行けるようになっており、入学したら1人で学校に行けそうだなと少し安心していました。
 
 
しかし、実際に小学生になると、「ママ、あの角まで一緒に来て…」「もう少し学校の近くまで迎えに来といて…」と毎日不安そうに訴えてくる息子。
 
 
私は当初、その要求に応えて途中まで送り迎えしたりしていましたが、その距離は日に日に伸びていき、学校の前までになっていきました。
 
 
そして、他の子どもに「まだママについてきてもらってるの?」「なんでママと来てるの?」と言われるのが、徐々に気まずくなってきた私は、
 
 
息子の不安が増してることにも気づかず「他のお友達と行けばさみしくないよ!」と軽く流していたのです。
 
 
ある日息子は、とうとう玄関で固まって動かなくなりました。
 
 
あの時の私は「一人で行ける子もいるのに、うちの子だけ…」と他の子と比べて焦っていたんだと思います。
 
 
不安な気持ちを受け止めるより、もう1年生なんだから早く自立させなきゃ!、早く1人で行けるようにさせなきゃ!━と。
 
 
分離不安は、親の対応によってよくも悪くもなります。
 
 
だからこそ、まずはママ自身が正しい理解を持つことが大切です。
 
 
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3.「甘え」じゃない!母子分離不安の原因と、ママの不安との向き合い方

 
 
「登校しぶり=甘え」と思われがちですが、実はそうではありません。
 
 
分離不安の背景には、子どもなりの理由見えにくい不安が隠れていることが多いのです。
 
 
たとえば、小学校に入ると
 
・机にちゃんと座って授業を受けるなどの生活スタイルや先生、友達など、環境がガラッと変わる
・時間割や給食、授業のルールなど覚えることが一気に増える
・先生のサポートが少なくなり、集団の中で動くことが求められる
 
といった『見えないプレッシャー』を子どもは感じています。
 
 
特に繊細な子や環境の変化が苦手な子は、この変化に心がついていけず、強い不安や緊張を抱えることがあります。
 
 
その不安が「ママと離れるのが怖い」という形で表れているのが、母子分離不安のひとつのサインです。
 
 
でも、不安を感じているのは、実はママ自身も同じではありませんか?
 
 
「このままでちゃんと通えるようになるの?」
「他の子はできてるのに…」
「付き添い登校が癖になったらどうしよう」
 
 
そんな不安や焦りがあると、つい「早く自立させなきゃ」としつけの方向に気持ちが向かってしまいがちです。
 
 
けれど、子どもが安心して自立するために本当に必要なのは、「がんばりなさい!」と背中を押すことよりも、まずは「あなたは大丈夫」「ママは見守ってるよ」という安心感を伝えることなんです。
 
 
心理学者マズローの「5段階欲求」でも、『安心・安全』は人間にとって基本的な欲求のひとつとされています。
 
 
 
安心できる土台がないと、その上にある「自立」や「学び」へと気持ちが向かっていけません。
 
 
子どもは安心を土台にして初めて、自分から一歩を踏み出す力を育んでいきます。
 
 
不安な気持ちを押し込めるのではなく、「不安でも大丈夫」と受け止めてもらえた経験が、子どもの心を強くします。
 
 
ポイント
 
 

4.子どもを安心させる声かけが、自立への第一歩

 
 
母子分離不安は、決して「甘え」や「ママの愛情不足」のせいではありません
 
 
だからこそ、ママが「どう接するか」「どんな声をかけるか」が、子どもの安心と自立にとってとても大切になります。
 
 
たかがひと言。されどひと言。
 
 
ママの声かけは、子どもの心に大きな影響を与えます。
 
 
・それは安心できる言葉でしょうか?
・それとも不安を強める言葉でしょうか?
・その言葉は子どもの脳に届いていますか?
・脳の発達を支える言葉になっていますか?
 
 
同じような内容の言葉でも、子どもの心への届き方は違います。
 
 
では、どんな声かけが、分離不安の子どもの心に安心を届けられるのでしょうか?
 
 

~不安の強い子どもに効く声かけ例~

 
◆ 学校に行く前に不安そうなとき
「今日はどこまで一緒に行くと安心できる?」
「緊張してるんだね。ママは応援してるよ。帰ってきたらおやつ、何にする?」
「一回ママと一緒に深呼吸しよっか。(落ち着いたら)歩いて行く?車で行っちゃう?」
 
◆ 登校しぶりが続いているとき
「そっか。気持ちを話してくれて、ありがとう」
「毎日がんばってるの、ママはちゃんと見てるよ」
「(結果、行けなくても)行こうと思って準備したね。明日またチャレンジしよう」
 
◆ 帰宅後、泣いたり荒れたりしているとき
「いっぱいがんばったね。おつかれさま」
「今日のどんなところが大変だった?よかったら聞かせてね」
 
◆ 子どもが「ひとりじゃできない」と言ったとき
「教えてくれてありがとう。じゃあ一緒に考えようか」
「最初の1歩だけ一緒にやってみようか。できそうなところまででいいよ」
「できるかどうかは別にして、やってみたい?」
 
 
また、コミュニケーションの中で大切なのは、『言葉だけでなく、態度でも安心を伝える』こと。
 
 
たとえば:
*子どもが話すときは手を止めて、目を見てうなずく
*子どもが困っているとき、先回りせずに「どうしたい?」と聞く
*小さな一歩を「自分でできたね」と認める
 
 
こうしたやりとりを積み重ねていくことで、子どもは「困っても大丈夫」「自分でやってみよう」と思えるようになります。
 
 
「一人で学校に行けない…」 そんな子どもの姿に、戸惑いや不安を感じるのは、ママとして自然なことです。
 
 
でも、母子分離不安は「甘え」ではなく、子どもなりのSOS
 
 
「この子、大丈夫かな?」と不安な気持ちになったときほど、子どもと自分自身の気持ちを受け止める覚悟を決めて「あなたならきっと大丈夫」「ママはここにいるよ」と伝えてあげてください。
 
 
安心の土台はママの言葉や態度の中にあるのです。
 
 
焦らず、親子で「安心」を育てていくことが、子どもの自立への一歩につながりますよ。
 
 
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Q.母子分離不安についてもう少し詳しく知りたい!
 
Q.「学校行きたくない」と不安そうな子どもを安心させてあげるにはどう接すればいいの?
 
 
執筆者:よしみつ りこ
発達科学コミュニケーション アンバサダー
 
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