1. なぜ、自室にこもりがちになるのか?
不登校になり、自室にこもりがちになる思春期のお子さんに、理由も分からず、どうしてあげたらいいのか困っていませんか?
不登校になるまでは部屋から出てくることも、一緒にご飯を食べることも当たり前にできていたのに、不登校になった途端に部屋から出てこない。そんな我が子への対応に、理由もわからずおろおろしてしまうご家庭は多いと思います。
なぜ、思春期のお子さんが不登校になると、部屋に引きこもりがちになってしまうのでしょう。それには訳があります。
不登校になる前までは、心身のきつさを我慢して普段通りの生活を何とか送っていたお子さん。ですが、ついに限界がきて、体も心も疲れ果てた状態です。
・心配するお母さんやお父さんの期待に応えられない自分への罪悪感
・無理に学校に連れて行こうとするお母さんお父さんへの反発心
・不安や無気力
・自己肯定感の低下
などが部屋に引きこもる原因として考えられます。
こうなると、家の人がいない隙にキッチンに降りてきて食事を自室に持っていったり、家に誰もいない隙にリビングで映画を観たりするようになります。外出から家族が戻ってくると顔を合わせないように、慌てて自室に戻ったりすることも珍しくありません。
これまでの親子関係や無気力・不安がお子さんをこのような行動に駆り立てています。つまり、自分の部屋以外に居場所がない状態です。
ご家族にそんなつもりがなくても、お子さん自信が勝手に自責の念を抱いている場合もあります。
今まで大切に育ててきた可愛い我が子とこれから先、一緒に笑いあう日は来ないのか、一緒に食卓を囲む日はもうないのかと悩んでしまいますよね?
我が家の場合もそうでした。
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2. 発達グレーゾーンの我が子が引きこもりになった理由
我が家の中学生男子も起立性調整障害の発症とともに不登校になりました。その後、体を休めるために自室で休む毎日。2~3カ月すると、体は回復していきましたが、一向に部屋から出てこなくなりました。
最初はなぜなのか分かりませんでした。「私に不満があるのか」、「私が何か悪いことを言ったのか」 理由が分からずもやもやとした日々を過ごしました。そして、以前のように顔を合わせなくなった毎日に悲しみを覚えるようになりました。
「このまま笑いあえる日は来ないのか」、「家族で食卓を囲む日は二度とこないのか」と悩む日々。
今思うと、過剰適応傾向だった息子は、親への不満や自責の念、思い通りにならない体への不安、将来への焦りなどいろいろな感情が入り混じっていたのだと思います。
そして、私の不安と焦りのうずまく、自室以外の空間に「居心地の悪さ」を感じていたのだと思います。
こうして、自分の部屋でインターネットを介して広がる世界に没頭していきました。
同時にスクールカウンセラーから勧められて受けた発達検査で、発達の特性があることも分かりました。その時に初めて、これまでの息子とのコミュニケーションで抱いたちょっとした違和感が解けたような気がしました。
そして、この特性が息子の起立性調節障害の発症の一因になっていることを初めて意識しました。きっと学校で、本人も理由が分からないまま困っていたに違いありませんでした。
でも、そんな時に出会った発達科学コミュニケーション(以下、発コミュ)で、この状況は好転していきました。では、どのように状況が変わっていったのでしょう。
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3. 自室から出てくるようになるお母さんの声かけ!
まず、発コミュでは肯定的注目で接するように教わります。子どもの言動に肯定的に注目するということは、「ほめる」 「認める」ということになります。「ほめる」と一言で言っても色んなバージョンの「ほめ」の声かけがあるんです。 例えば…
・「今日は少し早く起きられたね。少しずつ良くなるよ。」と言って励ます
・「いつもありがとう」と言って感謝する
・「何してたの?」「それでそれで」と言って興味や関心を示す
・「ママがいないうちにご飯を食べたんだね」と言って、気づいていることを知らせる
・「今日は自分からお風呂に入ったんだね!」と言って、喜ぶ・驚く
・マッサージや物の受け渡しなどのスキンシップ
・「じゃあ、次はこれをしてみようか?」など次の活動に誘う
・「いいと思うよ」と同意する
などです。
このような「ほめ」の言葉を息子が自室から出てくるほんの数分の間に投げかけるようにしました。
最初は、「今日も声が聞けてうれしい」や「足音が元気でうれしい」など、今ある現実をそのまま言葉にしました。「ちゃんとあなたのことを見ていますよ」というメッセージを送るとともに、「声や足音が元気」という事実を息子の脳に届け、できていることを実感させる効果があります。
そうすると、だんだんと部屋から出てきて私に話しかけるようになりました。「こんな面白い場所があるよ」とか、「こんなT-シャツが欲しい」とかタブレットの画面を見せて話してくるようになったのです。
それに対しては、話を深掘りするように心がけました。「それでそれで?この服のどんなところがいいと思うの?」など息子の発言に興味・関心を示すと、どんどん話が膨らみ、「今度行ってみようか」とか「それ、買いに行こうか」など次の活動につながる提案ができました。
実際に行動するうちに、息子はどんどん元気を取り戻し、次から次に新しいことに挑戦できるようになりました。そして、それが自信やエネルギーとなっていったのでした。
こうして、また一緒に笑いあえる日や食卓を囲む毎日が戻ってきました。今となっては、こんなに幸せなことはないと心から感じます。
最初からすべての声かけをすることは難しいと感じるかもしれません。そんな方は、まずはお子さんの現状を認める声かけから始めるといいと思います。
みなさんも、発コミュの声かけで親子関係を改善し、一緒に笑いあえる毎日を取りもどしてみませんか?
執筆者:大下真世
(発達科学コミュニケーショントレーナー)