発達障害の特性がある子どもは、学校や社会の中で困る場面が多くあります。困ったときに周りに対して援助要請ができたら良いですよね。自立に向けて、とても大切なスキルです!今回はお家で援助要請スキルを育てる方法をお伝えします。
【目次】
1.発達障害の子どもに一番に教えたいこととは
発達障害の特性がある子どもを育てていると、一緒に過ごす中で本人が困ることが多くありますよね。
困りごとが多すぎて、何から身につけさせてあげたら良いのか?混乱しておられる親御さんもおられるかと思います。
ただ、家庭内で過ごしている中では、親御さんが近くにいるということもあり、そこまでの困り感は感じられないかもしれません。
しかし、学校や社会に出たら、途端に困ることが出てきて本人も困惑していることも!
例えば学校ならば、
・今何をしたら良いのかわからない?
・先生が何を言ったのかわからない?
・これから教室はどこに移動したら良いの?
・自分の苦手なことをしなくてはならない
など。学校内の各場面を想像しただけで、困りごとだらけなことがわかります。
発達障害の子どもは、どうしても周りのお子さんと同じように活動ができないがあったり、聞き逃してしまったりすることがあります。
一生懸命頑張っても、本人の頑張りだけではできないんです。
子ども自身が一番困りますよね。困ったままで、大きな不安に襲われることもあります。
そのようなとき、子ども自身が周りに自分の困っていることを伝え、助けてもらえるようになったら良いと思いませんか?
困ったままでは何もその先解決はしないですよね。
しかし、一言、周りに助けてもらったり、手伝ってもらったりすることを伝えることができたら、すぐに解決することだってあります。
発達障害の傾向の有無に関わらず、自分で乗り越える力を持ってほしいと考えている親御さんも多いかと思います。しかし、簡単なようでとても難しいスキルなのですよ。
また、先生も困っていることがなんとなく分かったとしても、自分から発信しないことで見過ごされてしまうこともあるのです。困ったまま時間だけがすぎていくのが容易に想像できると思います。
だからこそ、発達障害の子どもに一番に身につけさせてあげなくてはならないのが援助要請スキル。このスキルは、お家で育てることができます。低年齢からできるので、ぜひ参考にしてみてください。
2.困っているのに発信できない!
ここで我が家の話をさせていただきます。私には娘がいますが、現在小学生で不安が強く、場面かんもくの傾向があります。
幼稚園の頃から、自分の気持ちやお願いを周りに発信することができなくて親の私はモヤモヤしていることが多々ありました。
実際、小学校に入学してからも、何か困ったときには固まってしまい誰かが気がついてくれるのを待つ…ということが度々ありました。
聞いてみれば、本人はとても困っている。それなのに周りに頼ることができない!
しかし、娘の困った様子にお友達が気づいてくれたおかげで、本人の困り感もほどほどにやり過ごしてきました。
幼少期ならば、そこまで困ることはないかもしれませんね。自分で解決という場面は少ないでしょうから。しかし、学校に入り学習が始まるとなるとそうはいきません。
また、小学生になると係の活動や、教室の移動など、少しの聞き逃しや理解の遅れが原因でとても困ることへと繋がります。
ある日のことです。娘も、算数の学習でわからないところがあり家で話してくれたのです。別件で、先生と電話で話しをする機会があり、その旨を伝えたところ…
「分かっていないだろうな?とはなんとなく思っていました。しかし、本人が発信してこなかったので、私(先生)もそのままに過ごしてしまって…」と。
もちろん、先生に気がついてほしい!察してほしい!とは思っていません。しかしながら、これが現実なのです。
子ども自身が自分で発信することができなければ、困ることが多いのはもちろん、周りは言ってこないから良いか!となるわけです。
急いで家庭でも対応をしなければと痛感した出来事でした。娘に対して、今一番教えなくてはならないことは、援助を要請できるスキルだと。
この経験で現実の厳しさを感じ、急いで家庭で取り組みました。次項で説明しますね。
3.助けて!手伝って!と言える援助要請スキルの育て方
発達障害の傾向の有無に関わらず、なかなか助けて!手伝って!は言えないものです。プライドや、状況などを考えてしまうと言い出せないのもわかりますよね。
しかし、とても重要なスキル。我が家では以下の2つを軸に援助の要請スキルを育てています。
◆①お家で成功体験を積ませる
お家で子どもが何か分からないことを聞いたとき、困っていて家族に伝えてきたときがチャンスです!
しっかり向き合って、解決するよう導いてあげてくださいね。他人に聞いたり、助けてもらったりしたら、自分一人で困ることが減るんだという成功体験を教えてあげてください。
そして、自分の困っているときに頼ることができたことを褒めて認めてあげてください。
「わからなくて困っていたんだよね。よく聞けたね!」
「困ったときには周りに伝えて助けてもらえたら嬉しいね!」
「人に聞くのってとても勇気がいるよね!」
など。自分の弱みの部分を人に発信する勇気を育ててあげれば、時間がかかっても必ず他人に頼ることができるようになってきます。
◆②身近な人の体験談を伝える
人に自分の弱みを発信するのは、大人の私たちだって勇気がいることでもありますよね。
だからこそ、家族の体験談をお子さんに聞かせてあげてください。
「ママね、この間の学校の係のお仕事でわからなくて教えてもらったの。」
「パパね、〇〇が苦手だからお友達に手伝ってもらったんだって!」
などと、人に頼ることは悪いことではない!ということを伝えていきます。
子どもにとって身近なママやパパが、積極的に周りに助けてもらっているんだという発信をすることがお子さんの行動につながっていきます。
以上の2つをセットでお子さんに働きかけてみてくださいね。援助の要請ができたら、明らかに生活もしやすくなります。身の回りの環境を子ども自身で整えることができますね。
日頃から繰り返しおこなっていないと、なかなかすぐには身につけることができません。年齢的にも難しくなってしまうこともあります。
スモールステップを意識しながら家庭の中で、身につけていけたら良いですね。
娘は、困り果てた末に誰かに気がついてもらうというパターンを繰り返していましたが、現在では自分から周りや先生にお願いができるようになってきました。
つい先日も、「一人では時間が間に合わないから、〇〇ちゃんにお願いして手伝ってもらった!」と教えてくれました。
娘に聞いたら、以前より困ることが減ったから楽になった!と言っていました。とはいえ、まだまだ困る場面も多くあります。年齢が今以上に上がったら、もっと困る場面が出てくるかもしれません。
その前に、子どもが自分の苦手や、状況を改善するために、周りへ助けを求められるような基礎ができたら良いなと考えています。
とても効果を感じることができているので、我が家では今後もこの対応を続けていきたいと思っています。
皆様のお子さんが、困りごとが減り生活がしやすくなりますように!
こちらの記事では、自己肯定感を下げない対策をお伝えしています。援助の要請が出せないと自己肯定感を下げてしまいかねないので、ぜひセットで読んでみてください。
お家で育てる援助の要請スキルをご紹介!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)