発達障害の中学生の子どもから「部活やめたい!」といわれたら、「頑張ってもう少し続けてみなさい。」って答えがち!しかし、これは登校しぶりや不登校の前兆にもつながることも…。子どもの心を守るために勇気をだして部活をやめることも必要な選択です。
【目次】
1.中学生の「部活やめたい」を無理に続けさせると登校しぶりにつながる⁉
2.発達障害ADHD中学生が部活をやめたい理由
3.勇気を出して「部活をやめる」も必要な選択!
①子どもの意思を優先させる
②道は一つではない!環境を変える
1.中学生の「部活やめたい」を無理に続けさせると登校しぶりにつながる⁉
私には注意欠陥多動性障害(ADHD)傾向の中学3年生の息子がいます。
息子は中学生になり、野球部に入部しました。
小学校のころから少年野球をやっていたので、友達から誘われ悩んだ末、本人が決めて入部しました。
小学6年生ごろから朝が起きられない息子に対し、部活動を続けられるか不安がありました。
当初コロナ禍だったこともあり、土日は午前中練習で、朝練も小学校の登校時間と同じぐらいに起床すれば間に合う状況だったので、悩んだ末入部させることにしました。
息子も「他の部活動と活動量はあまり変わらないんでしょ?」と他の部活動も見学して納得して入部したのでした。
しかし、入部してみると、予定表はあくまで予定で、実際の活動時間が違ったのです。
コロナが収束し、土日は朝5時半〜夜19時までの活動、平日は18時半に帰宅、そのあと19時半~22時半まで集団塾、翌朝は7時20分~朝練という繰り返しでした。
息子は「自分の時間がない、ゲームやYoutubeをやりたい。」と言い出し、夜遅くまでスマホを見て過ごすようになり、毎朝息子を起こすのに一苦労!
なかなか起きなくて朝から親子バトルを繰り広げていました。
それでも何とか楽しく部活動に参加していましたが、中1の6月になると先輩とのトラブルを引き金に、顧問の先生との関係性が悪くなり、7月には「部活を辞めたい」と言い出すようになってしまいました。
そこで、集団塾をやめ時間的余裕をもち部活動と学校に専念させようと試みました。
高額な野球道具も購入していたので、なんとか息子を奮起させようと「塾をやめたら楽になるから、部活に専念しよう!みんなも頑張っているんだよ。」と必死に声をかけました。
なぜなら、自分で決めて入部したので諦め癖をつけさせたくなかったですし、部活をやめてしまうと高校受験の際の内申点に影響が出てしまうと思っていたからです。
また、野球部の父母の会で役員をやっていたこともあり、私は息子の気持ちよりも迷惑をかけてしまうのではないかと他人の目を気にしていたのです。
するとさらに状況は悪化!説得する私や立場の弱い弟に対して、「うるせー、シネ!」とモノを投げたり、叩いたりするようになりました。
ますます朝起きられなくなり、「部活にいきたくない」「学校へいきたくない」と登校しぶりへ発展してしまいました!
狂暴化する息子を見て、このままでは家族が壊れてしまう、どう対応したらいいのか悩み、ネットサーフィンで発達科学コミュニケーションに出会いました。
2.発達障害ADHD中学生が部活をやめたい理由
発達障害の有無に関わらず中学生が部活を辞めたくなる理由として
●先輩や先生、友達などの人間関係の悩み
●練習量が体力的につらい
●部活以外にやりたいことがある
●レギュラーになれない
●ケガや病気によるやる気の消失
などがあります。
中学生の部活動は、体力をつけたり、人間関係を学んだりメリットはもちろんありますが、デメリットとして拘束時間や疲労感、経済な負担もあります。
本人が納得して楽しんでいるならば問題はありませんが、発達障害・ADHD傾向の子どもの場合、極端にのめり込むか、途中で飽きてしまい続かないかのどちらかのケースになりやすいです。
発達の特性から何かに挑戦してもちょっとうまく行かないとすぐにやめてしまう傾向があります。
社会人になるまでに、責任を持って仕事に取り組むことができなければ、職を転々とする可能性もあり、続けてほしいと思いますね。
また、中学生は思春期真っ只中!周りの子どもと同じようにふるまえないことがコンプレックスになり 、「自信が持てない」「学校嫌いになる」など、生きづらさの原因につながることも多いです。
さらにADHD傾向の中学生は当たり前のことができなくて周りの大人から叱られることが多く、ネガティブ感情が残りやすいため自己肯定感が育ちにくい傾向があります。
親の良かれと思ったアドバイスは、逆にできない自分を責められていると感じてしまうのです。
その反動として、自分の身を守るために暴言や暴力へ発展してしまいます。
中学生が「部活をやめたい」から「学校へいきたくない」と不登校に発展してしまうケースは多いので、くれぐれも注意して対応をしてくださいね。
では、どのような対応をしたらいいのでしょうか?次にご紹介しますね。
3.勇気を出して「部活をやめる」も必要な選択!
◆①子ども意思を優先する
中学1年生の夏休みに入る前に「部活動をやめさせたい」と先生と息子と三者面談をしました。
見通しのつかないスケジュールをこなすことは非常に辛いことだったからです。
発達の特性を顧問の先生には説明をしていましたが、チームで連帯感があるため特別扱いはできないが、「今やめてしまうのはもったいない!続けるべきだ」と説得されました。
息子は、まわりからの説得から「自分のペースで野球を続けられるなら」と再度野球に取り組むことを決めました。
しかし、実際は、「今日も部活を休むの?いつになったら出てくるの?」と先生から毎日問いただされ、私からは「早く起きなさい!」と急かされて、夏休み明け登校しぶりとなってしまいました。
塾を辞めて時間的余裕ができたはずなのに、毎日部活に出なくて済む理由を考えて逃げて帰ってくる息子を見て、「本当はどうしたいの?」と確認すると「もう部活を辞めたい。しんどい。」と答えました。
私は父母の会の役員をしていたので、なんとか子どもを奮起させようと必死だったのですが、やっと子どもの意思を優先させることの大切さに気づきました。
子どもが「行きたくない」「やめたい」と言ったら、アドバイスは不要です!
まずはしっかり傾聴してあげてくださいね。
◆②道はひとつではない!環境を変える
家庭内の中であればADHDの特性も理解されていますが、友人関係や部活動の仲間、学校の先生に必ずしも特性が理解されるとは限られません。
子どもが中学生のうちなら、親が先生に発達について説明や相談する機会はありますが、まわりの理解が難しい場合は勇気をだして「部活をやめる」も必要な選択になりますね。
発達科学コミュニケーション創始者の吉野加容子氏から、子どもの心を壊してまでやることはなにもない!と学びました。
子どもがどんな選択をしても道は一つではありません。親はいつまでも子どもの味方でいてあげたらいいのです!
登校しぶりだった息子は野球部を辞め、仲のよい友達に誘われ個人競技の部活に再入部しました。
振り返って考えると息子には集団の部活動は不向きだったのかもしれません。
なぜなら、連帯責任や当たり前のルールの理解が乏しいからです。
それに比べ個人競技の部活は、自己都合で部活を休んでも集団の部活よりも叱責されることが少なかったようで、息子はなんとか登校でき部活動を続けることができました。
そして、中学3年生の春と夏に二大会連続で県大会に出場することができました。
勇気をもって部活をやめる選択ができるってことは、自分の心を守るために必要な術なのです!
もちろんどんな選択をしても失敗や後悔することは沢山あると思います。その後悔からどうするか?
子どもの心が元気なら、次へつなげていくことができますよ。
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♡小冊子のご感想
子どもの行き渋りにどう対応するのが正解か分からず困っていました。こちらの本を読んで、行き渋りが悪化する対応をしていたことに気付き、はやめに知れて良かったと思いました。また、どう対応したらいいのか、具体的な対応と声かけが書かれていたので、ありがたいです。今日から取り組んでみます。
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執筆者:神田久美子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)