もしかして発達障害?ネガティブな記憶が引き起こす癇癪を解決するヒント

癇癪、ぐずり…何が理由なのか分からずに悩んでいませんか?独特のこだわりがあり、そこを譲れずに怒ったりパニックになっているのなら、発達障害の子どもに見られる「ネガティブな記憶」が原因かもしれません。事例と共に対応法もお伝えします。
 

【目次】

 

1.あまりに頻度が高い癇癪は発達障害の可能性も

 
 
思い通りにならないと、癇癪を起こしたり、ぐずったり…自分の子どもを振り返り、全く思い当たらないママはいないと思います。
 
 
けれど、独特のこだわりがあり、癇癪を起す頻度があまり高いようだと発達障害の可能性も考えられます。
 
 
何でもかんでも発達障害、というのは危険だと私は思っています。しかしながら、あまり頻度が高く本人もパニックになるようなことがあるのであれば、周りから理解されず本人が苦しんでいるはず。
 
 
「わがままな子」と済まされてしまい、お友達との関係も悪化し、登園や登校しぶりになる事態にもなりかねません。早めに気付いて対処することで、2次障害は避けることができます
 
 
 
 
一体なぜ、こんなに癇癪を起してしまうのでしょうか。
 
 
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2.ネガティブな記憶が癇癪につながる2つの理由

 
 
◆理由①安心感が得られないため
 
 
発達障害の子どもたちは、ネガティブな記憶が残りやすいという脳の特性を持っています。
 
 
脳の発達には順序があり、まずは自分の生命が脅かされない、ここにいれば安心だ、ということを感じられることから始まります。
 
 
その最初はお母さんの存在。そこで得られた安心感から、他の家族、家以外の場所、お友達など順に自分にとって安全な対象を広げていくことになります。
 
 
しかしながら、発達障害の子どもは、ここでの安心感がなかなか得られません。お母さんしか安心じゃない、と思うと外に出ることも、他の人とコミュニケーションを取ろうとも思えません。
 
 
本来、子どもは好奇心旺盛のはずですが、この不安定さが故に興味の幅が広がらないのです。
 
 
人は安心できる人や場所を本能的に求めます。彼らは安心できる環境が少ないため、常に不安な気持ちを抱えたまま生活しているのです。
 
 
自分が安心できる何かを求めたとき、それが手に入らなかった場合に癇癪を起す、パニックになるということがあります。
 
 
◆理由②不安感+独特のこだわり
 
 
あるお子さんの事例をご紹介します。
 
 
そのお子さんは、お隣に住む同年代のお子さんと家を行き来し、たまに遊びます。お友達の家に行くとおもちゃを借りて楽しそうに遊びます。
 
 
ところが、お友達が自分の家に遊びに来ても、お気に入りのもちゃに触れられただけで怒り出し、癇癪を起して大変だそうです。
 
 
その子のお母さんは予防をしようと思い、お友達が来る前に、そのおもちゃを別の場所に移動しようとしました。
 
 
しかし、それも本人は許せなくて同じ結果になり大パニックになったそうです。お気に入りのおもちゃの場所は決まっていて、それを他の人が動かしたり、触られるのが許せないのです。
 
 
そんなことで?と思いますよね。でも、ちょっとここで想像してみてください。
 
 
 
 
奮発して買った袖を通していないワンピース。あなたは、明日着て行くために、アイロンをかけて吊るしておきました。
 
 
そのときに、ご主人が仕事を終えて帰宅したのですが、突然会社の同僚を連れてきたのです。それだけでなく、ワンピースをつるした部屋で焼肉を始めます。
 
 
他の部屋でやってよ!と言っても、他は狭いからここでやる、とご主人は答えます。
 
 
あなたはどう感じますか? ご主人にも、その会社の同僚の方にも腹が立ちますよね。
 
 
「高かったのに!」「さっきアイロンかけたばかりなのに!」「匂いが嫌!」と思うかもしれません。
 
 
しかし、そんなことはご主人も同僚の方も知りません。自分のこだわりや思いは、他の人からは理解してもらいにくいものです。
 
 
発達障害の子どもはそのこだわりがさらに強く、独特の形で表れるケースが多く、周りが理解できないことがどうしても増えてしまいます。
 
 
こんなことくらいで?と思わずに、本人のこだわりを尊重してあげることが、癇癪を抑える、安心感を強めるということにつながります。
 
 
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3.大事なことはたった1つ。主語は常に「子ども」

 
 
発達障害の可能性を考えてみては?と言いながら、相反することを言うようですが…
 
 
発達障害か、そうでないのか?その癇癪やぐずりを考えるときに、そこを気にする必要はないのかな、と思っています。
 
 
発達障害のあるお子さんの場合、気持ちや行動の切り替えの難しさ、困りごとが起こる頻度や程度には大きな差があり、なかなか今までのしつけでは困りごとは解消されません
 
 
けれど、定型発達であっても、気持ちの切替が難しい子もいます。
 
 
結局は、わがままと障害の線引きはどこかと線引きすることは、厳密には難しいことだと思います。
 
 
それよりも大切なのは、本人が苦しまず、頑張れるようになるにはどうすれば良いのかを考えること。一番お伝えしたいこと、それは、主語を常に「子ども」において考えて欲しい、ということなのです。
 
 
 
 
先生が、親が、私が、ではなく「子ども」がどうなのか?
 
 
「子どもに主体がある」「子どものニーズに合わせる」という考え方は、発達障害のあるなしにかかわらず、どんな子どもにとっても大切な視点ではないでしょうか。
 
 
子どもにとってのそのこだわりが、「奮発して買ったワンピース」くらい大切なものなのかもしれません。その気持ちを尊重してあげた上で、妥協点を探っていく、落としどころを見付けていく、というのが大事。
 
 
おもちゃに触られたくない、のであればお友達を家に呼ぶのを止めればいい。公園や室内で遊べる場所もありますので、場所を変えれば良いだけです。
 
 
もしくは、お友達に別のおもちゃを用意してあげて、大切なおもちゃは触れないようにゲートを立てておくなどもできますね。
 
 
本人のこだわりや思いを大事にした対策や、コミュニケーションが子どもに安心感を与えることになります。
 
 
安心感を得られた子どもは、興味も広がりどんどん行動するようになります。そうすることで、癇癪やぐずりも段階を経て減ってきますよ。
 
 
今のお困りごとは対応を間違えなければ減ってきますし、一生続くものではありません。一人で悩まず、相談してくださいね。
 
 
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執筆者:瀬名香織
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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