息子は発達障害グレーゾーンの6歳です。ちょっとしたことですぐに癇癪を起こすのですが、何が嫌なのかをきちんと言ってくれないので、どう対応すればいいのかも分かりません。どうすれば息子は自分の気持ちをきちんと説明できるようになるのでしょうか?
6歳・男の子のママ
癇癪を起こすばかりで原因が分からないと、お母さんも対応に困りますよね。そこで今回は同じような経験を持つ私が、癇癪持ちの子どもに効く会話術をお伝えします。
発達科学コミュニケーション
トレーナー 森あや
【目次】
1.何が嫌なの?癇癪の原因が分からず対応に困る日々
2.癇癪持ちの子どもの脳はこんな状態です!
◆癇癪に関係している発達障害の脳の特性
◆癇癪の背景にあるものは?
3.癇癪持ちの発達障害に効く会話術とは?
◆譲ってくれたら「ありがとう!」
◆質問するときは「どんな気持ちになったの?」
1.何が嫌なの?癇癪の原因が分からず対応に困る日々
癇癪持ちの発達障害の子どもに悩むお母さんは多いですよね。
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。実は私が発達科学コミュニケーションを始めたきっかけは、息子の手が付けられない癇癪でした。
幼稚園の頃は
・1日1回は必ず大暴れする
・物を投げたり、母親の私を叩くなど制御不能状態
・外でもひっくり返って大泣きする
という凄まじい毎日を送っていました。
しかも些細なことが癇癪のきっかけになるため、気が付いたら爆発している、ということもしょっちゅう。
一体何が嫌だったのかも分からないし、本人も混乱してまともに会話もできないし…と途方に暮れていました。
だから相談者さんのお気持ちはよく分かります。
必ずしも「癇癪が多い=発達障害である」と言うわけではありませんが、癇癪を起こしやすい子どもは、脳の発達が未熟なケースが多いと言われています。
ですから、お母さんが普段の会話を工夫して脳を発達させてあげれば、子どもは癇癪を起こさずに自分の気持ちを伝えられるようになるんです。
そこで今回は、癇癪持ちの発達障害の子に効く会話術についてお話しします。
2.癇癪を起こす子どもの脳はこんな状態です!
では、発達障害の子どもはどうして癇癪を起こしやすいのでしょうか?ここでは
・癇癪に関係している発達障害の脳の特性
・子どもの癇癪の背景にあるもの
についてお話ししていきます。
◆癇癪に関係している発達障害の脳の特性
子どもが癇癪を起こすのは、遊びたいのに遊べない、おもちゃを買ってもらえないなど自分に不都合なことが起きた場面ですよね。
つまり、癇癪を起こす子どもの目的は「自分の不都合を解消すること」です。
ところが発達障害の子どもは
・こだわりが強く融通が効かない
・衝動性が強く、感情のコントロールが苦手
・自分の気持ちを言語化することが苦手
など様々な特性を持っています。そのために
自分の思い通りにならないなど不都合なことが起きる
↓
こだわりが強いので譲れない
↓
衝動性が強く、言葉で自分の気持ちをうまく伝えられないので、手っ取り早い「癇癪」と言う形でコミュニケーションを取ろうとする
と言う流れで癇癪を起こしてしまうのです。
ここで注目して欲しいのが、子どもの困り感です。癇癪というのは「ワガママ」だと捉えられがちですが、脳の特性は本人にはコントロールができません。
実は癇癪は「僕も自分のことがコントロールできずに辛いんだよー!」という発達障害の子どものSOSなのです。だからいくら叱っても、癇癪は解消されないんですね。
◆癇癪の背景にあるものは?
癇癪持ちの発達障害の子どもの背景には
・生理的な不快感が隠れている場合
・コミュニケーションの誤学習が原因の場合
の2つあります。
生理的な不快感というのは、自分の体調の変化や空腹感、眠気のことです。
実は発達障害の子どもは感覚が鈍く、自分の体調不良や疲れに気づきにくいタイプも多くいます。
そのため「なんとなくしんどい」という不快感が蓄積され、癇癪として爆発してしまうこともあるのです。
また癇癪の背景には、過去のコミュニケーションの誤学習が隠れていることがあります。
これは「癇癪を起こしたら、自分の要求が通った!」という経験のことです。
つまり癇癪持ちの子どもは「自分の思い通りにしたかったら、癇癪を起こせばいい」と間違った学習をしている、ということなんです。
癇癪は繰り返せば繰り返すほど、脳に悪いクセがついていきます。ですから、早めに対応することがとても大事です。
そして先ほどお話ししたように、癇癪持ちの子どもは脳の発達が未熟な傾向があります。
でも大丈夫!脳が未熟なら、お母さんがコミュニケーションを工夫して発達させてあげればいいだけです。
そして脳の発達に必要なことは「成功体験を積ませて自信をつけること」です。
実はお母さんが普段の会話にちょっとした工夫をするだけで、癇癪持ちの子どもの脳を伸ばしてあげることができるんですよ。
3.癇癪持ちの発達障害に効く会話術とは?
今回は、癇癪持ちの発達障害に効く会話術を2つ紹介します。
◆譲ってくれたら「ありがとう!」
1つ目は、子どもが譲ってくれたときに「ありがとう!」と言ってあげることです。
先ほどお話ししたように、発達障害の癇癪の原因の1つには「こだわりの強さ」があります。
実はこだわりの強さというのは、元々は子どもが安心を得るための行動の1つです。
ですから、「こだわりを手放すことでいいことがあった」という経験を積めば、だんだん融通が効くようになっていくのです。
どんな些細なことでも構いません。
・買い物に付き合ってくれたら「一緒に来てくれてありがとう!」
・お菓子を分けてくれたら「分けてくれてありがとう!」
・子どもが何かを貸してくれたら「〇〇君は優しいね!」
こんな風に、「他人の気持ちを優先して行動できた」という場面を見逃さずに褒めてあげてくださいね。
◆質問するときは「どんな気持ちになったの?」
2つ目は、質問するときに「どんな気持ちになったの?」と聞くことです。
先ほどお話ししたように、癇癪を起こしてしまうのは自分の思いを言葉で説明するのが苦手だからです。
そのために、ネガティブな感情をうまく処理できないことも多くあります。
だから普段のお母さんとの会話の中で、「自分の気持ちを言葉にする」というトレーニングをたくさんして欲しいのです。
例えば我が家の場合は、
(私)今日の給食は何だったの?
(息子)フレンチトーストだったよ。
(私)へー!出てきたとき、どんな気持ちだった?
(息子)すごく嬉しかったよ!
という感じで、出来事を聞いた後に必ずセットでそのときの感情も質問するようにしています。
こんな風に、自分の気持ちを言語化させる機会を増やすことで、「困ったときは自分の気持ちを伝えればいい」と学習させることができます。
その結果、癇癪ではなく言葉でコミュニケーションが取れるようになっていくのです。
さて、以前はひどい癇癪の持ち主だった息子ですが、今では癇癪を起こすこともなくなりました。
・自分で折り合いをつけて、融通が効くようになった
・うまくいかないことがあると「これができなくて嫌なんだ。お母さん、手伝って」と、きちんと言葉で思いを伝えられるようになった
などの変化が現れたのです。
いかがでしたか?癇癪持ちの発達障害の子どもに効く会話術は
・譲ってくれたら「ありがとう!」「優しいね」とすかさず褒める
・質問するときは出来事とセットでそのときの感情も聞く
ことの2つです。相談者さんも今日から始めて、息子さんの癇癪から開放されてくださいね!
また、激しい癇癪が起こってしまったときにクールダウンさせる対応は、こちらの記事で詳しくお話ししています。
合わせてチェックしてくださいね。
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)