我慢ができない子どもに振り回されてヘトヘトになっているお母さん、多いですね。特に発達障害の特性があると対応が難しいこともあります。しかし「我慢する力」は子どもの人生にとって必要不可欠。今回は、我慢できない子どもに効果的な対応をお伝えします。
【目次】
1.我慢ができない子どもに悩んでいませんか?
2.発達障害の子どもが我慢ができない理由とは?
◆空気が読めない
◆見通しを持つことが苦手
◆衝動性が強い
3.「我慢する力」を伸ばすコツ
◆事前に理由を説明しておく
◆我慢しなければならない時間を具体的に伝える
◆こまめに褒める
1.我慢ができない子どもに悩んでいませんか?
・ルールが守れない
・順番が待てない
・自分の要求が通らないと癇癪を起こす
こんな風に、我慢ができない子どもの様子に悩んでいませんか?
我が家の息子は発達障害グレーゾーンの小学2年生です。幼稚園の頃は
・とにかく待つのが大嫌い
・ルールよりも自分の「やりたい!」を最優先で我慢ができない
というわがままな様子に悩み、「このままではいけない!」と叱り続けていました。
ところがどれだけ叱っても、息子のわがままは全然よくならない…。だから、ご相談者さんのお気持ちはよく分かります。
実は、子どものころに持っている「我慢する力」は、将来の学力やその後の人生に大きく影響すると言われており、それが実証されている有名な実験もあります。
※1970年にアメリカのスタンフォード大学で行われた「マシュマロ実験」
我慢するということは、状況に合わせてセルフコントロールができると言うことです。
つまり目の前の誘惑に惑わされず、未来の成功のために自分で考えて適切な行動を取ることができると言うこと。
大好きなテレビやゲームを我慢して勉強をしたり、飲み会をキャンセルして仕事をしたりした結果、テストでいい点を取れたり、仕事で大きな成果を残せたというご経験は、どなたにもありますよね。
そう考えれば、「我慢できること」は、生きていく上で大事な能力であることは理解できます。
だからと言って、我慢ができない子どもに対して「仕方ないでしょ!」「ルールなのよ!」「我慢しなさい!」などとガミガミ叱ることで抑圧するのは逆効果です。
なぜなら、
・発達障害グレーゾーンの子どもの「我慢ができない」には脳の特性が関係している
・叱ることで脳を発達させることはできない
からです。
そこで今回は、我慢ができない子どもを大変身させる対応をお伝えします!
2.発達障害の子どもが我慢ができない理由とは?
では、どうして発達障害グレーゾーンの子どもは我慢ができないのでしょうか?
ここでは主な原因を3つお話します。
◆空気が読めない
発達障害グレーゾーンの子どもは、暗黙のルールや人の気持ちなどはっきりと目には見えないものを想像したり読み取ることが苦手です。
そのために
・使いたいおもちゃがあっても、友達が終わるまで待つ
・図書館や病院で騒ぐと他の人に迷惑がかかるので静かにする
などと言った社会のルールを理解したり、自分の行動が周りにどう影響するのかを考えることができない場合も多いのです。
◆見通しを持つことが苦手
見通しを持って行動することには、脳の「ワーキングメモリ」という機能が関係しているのですが、発達障害の子どもはワーキングメモリが弱い傾向があります。
そのために、
・今お菓子を食べたら夕飯が食べられなくなる
・○時までに宿題を終わらせないと習い事に間に合わない
などと未来をイメージすることができず、我慢が必要な理由がわからない場合も多いのです。
◆衝動性が強い
発達障害グレーゾーンの子どもは自己ブレーキをかけることが苦手なために、やりたい!と思ったらすぐに行動に移してしまう傾向があります。
さらに注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプには、目の前の報酬に弱い(報酬遅延の障害)という特性が見られることが多くあります。
これは、すぐに手に入る報酬を好み、将来の大きな成果より目の前の小さな報酬に釣られて行動してしまう、という特性です。
実は最初にお伝えした「マシュマロ実験」は「目の前のマシュマロを15分食べるのを我慢できたらもう1つ食べられる」という条件で子どもの「我慢する力」を調査しているんです。
衝動性が高いと「今すぐにやりたい!」という自分の欲求が優って、我慢できなくなってしまうんですね。
脳の特性は本人にもコントロールが難しいものです。
そのため「だめ!」「待ちなさい!」と子どもの意思を押さえつけることはやる気を奪うだけです。
脳を発達させて思考力や判断力を伸ばすためには、子どもに自信をつけて、自発的に行動させること。
つまり、我慢ができない子どもに必要なのは「自分で考えて行動できる力」なんですよ。
3.「我慢する力」を伸ばす3つのコツ
ここまで読んでお分かりのように、「我慢する力」はすぐに身につくものではありません。
けれど、お母さんが子どもとしっかり信頼関係を築いて上手にサポートすれば、子どもはだんだん我慢することができるようになっていきます。
大事なことは、小さなことでもいいので「我慢できた!」と言う成功体験をコツコツ積ませることです。
そこでここからは、子どもの「我慢する力」を伸ばすコツをお伝えします。
◆事前に理由を説明しておく
1つ目は、事前に我慢しなければいけない理由を説明しておくことです。
ここでのポイントは、子どもの気持ちに共感しつつ親の考えを伝えることと、未来の楽しみを用意してあげることです。
例えば
「スーパーは広いからワクワクしちゃうよね」(共感)
「だけど、他の人にぶつかったら危ないから歩こうね」(説明)
「お買い物が終わったら、帰りにアイスを食べようね」(楽しみ)
という感じで、しっかり予告してあげましょう。
まずは子どもの気持ちを一旦受け入れることで、親の指示を素直に聞いてくれるようになりますよ。
◆我慢しなければならない時間を具体的に伝える
2つ目は、どれぐらい我慢すればいいのか、具体的に時間を伝えておくことです。
やりたいのに我慢しなければならないストレスは、大人でもしんどいもの。1分が1時間のように感じること、ありますよね。
具体的な時間が分かっていれば見通しが立ちやすくなりますし、「だったら○○して待とう」と時間を有効に使うことだってできます。
お母さんも、「まーだー?」と連呼されるイライラを防ぐことができますよ!
「5分待ってね」「10分待ってね」と時間で伝えるのもいいですし、「宿題が終わったらね」「お買い物が終わったらね」と行動で伝えてあげるのもおすすめです。
我慢することを教えたいときは、子どもが「それぐらいなら余裕で待てるよ!」と思えるぐらいのレベルからスタートしましょう。
我慢する時間が短ければ短いほど、我慢の先にあるお楽しみが大きければ大きいほど、我慢することへのハードルは下がります。
◆こまめに褒める
そして3つ目は、我慢できているときにこまめに褒めることです。
子どもの困った行動の原因は「お母さんに注目してほしいから」という場合もあります。
ですから我慢できない子どもには、先にいいところを見つけて褒めてあげればいいんです。
例えば
・列に並んだらすぐに「ちゃんと並べたね」
・病院の待合室で椅子に座ったら「ちゃんと座れたね」
・スーパーに入ったら「ちゃんとお母さんの隣を歩けてるね」
こんな風に、まずは小さな我慢を見逃さずに褒めてあげてください。
子どもは褒められると、「認めてもらえた!」と言う安心感とともに自信がつきます。
その結果、自分で考えて行動するようになり、良い行動がどんどん定着していくんですよ。
そして、最後もしっかり褒めてあげてくださいね。
さらに、普段の遊びの中でも子どもの「我慢する力」を育てることができます。こちらの記事で詳しくお話していますので合わせてチェックしてくださいね。
さて、我が家の息子ですが小学生になった今では、以前よりも我慢することができるようになりました。
状況に合わせてセルフコントロールができるようになったため、
・一緒に落ち着いて買い物ができるようになった
・長時間並べるようになったのでお出かけ先の選択肢が増えた
・「食器洗うのが終わったら、一緒に〇〇探してね」と相手の状況を優先して声かけできるようになった
などと子育てがグッと楽になりました。
お母さんが対応を変えれば、子どもの行動はガラッと変わるんですよ。
いかがでしたか?我慢ができない子どもに効果的な対応は
・事前に理由を説明しておく
・どれぐらい我慢したらいいのか、時間を具体的に伝える
・我慢できているときを見逃さずにこまめに褒める
この3つです。
お母さんの対応で、子どもの「我慢する力」をしっかり育ててあげましょう。すると、我慢ができない子どもから自分で気持ちをコントロールできる子どもに大変身しますよ!
こちらの記事では、「我慢が苦手で困った行動が多い問題」を乗り越えたママの体験談を紹介しています↓↓
こちらの本では、我慢ができない子への正しい叱り方を公開しています。
▼わがままな凸凹キッズへの正しい叱り方が分かります!▼
また、こちらの記事ではわがままな子どもに効果的な対応をお伝えしています。合わせてチェックしてくださいね。
執筆者:森あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)