発達障害の子どもの「失敗することがイヤ」、勝つことへの「こだわり」が強いために トラブル発生…と悩んでいませんか?この「こだわり」を和らげ、チャレンジする子どもになるママのサポート法をご紹介します。 |
【目次】
1.失敗することがイヤ、勝つことへのこだわりが強く悩んでいませんか?
2.発達障害の子どもがこだわる理由は?
◆成功することが正しいと思っている
◆恐怖心がブレーキをかけている
3.「ま、いいか」で切り替えよう!2つの提案
◆ママの褒め褒め作戦
◆「教えて~」とお願い作戦
1.失敗することがイヤ、勝つことへのこだわりが強く悩んでいませんか?
誰もが1度目で成功せず、失敗したことはありますよね。勝負をすれば、必ず勝つとは限りません。
それなのに、どうして我が子はそんなにネガティブなのかしら…勝たなければ気が済まないのはワガママだから?と悩んではいませんか?
これは、発達障害の特性が関係しているため、本人の意思ではどうにもならず、お子さんも悩んでいることかもしれません。
2.発達障害の子どもがこだわる理由は?
では発達障害の子どもにはどんな特性があり、ワガママに見える理由は何でしょうか。
ここではその理由を2つお伝えします。
◆成功することが正しいと思っている
発達障害・グレーゾーンの子どもは、
・初めてのことや苦手なことにチャレンジするのを極端に嫌がる
・脳の発達が未熟な部分も多く、「快」と「不快」に反応しやすい
(勝ち、成功=快、 負け、失敗=不快)
という特性があります。
※詳しくはこちらの記事に書かれています。ぜひ併せてお読みくださいね!
例えば、自閉症スペクトラムの診断が出ている5歳の息子が一年前、保育園で鉄棒の足掛け回りの練習が始まったとき…
息子は順番の列にも並ばずに、「やりたくない!」と言って怒っていたそうです。先生は息子の性格も分かってくれていますから、無理に呼び戻さずに放置していました。
すると列には何とか並びますが、順番になるとやっぱりやりたくない!を繰り返し、最後にはなぜか先生に八つ当たりです。
周りのお友達から見るとただのワガママで、何で怒っているのかさっぱり分かりません。
息子は、発達障害の特性により、初めてのことや苦手なことに不安を強く感じやすく、また失敗するかもしれない(不快)と感じることに敏感に反応してしまいました。
そして「これならできる!」と確信をもてなかったから、足掛けまわりに挑戦できなかったのです。
また、息子は体幹・握力が弱く、身体の使い方がぎこちないため、一度に複数の動きをすることが苦手です。
苦手な運動が多いため、「できた!」「すごいね!」「やった!」という成功体験が少なく、成功することが正しいこと!と思っているため、成功することにこだわり、チャレンジしようとしませんでした。
◆恐怖心がブレーキをかけている
発達障害の子どもは脳の発達が未熟なため、恐怖心・不安・嫌なことを記憶しやすいという特性があります。この特性がチャレンジすることへブレーキをかけてしまいます。
息子は、自分が失敗すると、失敗した自分を許せなくなり、どうしたら良いのかわからず、何も考えられなくなってしまいパニックを起こします。
物事の良し悪しの判断どころか、自分の気持ちさえ見えなくなり制御不能となってしまいます。
このときの息子の心の中は、押しつぶされてしまうような不安に襲われて、その不安から逃げるための手段として、泣き喚いたり、暴れたり、人や自分を攻撃したり、してしまうのです。
息子の場合は、我に返って落ち着いたときには、自分のやってしまったことにも気付くことができます。そして落ち込み、また失敗への恐怖感が増していきます。
この失敗からくる恐怖感が記憶され、チャレンジへのブレーキをかけているのです。
3.「ま、いいか」で気持ちを切り替えよう!2つの提案
失敗への恐れや、勝つことへのこだわりを和らげるには、失敗する(不正解)を受け入れて、「ま、いいか」と、これでもいいのだ!と気落ちを切り替えることで、本人がとても楽になります。
ところが発達障害やグレーゾーンの子どもは、物事を白黒で判断しがちで、あいまいな表現やニュアンスを理解するのが苦手です。
「ま、いいか」は、あいまいな表現なので、発達障害・グレーゾーンの子どもにとってハードルが高いかもしれませんが、「ま、いいか」と思える子どもになるために、ママができることを2つ提案したいと思います。
◆ママの褒め褒め作戦
ママができること一つ目は、失敗や勝負に負けても、頑張っていたことや、良かったことを日ごろから褒めてあげましょう。
結果が全てになりがちですが、そうなるまでの経過の中で本人ができていたことをしっかり褒めて認めてあげることが大切です。
そうすることで、結果だけでなくその取り組み自体に本人が価値を感じることができるようになってきます。
また、本人の自信にもつながり自尊心を取り戻すことで、「できるかもしれないからやってみよう」「チャレンジしてみよう」という意欲もわいてくるのです。
我が家の息子の鉄棒チャレンジですが、なんと、そのあとすぐにできるようになりました!
私はこんなふうに息子を褒めていきました。
ある休日に公園に一緒に行って、息子が鉄棒をやろうとした瞬間を私は見逃さず…(笑)
「お!すごい!ぶらさがれるの?」と鉄棒にぶら下がった瞬間に褒めました。ぶらさがることぐらい簡単だと思いますよね?
けれど、この始めてすぐに褒める、というのはかなりの効果!おすすめです!
この取り組んだことを見逃さない、褒め褒め作戦を、ぜひやってみてください。
◆「教えて~」とお願い作戦
ママができること二つ目は、「教えて~」とお願いすることです。ママに教えてあげることで自信がついてきます。
例えば息子の鉄棒チャレンジではこんなふうにお願いしました。
息子が鉄棒に足をかけようとしたときに、本人が気付かない程度のアシストをしましたが失敗。
そのあと、横で私がやろうとして失敗した姿を見せ、 「あ~どうやるのか分からないや。教えて!」とお願いしました。
「ママできないの?教えてあげるよ」と言ってまたやり始めます。 私は教えてもらうフリをしながら、またさりげなくアシスト。
これも息子にはかなり効果的でした。
鉄棒はいまだに足掛け回り止まりで、逆上がりなどできる気配は微塵もありません。
しかし、逆上がりにチャレンジしようとしますし、失敗しても怒らなくなりました。そして、すぐに足掛け回りに切替えることができます。
大事なのは「逆上がりはできないけど、ま、いいか。足掛け回りやろう」と切り替えられているということです!私は、これは大きな成長だと思っています。
「ま、いいか」と思えるためには、自信を持ってできることがある、という事が大切なのだと思うのです。
あんなに嫌がっていた足掛けまわりでしたが、「ママの褒め褒め作戦」と「教えて~作戦」で自信がつき、今はこの足掛け回りがお気に入りで、得意なものに加わっています。
「ママの褒め褒め作戦」と「教えて~作戦」セットは、大の苦手なお勉強にも役立っています。ぜひ、お試しくださいね!
強いこだわりの中で生きている、というのは本人たちにとっても息苦しく、しんどいことだろうな、と思います。
自信がつくことで、少しずつできることが増え、こだわりも和らいできます。そうなると、今よりぐーっと子育ても楽に楽しくなってきますよ!
こだわりを和らげる提案を多数紹介しています!
執筆者:瀬名香織
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)