娘は現在、幼稚園に通う5歳です。不安が強いので、初めて会う人はもちろん、慣れた人にも挨拶ができません。挨拶ができないことで、母親である私自身が周りから注意されてしまいました。私は毎回、子どもに挨拶するよう促していますが、今後どのように対応していけばよいでしょうか?
5歳・女の子のママ
挨拶は、人とのコミュニケーションを気持ちよくすすめるためにも大切なことですよね。挨拶ができない子どもは、お母さんとしては心配かもしれませんが、挨拶にもいろいろなやり方があります。言葉だけに頼らないことが成功のカギになりますよ。
発達科学コミュニケーションリサーチャー みずおち梨絵
【目次】
1.挨拶ができない子どもには理由があった!
◆挨拶するタイミングが分からない
◆相手が誰だか分からない
◆恥ずかしい
2.周りから指摘されることで親子ともに追い詰められた過去
3.声を出すだけが挨拶じゃない!不安が強いからとあきらめなくてもいいんです
1.挨拶ができない子どもには理由があった!
私たちがコミュニケーションを取る際に、まず必要なのが挨拶ですよね。初対面であればなおのこと、慣れた人であってもまずは挨拶から始まることも多いです。
でも、相手が「こんにちは!」とあいさつしてくれたのに、黙ってうつむいてしまったり、お母さんの後ろにかくれてしまったりして、挨拶ができない子どももいます。
もし、わが子が挨拶ができなかったら、お母さんは相手に申し訳なく思ったり、しつけができていないと思われるのではないかと不安になったりするかもしれません。
もちろん、お母さんがお子さんに日頃から挨拶が大切なことを伝えていれば、挨拶ができない子どもも、挨拶しなればいけないことは分かっています。
では、なぜ分かっているにもかかわらず、挨拶ができないのでしょうか?
それにはいくつかの理由が考えられます。
◆挨拶するタイミングが分からない
お母さんと一緒に知り合いの人に会ったとき、相手から「こんにちは」と言われました。お母さんは、「こんにちは」と言って、相手の人と立ち話を始めます。
その時、子どもはどういう気持ちでいるでしょうか?
お母さんと一緒に「こんにちは」と言えればよかったけど、言いそびれちゃったし、もうお母さんは相手の人と話しているし… ということで、結局、挨拶しないままに終わってしまうことがあるのです。
◆相手が誰だか分からない
たまにしか会わない親戚のおじさんだったり、お母さんのお友達だったりすると、子どもにとっては誰だか分からない人である可能性もあります。
知らない人と話すことが苦手な人見知りの子どもにとっては、相手が誰だか分からない人に挨拶することはハードルが高いかもしれません。
◆はずかしい
不安が強いために挨拶ができない場合もあります。相手の人から「こんにちは」と言われても、緊張や不安が先にきていしまい、なかなか声を出すことできないのです。
このように挨拶が必要なことは分かっているのに、緊張や不安が強くて挨拶ができない場合、子どもに「挨拶しなさい!」と注意したり、「なんでちゃんと挨拶できないの?」と責めたりすることは、逆効果になってしまいます。
子どもはますます自信をなくし、余計に挨拶ができなくなってしまったり、挨拶を交わす行為自体がイヤになってしまうかもしれません。
今回は、私自身が経験したことをお伝えし、不安が強いお子さんに無理強いすることなく安心して人とのコミュニケーションが取れる方法をお伝えします。
2.周りから指摘されることで親子ともに追い詰められた過去
ここで、私が経験した過去のお話をさせていただきます。
娘は、不安が強いという特性があり、挨拶をする場面では、不安と緊張で固まってしまうことがありました。
幼稚園ともなれば、周りの目も「挨拶くらいできて当たり前!」という見方になります。私自身も、親から挨拶をすることは大切なことだと言われて育ってきたので、挨拶の重要性は十分に理解をしています。
しかし、目の前の娘は挨拶をしません。私は、挨拶をしない娘を目にするたびに、注意をするようになりました。何度注意をしても絶対に挨拶をしない娘を、きつく叱ってしまったこともあります。
その上、娘が挨拶をしないことで、周りの人から母親である私自身が注意をされることもありました。
「子どもには挨拶くらい教えてあげないと」と言われ、私もイライラしてしまい、娘に対する注意がだんだんと感情的になっていくのが、自分でも分かるくらいでした。
今考えると、不安が強いことで思うように挨拶ができない娘の気持ちを理解するのではなく、私自身がしっかり育児ができていないと周りから見られているという劣等感から、感情的になってしまっていたのが分かります。
子どもはそれぞれ気質や性格も違うのに、娘のできていないところ(マイナス部分)と他の子どものできているところ(プラス部分)を比べては、娘にダメ出しをしていました。
比べる観点がズレている上に、他の子と比べることは意味がないことです。娘は、注意ばかりされることで、ますます挨拶することを拒否するようになってしまいました。
周りの目によって、過去の私のように追い詰められているお母さんとお子さんがいらっしゃると思うと、心が傷みます。
そこで、わが家で実際に行ったコミュニケーションの方法をご紹介します。不安の強いお子さんと、それを見守るお母さんの参考になればうれしいです。
3.声を出すだけが挨拶じゃない!不安が強いからとあきらめなくてもいいんです
挨拶というと、子どもは大きな声で元気よく言うことがいいと言われていますよね。
しかし、今回私がお伝えしたいことは、
挨拶は声を出すことだけではない!代替案はいくらでもある!
ということです。
声が出ないのであれば、顔の表情と動作を使い分けてみてはいかがでしょうか?組み合わせれば立派な挨拶になります。要は相手に気持ちが伝わればいいのです。
この方法は、他人への挨拶に躊躇を示す思春期の子どもにも使えます!
具体的には、
・表情だけでもニコッと笑う
・手を振って、相手の存在に気がついているということを示す
・頭をペコっと下げて会釈する
・口角を上げてみる
・幼児同士ならお互いの手のひらで「タッチ」をする
などです。これらを組み合わせて挨拶の代わりとしたら、子どもでも気軽にできますよね。お母さんも注意をしなくてよくなるので、気持ちが軽くなりますよ。
まずは、ハードルを下げてあげることを優先し、緊張と不安を和らげてあげましょう!繰り返しできていることを認めてあげることで、自信へと繋がっていきます。
不安が強い場合、無理強いをして挨拶を強要することは危険です。挨拶自体がトラウマになってしまい、あとあとまで尾を引いてしまうこともあります。お子さんの状況を見極めて、提案してあげてくださいね。
娘は代替案を使い挨拶することで、その後のコミュニケーションが取りやすくなり、お友達とも楽しくお話しするようになりました。
不安が強いお子さんは初めが肝心です!挨拶を強要して最初につまずくよりも、その後の行動へスムーズに運べるように働きかけてあげたいものですね。
親子とも、周りの目に振り回されることなく、楽しく過ごせることを優先していただきたいと思います。ぜひ今日から試してみてくださいね!
執筆者:みずおち梨絵
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)