発達障害の子どもには手がかかり、しっかりもののきょうだいはいつも我慢しているかもしれません。発達障害の妹を持つ思春期の息子に親の愛情と褒めを伝え、息子の変化を感じた経験をお伝えします。 |
【目次】
1.発達障害のきょうだいにも愛情をそそいでいるけれど…
2.発達障害の妹への当たりがキツイ優等生の兄の怒り爆発!
3.妹が生まれてからいつも我慢ばかりの兄の気持ち
4.発達障害のきょうだいがいる思春期の子どもに届く褒めの対応3つ
◆子どもの望みをかなえる
◆2人だけの時間
◆ちょっとの変化への声かけ
5.褒めが伝わった!息子の変化とは
1.発達障害のきょうだいにももちろん愛情をそそいでいるけれど…
発達障害の子どもは手がかかります。
勉強もつきっきりで見てあげたり、着替えや片付けのフォローも必要。
発達障害の子どもは大きくなっても甘えん坊で、どうしてもお母さんと一緒にいることが多くなりがちです。
そのため、つい我慢させたり、一人でできるならと放っておきがちになるしっかりもののきょうだいたち。
本当はきょうだいに分け隔てなく同じように愛情を注いで育てたい親の気持ちがあります。
一方で、お兄ちゃんならもっと大人になって親のことを手伝ってほしいとか、大変さを察してほしいなんて言う気持ちもありますね。
そんな時、発達障害の子どものきょうだいはどう思っているのかな、と気になってしまうお母さんはいらっしゃるのではないでしょうか。
この記事では、発達障害の妹をもつきょうだい児の中学生の兄へ親の愛を届けた、私の体験をお伝えします。
2.発達障害の妹への当たりがキツイ優等生の兄の怒りが爆発!
我が家には中三の兄と小三の妹のきょうだいがいます。
息子は敏感なところがありますが、幼いころから外で頑張るしっかりものでした。
学校では先生が期待を寄せる優等生でリーダータイプ。外ではなんの問題もない子です。
ただ、外ではいい子で頑張りすぎるため疲れて、家ではわがままで私が何か言うとすぐ怒ったり口答えすることもありました。
そのため、私は息子に対し、とても育て辛さを感じていました。
家でキレて暴れたり、傍若無人な態度をとったりする息子に、子育てがうまくいかない私は母親としての自信をなくしていました。
息子に育て辛さを感じていた当時の経験はこちらの記事です。併せてチェックしてくださいね。
娘は発達障害で軽度知的障害のIQで、現在支援学級在籍の小学三年生です。
発達の特性から感覚過敏で不安が強く、手先の不器用もあり、全体の発達がゆっくりなので、まだ手がかかる子です。
末っ子らしくわかりやすい甘えん坊です。
娘は手先が不器用なので、道具の扱いが苦手でお箸を使わないで食事を手で食べてしまうことがあります。
それを見た息子が「きたねーな!ちゃんと箸で食えよ!」と怒鳴ったり、
テーブルに置いてある娘のプリントをみて「こんなのもわかんねーのか!バーカ」
なんて娘にひどい言葉を浴びせることがあるのです。
そんな息子を私は苦々しい気持ちで見ていました。
「自分ができるからってそんな言い方はないでしょう」
「障害があるからできないことがあるんだよ」
「もっと思いやりを持って優しくしてよ」
というように、妹を理解して配慮するように求めていたのです。
そんなある時のことです。前々から決まっていた予定があったのですが、娘の不安が強くて予定を決行するのが難しいから予定を変更したい、と息子に相談しました。
息子は予定していたことを変更するのに納得ができない様子で
「特性、特性ってうるせーんだよ!特性があればなにやっても許されんのか?あいつばっかり優先しやがって!」
と、怒り出してしまいました。
そんなことはない、と言おうとして、私は気が付きました。
3.妹が生まれてからいつも我慢ばかりの兄の気持ち
息子はずっと我慢していたのです。
まだ娘が幼児の時には、「あなたは大きいから我慢して」
大きくなって障害がわかったら今度は「障害だから我慢して」
いつも自分は妹のために我慢させられている、そう思ってしまって当然かもしれません。
息子は妹が生まれる前までは両親の愛を独占してきたのです。
それなのに妹が生まれてからは、なんだかんだと我慢させられてしまう。
兄の宿命と言ってしまえばそれまでですが、本人は納得するはずもありません。
親としては我慢させようなんて思ってはいないのです。
その時その時で精一杯、きょうだいとも平等にしてあげようと思っているし、そう思って子どもに対応しているつもりなのです。
ところが家事、仕事、手がかかる子どもの世話、とお母さんも余裕がなく毎日いっぱいいっぱいです。
息子は外でいい子になって頑張る分、家ではわがままだったり、疲れてエネルギー切れで動けないことがよくあります。
そのため、いくら外で褒められるいい子でも、家での息子の態度をみて、苦々しい気持ちを持っているため私は息子を褒めていなかったのです。
一年半前から娘のため発達科学コミュニケーションを学ぶようになり、親子関係を良好にするには褒めが大切だと理解しています。
それなのに、息子は一番褒めてほしいお母さんに褒められていないと気づきました。
二人とも私の大事な子どもだということを、子どもたちに伝えていかないといけない。思春期になっても決して遅いことはないのです。
少しずつ親から離れだした思春期の子どもに、どうやったら親の愛情を伝えられるだろうと考えて日々実行していることを次項でお伝えします。
4.発達障害のきょうだいがいる思春期の子どもに親の愛情が届く対応3つ
発達障害の子どものきょうだいが思春期になっても親の愛が届く褒め対応をご紹介しますね
◆子どもの望みをかなえる
親は子どもの望みをかなえるために尽力することです。
発達障害のきょうだいがいても、あなたはあなたで人生の望みをかなえるために生きていいんだよ、とメッセージを送り続けています。
そして、そのためには私も協力するし、あなたの幸せを望んでいるという姿勢を見せています。
やりたいことを自分の意思でやる、自分の進路は自分で決める。
そのことを後押しすることが大事ですが、日々の小さなことからその姿勢を見せることもできます。
たとえば、テレビでおいしそうなコンビニスイーツの特集を見たとします。
「おいしそう」なんて子どもが言ったら、こっそりそのスイーツを買っておいて
「お兄ちゃんが食べたそうにしていたから買ってきたよ!」
という感じです。
夕飯に好きなおかずを作ってあげるのでもいいでしょう。
息子も自分のために親が察して希望を汲み取ってくれたと感じたのかうれしそうにしています。
とはいえ、様々な理由ですべて子どもの希望はかなえられないかもしれません。
でも、親が自分のためにエネルギーを使って望みをかなえようとしてくれていることは伝わると感じています。
◆2人だけの時間
発達障害のきょうだいがいる場合、その子を抜きにして2人だけの時間を取ることです。
発達障害の子どもがいるとどうしてもそちらに目が行ってしまったり、なにかやらかすことも多いので注意がそれてしまいます。
だから2人で外出するのがいいと思います。
ところが、思春期はなかなか親と行動を共にすることがなくなってきますね。
三者面談とか、通院とか何かの機会に外出することがあれば、その時に二人でおいしいスイーツを食べたりして心を満たすといいですね。
顔を見れば、やれ成績がどう、進路がどうと気になることを言ってしまうかもしれません。
そういった話題ではなく、子どもが興味を持っていることやどんどん話してくれる楽しい会話をするのがいいですね!
話題が乏しければ一緒に食べているものについての会話や、見える景色についてでもいいと思います。日常の何気ない会話を楽しんでくださいね。
また、我が家では夜、娘が寝た後に息子が塾から帰ってくるので、その時間に話をすることがあります。
ほんの5分でもそういった時間を取ることが子どもにとっても言いたいことを話す時間になったり、コミュニケーションの貴重な時間になると感じています。
話すことで子どもが自分の頭の中を整理している様子も見られます。
二人だけの時間を大切にしてくださいね!
◆ちょっとの変化への声かけ
いつもと違う行動をしたとき、髪を切ったとき、ニキビが増えたときなど、なんでもいいですが、子どものちょっとした変化に声をかけてあげることです。
お母さんは君を見ているよ!ということを知らせてあげることです。
やはり、自分のことに関心を持ってもらうというのは誰しもうれしいことではないでしょうか?
子育て四訓の一節に「少年は手を離せ目を離すな」という言葉があります。
この言葉は悪さするから見張っておくように!という意味に使われることがありますが、そうではないのです。
いつもあなたを見ているよ、と伝え肯定するということなのです。
もちろん行動範囲も広くなり、もう親が四六時中見ていられない年頃です。
子どもも自立に向けて自分で考えて行動していかなくてはいけません。
親からの視線を感じることができれば、困難があっても応援してもらえているから乗り越えよう、と思えるでしょう。
また、この行動はお母さんが見たらどう感じるかと、良し悪しを判断するための基準になると思うのです。
人は誰しも成長したい、良くなりたい、役に立ちたいという気持ちがあります。
この気持ちは自分の気持ちが満たされて初めて思えるものです。
自分が親から愛情を注がれていると感じることが子どもの良い行動を増やすのです。
次項では、息子の変化を感じられた出来事についてお伝えしますね!
5.褒めが伝わった!息子の変化とは
ある日、私がリビングで娘の勉強をみていました。娘は集中が切れて、ちょっとだらけはじめています。
その時、息子が私に書いてほしい書類があるとリビングにやってきました。
私が息子に「いま勉強みているから、後で書くからそこに置いておいて」というと、
「ふーん、じゃ俺が勉強みてやるから、その間に書いてよ」というのです。
意外な申し出に、お兄ちゃんが大好きな妹は大喜びで勉強に取り掛かります。
「お、できてるじゃん!」
「あってる。いいね!」
妹をしっかり褒めて上手に勉強をみていました。
私は驚いてしまいました。
妹が勉強が苦手なことをバカにしていた息子です。
まさか、妹の勉強を自分から見るというなんて!しかも、ちゃんと褒めながら勉強を見てくれている!
この様子を見て息子にもしっかり褒めが届いているんだな、と、うれしくなってしまいました。
発達障害のきょうだいは、もしかしたらしっかりせざるを得ないプレッシャーを感じているかもしれません。
しっかりものの発達障害の子どものきょうだいにも、お母さんが愛しているということをちゃんと伝えたいですね。
そして、あなたは自分の人生を楽しんで自分がやりたいことをやってもいいんだよ、といつも言ってあげたいです。
私の経験が皆さんの子育ての参考になれば幸いです。
思春期の反抗期の子どもとの親子関係を良好にする会話術はこちらです。
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執筆者:笹原みらい
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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