吃音による随伴運動を悪化させない!吃音っ子が自然に話し方をマスターする方法

吃音は徐々に症状が悪化していきます。ブロックが現れると随伴運動が悪化してしまい、親子で話すのが辛くなっていきます。子どもの自信がなくなる前にママとの日々の会話で言葉を出しやすくする方法をマスターするのも症状回避の1つの手です。そのテクニックをご紹介します。
 

【目次】

1.吃音はだんだん重い症状に変化していきます

 
 
幼児期に発症する発達性吃音は、
 
 
「お、お、おはよう」という音の繰り返しから、
 
 
「お〜はよう」という音の引き伸ばしの順に進み、
 
 
「…おはよう」、「お…はよう」という声がつまるブロックという症状が出てきます。
 
 
症状の進み方はどんな言語を使っていても同じで、徐々に徐々に進行していきます。
 
 
 
 
音の繰り返しと引き伸ばし期間は、子ども自身はあまり吃音を気にしません。
 
 
気づいていても子どもにとって流暢にスラスラきれいに話すという価値観はそもそもないので、大人が余計なことを言わなければ、どもっても構わずおしゃべりをしてきます。
 
 
ところが、このブロックが出現すると、症状が進行しているサインとなり、さすがに子ども自身も話しにくさを感じ、本人も周りで見ている大人もとても辛い状態になります。
 
 
ブロックという症状と切っても切れないもので随伴運動というものがあります。それぞれについてもう少し説明をしていきます。
 
 

♦ブロック

 
 
声は、喉仏の中にある声帯という筋粘膜を震わせて出します。
 
 
この声帯から口先のどこかが勝手に閉じて出せなくなった状態がブロックです。
 
 
 
 
声帯が閉じてしまうこともあるし、喉の奥が閉じてしまうこともあるし、舌の奥が閉じてしまったり、唇が閉じて声が発せなくなるなど様々です。
 
 
成人の吃音の方は、ブロックが出る前に出そうだと予期できるようになると言います。このブロックを回避するために様々な工夫をしてブロックから逃れようとします。
 
 

♦随伴運動

 
 
ブロックが出た時に言葉を出そうと、身体の動きの反動を利用して言葉を出そうとすることを随伴運動と言います。
 
 
その反動から言葉が出たという成功体験から、言葉を出す時はその動きを繰り返して言葉を出そうとしていきます。
 
 
言葉が出るのなら良いのではないか?と素人的には思ってしまいますが、次第にこの効果は薄れていき同じ反動を利用しても言葉が出なくなってしまうのです。
 
 
 
 
するとまた違った他の動きを見つけたりしますが、それもまた効かなくなっていくのです。そして、結果的には随伴運動自体が効かなくなってしまうのです。
 
 
次第に年齢が高くになるについて、このように工夫をしてもブロックから逃れられないと分かってきます。そうなると絶望感や無力感に襲われ、吃音をコントロールできない自分はダメな人間だ、と自分自身をも否定するようになっていきます。
 
 
それぐらいブロックまで症状が進行すると話すことが辛くなっていきます。さすがに子どもでもブロックが続くと「なんかうまく話せない!」と辛くなり自信をなくしていくことがあります。
 
 
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2.我が子を直視できない日々が本当に辛かった…

 
 
私の娘は3歳の頃に吃音を発症し、4歳になった頃にブロックが出てくるようになりました。
 
 
ブロックが悪化し、話すたびに声がつまると体の一部を動かす随伴症状が現れ、腕をブンブン振りながら話すようになりました。
 
 
ブロックは聞いている側も息苦しくなるし、随伴症状が出ると、辛そうで辛そうで思わず目をそらしてしまいたくなります。
 
 
娘は息苦しそうではあるのですが、私に伝えたいことがあるので、それを伝えたい!という思いだけで一生懸命話してくれます。
 
 
その姿も痛々しく感じてしまい、私は笑顔をキープするのがとても辛い時期がありました。うっかり顔を背けてしまったことが何度もありました。
 
 
 
 
子どもの前で目をそらしたり、顔を背けるのはよくないと分かっているのにどうしても直視できませんでした。
 
 
今思えば、きっとママの感情の変化に娘は気づいていたと思います。
 
 
ブロックの息苦しさをなんとかしてあげたい!やっと、その段階に至って、あることをしよう!と決断したのです。
 
 
その方法として思いついたのが話し方の工夫です!
 
 
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3.子どもはママのマネ事が上手!マネしてもらうつもりで話しかけていこう!

 
 
幼児期は言葉に限らず、周囲の大人の真似をして成長する吸収の良い時期です。爆発的な言語発達時期とも重なり、短期間にたくさんの言葉や表現を覚える時期です。
 
 
この時期を生かさない手はありません!
 
 

◆①発声方法の「軟起声」をママが習得する

 
 
子どものブロックが強い時は、ママが意識して、声を出す器官、つまり声帯・喉・口のいずれもやわらかく使って、声帯・喉・口のいずれもが閉じにくいような話し方をします。
 
 
このような話し方は、やわらかい声で話さないとできません。ふわっと話し始めるイメージです。
 
 
それを「軟起声」といいます(発声方法の1つです)。
 
 
このような話し方をするとブロックは出にくくなります。
 
 
例えば、
 
 
「こら!」の「こ」は強く始まりますよね。
 
 
 
 
それをあえてやわらかい声で始めるとしたら、「こ」が聞こえるか聞こえないかの微妙な音にして「(こ)ぉら」とするイメージです。
 
 
声を出す前に聞こえない程度の「はひふへほ」や「あいうえお」をつけるとふわっとした話し始めになりやすいです。
 
 
芸能人でいうと、お笑い芸人「ぺこぱ」の松陰時さんの話し方、「俺」を「ふぉれ」というのをもっと自然にしたイメージです。
 
 
ガンバレルーヤのまひるさんはとても自然に軟起声で話せているので、吃音の方には理想的な方だと思います。まひるさんの話し方を真似できたらブロックは出にくくなると思います。
 
 
これらのイメージを持って先ずはママが軟起声の習得を目指します!
 
 

◆②1日5分のお話タイム

 
 
ママは毎日忙しいと思いますが、1日5分でいいので、お子さんを抱っこして軟起声で語りかけながら話をする時間を設けることをお勧めします。
 
 
できたら保育園や幼稚園などで頑張って帰ってきた後にそのような時間を設けてあげてください。
 
 
どうしても保育園や幼稚園などでうまく話せないことで我慢していたり、自分の感情を受け止めてもらえていないことがあります。
 
 
ですから、帰宅後にお子さんがしっかりアウトプットできる時間を作ってあげることがとても大切なのです!
 
 
大好きなママにギュッとしてもらいながら会話をするとママの声もお子さんに届きやすくなります(その時間帯がどうしても難しい時はママが気持ちに余裕がある時間帯で大丈夫です)。
 
 
そしてその時は特に意識して、ママは軟起声の話し方でお子さんと会話をしていきましょう!
 
 
この時期は周囲の大人の真似をして成長する吸収の良い時期なので、ママの話し方のマネを自然としていきます。
 
 
 
 
この対応を続けていくうちに、我が家の娘は5歳1ヶ月の頃から吃音がパタリと出なくなりました。
 
 
今でも軟起声で話す子です。幼児期に刷り込まれたスキルはなかなか抜けないものですね。
 
 
吃音治療は色々あり、幼児に話し方を教える訓練法もあります。
 
 
毎週または毎月、専門家のところに通わなくても毎日一緒にいるママがどもりにくい話し方をマスターして接していれば、自然とその話し方を子どもが真似して習得していきます。
 
 
効果は徐々に徐々に現れますから、ぜひ、今日から取り組んでみてください。
 
 
吃音には波があるので、ブロックの症状に一喜一憂せず気長に対応していってください。
 
 
 
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執筆者:おざわ つきこ
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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