発達障害の小学生の進級に向けて不安が高まっていませんか?3学期~春休み中にサポートレターを引き継いでもらうことで、新担任との良好な連携を叶え、新学期の不安を軽減しましょう!
【目次】
1.発達障害の小学生の進級は親子ともに不安がいっぱい
2.発達障害・自閉症スペクトラム症タイプには負担が大きい新学期
3.なぜ4月より前から対策を?進級前の先生事情
4.3学期~春休み中に!サポートレターは新担任への親からの熱いメッセージ
①子どもの理解に役立つサポートレター
②サポートレターを作成する親側のメリット
1.発達障害の小学生の進級は親子ともに不安がいっぱい
いよいよ進級の時期になりましたね。
小学校という長いようで短い6年間の中で毎年この時期になると、どうなるんだろうと心配になりますよね。
今年が初めての進級という今1年生の発達障害のお子さんをお持ちのお母さんは、ようやく落ち着いたのに、もうクラス替えなのかと心配な気持ちになるのも無理もありません。
我が家にはもうすぐ小学3年生になる自閉症スペクトラム(ASD)傾向の息子がいます。
息子が1年生から2年生になる時は、本当に心配しました。
1年生後半は学校生活にもすっかり慣れて毎日元気に登校していましたが、2年生になると言うことは担任の先生もクラスメイトもリセットです。
2年生への進級に限らず、どの学年にも言えることですが、異動してきた全く知らない先生が担任になることも当然あります。
息子が1年生から2年生へ進級する時、学校側で新担任への引き継ぎをします、と言われましたが正直不安でした。
早い段階で新しい担任の先生とコンタクトを図れたらと思っていましたが、結局始業式当日は「上手くいきますように!」と神頼みのような心境だったことを今でも覚えています。
2.発達障害・自閉症スペクトラム症タイプには負担が大きい新学期
特に発達障害で自閉症スペクトラム症(ASD)タイプの子どもには次のような特性が見られる傾向にあります。
・いつもと同じこと、ものを好む傾向がある
→決まった時間割で動くことに安心感を覚えるため、新学期の変則的な授業内容だと一体何をやるんだろうと不安になりがち
・初めての場所、初めてのことが苦手
→新しい先生、クラスメイトの中で極度に緊張して何も言えない、逆に落ち着かずにオーバーな態度を取ってしまうことも
・聞く力が弱く、口頭指示を聞き漏らしてしまいがち
→新学期始まりに多い身体測定や避難訓練など、移動する場面で行動が遅れがち
このようなことが表面化してくると、周りのクラスメイトから否定的な目で見られてしまうこともあるかもしれません。
本人も何とかついていこうとして神経を張り巡らし、帰宅後は疲れてヘトヘト状態…
新学期は発達の特性を持つ子どもにとって非常に負担の大きい時期と言えます。
ですので、親としてはできる限りスムーズに新学期を迎えられるように学校側にサポートをお願いしたい、と思いますよね。
3.なぜ4月より前から対策を?進級前の先生事情
自治体や学校によってやり方は様々あることは前提としても、3学期から春休みにかけての先生事情は、新しいクラスの準備、人事異動など盛りだくさんでしょう。
なぜ3学期から春休みの間のうちに進級への対策をとるべきなのか、考えてみましょう。
◆先生は本当に忙しい
学校の先生という仕事はブラック企業並みと言われるほどに激務であることは有名です。
先生に色々とお願いしたいことはあるけれど、忙しい中で直接会ってお話しする時間を作ていただいたり、電話をかけるのも気が引けたりしてしまう…という方もいるのではないでしょうか。
ただでさえバタバタする4月です。
保護者会まで待てない!と始業式を終えてからのタイミングで(緊急事態を除き)早々に面談や電話でのお願いはちょっと申し訳ないな、と思いますよね。
◆担任の先生は始業式前には分からない
では、春休みの間ならば…と新学年の担任の先生と始業式前にお話しができるかと言うと、残念ながらできません。
担任の発表はあくまでも始業式の時で、それ以前に生徒や保護者に伝わることのないように情報は守られるようです。
◆4月は人事異動がある
春休み中には、今の先生から新学年の先生へ生徒情報の引継ぎがされます。
支援級のみならず、普通級でも発達障害、グレーゾーンの発達特性のある子たちの情報は引継ぎをして下さいます。
ここで気になるのが人事異動です。
異動してきた先生には、生徒の情報はデータのみということも。
前任の先生がすでに異動していて直接話が聞けないという状況が発生することもあるようです。
また保護者からしても、異動してこられた先生の雰囲気も全く分からないためコミュニケーションを図るにも気持ち的ハードルが高くなるのではないでしょうか。
◆引き継がれる生徒情報の中身ははたして?
引継ぎの内容としては当然先生目線になりますよね。
生徒が学校生活をスムーズに送れるよう、こんな苦手さがある、授業の中でここは支援が必要、といった内容になることが予想されます。
もちろん大事なことですので引継ぎをしていただきたい内容です。
ここで気になるのは(先生によって引継ぎ内容に差はあると思いますが)、子どもの苦手なことに注目が多いような引継ぎになっていないか?ということです。
それを手にした新担任の先生は自然とできないところに目がいってしまうことも考えられますよね。
また、先生ももっと生徒の好きなこと、得意なことを知りたいと思っていると信じたい!
しかし、新学年がスタートして時間もない中、なかなか生徒1人1人と関わることは難しいでしょう。
このように、親としては子どもの進級に不安を感じながら、先生の子どもへの理解と支援を期待してしまいますが、実際問題先生は手一杯というのが現実なのではないでしょうか?
それゆえ、3学期から春休みの間に早めに学校側へアプローチをしておくことがいいと考えられます。
4.3学期~春休み中に!サポートレターは新担任への親からの熱いメッセージ
そこで始業式を迎える前に、今から親ができることをご提案させていただきます。
それは新学年に向けてのサポートレターを早めに現担任やスクールカウンセラー、コーディネーターの先生に手渡し、春休み中に確実に新担任に引継ぎをしていただくことです。
◆①子どもの理解に役立つサポートレター
サポートレターとは、子どもの特性、得意や苦手、困りごと、その支援方法などを家庭から学校にお伝えするものです。
私はずっと発達科学コミュニケーション(発コミュ)のパステル総研が出しているサポートレターを使用しています。
このサポートレターの特徴は、好き・得意と嫌い・苦手を合わせて書くこと、困ったときの対処法を書くことです。
学校生活に関する先生間の引継ぎにプラスして、子どもの好きや得意を知ることができ、家庭で上手くいっている対処法が書かれているので先生にとっても参考になる内容です。
また、情報が多すぎても読む方も負担になりますので、さらっと読めるA4サイズ2枚になっています。
サポートレターを受け取った新担任の先生の印象はどうでしょうか?
支援を学校側だけにお願いするのではなく、家庭でもしっかりと特性に対応していることが伝わるのではないでしょうか。
また、新学年に向けて学校側へ早めに情報共有をしようとする姿勢も伝わりますよね。
先生としても保護者との連携が図れると助かりますし、連絡もしやすくなると思います。
私は、サポートレターは読みやすいようにパソコン入力しましたが、 学校側と連携していきたいと思っていること、 家庭でできることは対応していくこと、 そして1年間よろしくお願い致します、というメモを手書きにして付けました。
自己満足ですが、少しでも親の気持ちが伝わればと、先生への熱いメッセージのつもりで作成しました!
現在の担任の先生にお渡しし、引継ぎをお願いした時には、「とても助かります。家庭での対応が参考になりますし、勉強になります。しっかりと次の担任に引き継ぎます。」と言っていただけました。
昨年度は心配でたまらなかった進級でしたが、今年度はきっと学校側にも先生にも気持ちが伝わると信じて去年ほどの不安は感じていません。
発コミュのサポートレターについては、こちらを合わせてお読みください。私が使用しているサポートレターのフォーマットがダウンロードできます!
◆②サポートレターを作成する親側のメリット
私はサポートレターを作成するようになって3年目になりますが、作成側にもメリットがあると感じています。
作成にあたり、子どもの現状をしっかりと見つめるいい機会になりますし、去年のものをもとに作成していくと、困りごとや苦手なことがなくなっていると成長を感じることもできます。
また夫と内容を共有することで、共通認識が生まれ家庭内サポートもスムーズになると感じています。
初めてサポートレターを作成するときは、なかなかと時間がかかりますのでお早めに作成をされることをお勧めします。
しかし一度作成しておけば、次回以降同じフォーマットを使用するならば修正をかけるだけになりますので、年々作成も楽になっていきますよ。
新担任と良好な関係を築くスタートとして、新学年が始まる前に学校側にサポートレターを手渡し、進級不安を軽減する! ぜひ参考にしてみてください。
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執筆者:菅美結
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)