発達障害のお子さんが、学校でうまくいかなくなったとしたら…あなたはどんな対応を考えますか?なんとか学校でうまく行くように頑張らせる?それとも学校以外で子どもの居場所づくりをする?今は学びの場・居場所を選べる時代!先輩ママにお話を伺いました。 |
【目次】
1.わが子が不登校になったらどうする?
発達障害のお子さんは、学校になかなかなじめない場合があります。
私の息子は現在小学校1年生。幼稚園の年少さんで発達障害・自閉症スペクトラムと診断されました。
診断された瞬間、頭に浮かんだのは、「この子はこの先、学校や社会とうまくやっていけるんだろうか…」という心配でした。
私が子どもだった頃、学校は「毎日登校するのが当たり前」の場所でした。学校をお休みするのは、体調不良や冠婚葬祭のときだけ。
私だけでなく、今のお母さんたちはみなさん同じような子ども時代を過ごされたのではないでしょうか?
つまり、私たち母親は「学校は行かなくてもいい」という選択肢がまったくない子ども時代を送ってきたのです。
子どもが発達障害と診断され、なんとなく「学校生活が厳しいかもしれないな…」という覚悟はある。
無理をして失敗体験を重ねるよりも、学校以外の居場所を見つけた方がいいのではないか?という想いもある。
フリースクールの存在が特別なものではなくなり、文部科学省も「不登校の子は学校に無理に戻さなくてもいい」という方針を掲げている。
まさに、子どもが自分の能力や特性に合わせて、学びの場・居場所を選べる時代に入っているのです。
が!私たちは母親は、この時代の変化に合わせて考えをアップデートできているのでしょうか?
そこで今回、実際に学校以外に居場所を求めた先輩ママにお話を伺うことにしました。
発達科学ラボ・川崎舞子さんの息子さんは小学校4年生。
1年生の1学期はとてもスムーズだった息子さんですが、夏休み明けから学校でうまくいかないことが増え、2年生のゴールデンウィーク明けから不登校になってしまったそうです。
今は息子さんのペースで学校に復帰して通常級(通常学級・普通級)と通級を利用しているそうです。
今回は川崎さんがどんな対応をされたのか伺いました。
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――学校でうまくいかなくなってきたころ、学校にどんな支援をお願いしましたか?
「居場所として通級の利用や保健室登校ができるか小学校に聞いたところ、『通級はない、保健室登校も先生が少ないからできない』ということで、学校の中に居場所を作ることはできませんでした。
通級は当時、市のなかで2~3校しかありませんでした。もちろん利用できたら利用したかったです。
居場所として図書館も提案してみました。司書さんがいらっしゃるので大丈夫かなと思ったのですが、結局許可は下りませんでした。」
――学校外で支援を得ることはできましたか?
「2年生の夏に病院で発達検査を受けました。
そのときお医者さんに、『自治体によって支援が異なるから、スムーズに支援を得たいなら診断書を書きます。』と言われたのでお願いしました。
その診断書のおかげで福祉の関係の方とつながることができ、放課後デイサービスに通い始めました。
週1回1時間、1:1ですが、内容は本当に自由で、息子がイヤなことは一切せず、何をしても怒られず、好きなことをして過ごしています。
デイの先生も相性の合う方を探してくださって、少しずつ時間をかけて慣れていきました。今ではデイも先生も大好きで、第2の家のようにリラックスできる場所になっています。
今は週3回ほど学校に通っていますが、デイの日は学校を早退してデイに通っています。」
◆ポイント解説
川崎さんの場合、学校のなかで、教室以外の居場所を探すことから始めました。
教室が居づらくなったとき、通級教室、保健室や図書室など、学校の中に居場所になりそうな場所もあります。まずは先生に相談してみましょう!
一番大切な考え方は、「子どもをつらい教室の中にこのまま置いておくのか?」ということだと思います。
もし断られてしまっても、川崎さんのように学校に固執せず、学校の外で居場所探しをする姿勢はとても重要だと感じました。
放課後デイサービスだけでなく、習いごとやフリースクールなど、学校の外で居場所になりそうな場所はたくさんあります。
現在川崎さんの息子さんは学校に復帰していますが、学校を早退してデイサービスに通うなど、お子さんのペースを大切にした対応が印象的でした。
子どもは頑張って通っている場合がほとんどです。無理をさせず子どものペースを守ることが大切です。
2.学校での子どもの居場所づくりー支援は充実しつつあるけれど前途多難!?
――今は通級を利用されていると伺いました。きっかけを教えていただけますか?
「今年4月から学校で通級が始まりました。
学校のおたよりで、偶然『通級指導員』という言葉を見つけて知りました。
先生に聞いてみたら『実はできました』と言われたので、その場で『お願いしたいです!』と伝えました。
ちょうど学校も、どの子を通級に入れようか協議をしている段階だったようです。息子は授業中立ち歩くなどの行動面は問題なかったので、もし私がお願いしなければ入れていなかったかもしれません。」
◆ポイント解説
新しい支援制度の導入は、発達障害の子どもを持つ親としてはとてもうれしいですよね。でも、川崎さんの場合、学校側から積極的な案内はなかったそうです。
待っていても必要な情報が来るかどうか分かりません。
学校のおたよりや自治体のホームページをチェックして情報を集めること。
子どもに必要な支援を具体的に検討して「こういう支援はしてもらえませんか?」と積極的に相談したりすること。
お母さんが主体的に考えて動くと、川崎さんのように、新しい支援制度が導入されたときにすぐに申し込むことができます。
――実際に通級に通って、よかったことはありますか?
「週2回利用していますが、行事の関係で週1回になることもあります。
本人の理解しやすい2・3年生のときの算数などを教えてもらっています。マンツーマンのため、勉強はわかりやすいです。
また、毎回ではないのですが、時間割の調整をしてもらえるのが助かります。
例えば、もうついていけない算数の授業を息子の通級の時間に設定してもらって、息子がクラスで退屈な時間を過ごさないように工夫してもらっています。」
――反対に、想像していたのと違う…と思ったことはありますか?
「通級がスタートする前、担任の先生、通級の先生、特別支援コーディネーターさんと相談会をしました。
そのときは、通級は学校のなかで休憩できる、『居場所』になるようなところにしよう!と決まったんです。
でも、結局通級の先生が勉強させてしまっています。
1:1で2・3年生の復習をしているので、解けちゃったみたいで…そうしたら次から次へと勉強量が増えて。疲れてしまって、次の日に休んでしまうこともあります。
通級の先生が息子が苦手な男の先生ということもあって、今のところ『安らげる居場所』にはなっていません。」
――川崎さんは今の通級の状況をどうお考えですか?
「先生も通級の担当が初めてで手探り状態なんだと思います。
子どもとお話しするのが苦手な感じの先生、という印象です。
子どもと個人的に仲良くなるより勉強を教えた方が楽なのか、『これだけ勉強ができるようになった!』という達成感を得たいのか…
『おしゃべりして居場所を作ろう!』という感じではないんです。
私から見ても、その先生は体が大きくて、いるだけで圧迫感がある方。心を開いてお話しできるまでに時間がかかるタイプです。
こういうタイプの先生なので、息子も緊張して頑張ってしまうから疲れてしまうんだと思います。行きしぶることもあります。
この状況が続くなら、勉強は量は減らして、ゲームしたり遊んだりしてほしいと伝えるつもりです。
先生も頑張ってくださっていると思うので、相談しながらやっていきたいと思っています。」
◆ポイント解説
通級の内容は学校によってさまざまです。取り出し学習が中心のところもあれば、遊び中心のところもあります。
子どもにどんな支援が必要なのか、その支援が通級に通うことで得られるのか。
通級を検討している場合は、必ず見学をして判断する必要があります。
特に、通級が個別で実施されている場合は、子どもが先生を好きになることはとても重要です。
好きでない人と2人きりで1時間過ごすのは大人でも苦痛ですよね。大好きな人がいる空間こそ、居場所になります。
子どもが先生を好きになるためには、まずお母さんが先生との信頼関係を築くことが必要です。
どんなふうに支援したら子どもが安心して生活できるのか、お母さんの希望を伝えながら先生と一緒に考える、という姿勢も大事かもしれません。
そのためには、先生との連絡は密にしておく必要があります。
川崎さんは毎日の連絡帳に加えて、週に2~3回は先生と直接話す機会を作っているそうですよ。教頭先生や校長先生ともお話しすることもあるそうです。
3.学校には行かなくてもいい。息子のペースで「やりたいこと」を一緒に探したい
――今後の息子さんの生活について、どんな風にしていきたいと思っていますか?
「発達科学コミュニケーション(発コミュ)を実践して、家でのバトルがなくなりました。
発コミュをやる前は『認めてくれない!』『ほめてくれない!』『ママはライオンみたい!』とよく言われたのですが、今では言わなくなりました。
私自身も全然認めてなかったと思いますし、ほめているつもりでしたが、息子には届いていませんでした。
発コミュを始めて、だいぶ変わって落ち着きました。
家の居心地がよくなったからか、家から出たがらなくなりました。家が大好きなんです。家で何もしたくない…という感じです。
これからは本人のやりたいこと、ワクワクすることを一緒に探して伸ばしたいですね。
無理に学校に行かせようとは思っていません。今のペースで行きつつ、増やせそうなら増やしたらいいし、行きたくないのなら行かなくていいと思っています。
本人のしたいようにさせたいですね。本人の様子を見守りながらできることをやっていこうと思います。」
◆ポイント解説
発コミュを実践されて、息子さんに褒めが伝わった結果、暴言がなくなり、おうちが息子さんにとって一番の居場所になったのです。
きっとおうちのなかでリラックスして過ごせているからこそ、通級でも頑張れてしまうんですね。
「息子のやりたいことを一緒に探して伸ばしたい」とおっしゃる川崎さん。学校には行ってもいかなくてもいいそうです。
日本の教育システムは、まだまだ発達障害やグレーゾーンの子どもに対して支援は十分ではありません。かといって、彼らの個性や得意が十分に伸ばせる場所でもありません。
これから入学される年長さんのお母さんは、お子さんが学校になじめるかご心配だと思います。でも、子どもが心と体を壊してまで学校に行かなくてもいいんです。
学校は「行かなければいけない場所」ではなく「行ってもいい場所」に考えをバージョンアップさせて、子どものペースで進んでいきましょう!
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)