学校から帰ると機嫌が悪い…思春期の子どもに悩んだ私。突然泣き出した中学生の娘に、解決策より先に安心を届けたら少しずつ話せるようになっていきました。「もう中学生」ではなく「まだ中学生」だった体験談です。
1.機嫌が悪い思春期の子どもがわからない
中学生になって、急に学校での出来事を話さなくなった。
家ではいつも機嫌が悪い。
返事もそっけない。
「これって思春期だから?」
「それとも、何かあった?」
そう思って話を聞こうとすると、またそっけない返事しか返ってこない。
聞けば聞くほど距離ができる気がして、踏み込めない。
でも、放っておくのも怖い。
この記事は、私のように『思春期の中学生がわからない』と悩むママに向けて、私が中学生の娘に実際に行った対応をお伝えします。
「何も話してくれない=何もない」とは限りません。
ただ、子どもの中で気持ちがついていかず、言葉にならないだけのこともあります。
わが家で実際にあった出来事と、そこで私が行った関わり方が、「どう声をかけたらいいか分からない」そんなときの一つのヒントになれば嬉しいです。

2.突然泣き出した中学生の娘。焦る私…
私には、中3の娘と小4の息子がいます。
娘が中1の夏休み直前、7月の朝。
いつも通りに起こしに行くと、娘が「体調が悪い」と言い出しました。
でも熱はない。
どこか痛い様子もない。
その頃、息子は不登校中。
家では毎日のように癇癪や暴言があり、私も余裕がなくなっていました。
娘まで学校に行けなくなったらどうしようと不安になり、「熱もないし、学校行けば治るよ」とその日は学校へ送り出してしまいました。
あの時の私は、正しい判断ができるほどの余裕がなかったんです。
次の日も起こしに行くと、また娘が「体調が悪い」と言い出しました。
そして娘は、急に泣き出してしまいました。
でも娘は、泣くばかりで理由をうまく話せない。
私も焦っていて、どう声をかけたらいいか分からない。
今まで娘には
「もう中学生なんだから、何かあったら話してくれるはず!」
そう思い込んでいたところがありました。
あの時、娘の中で何が起きていたのでしょうか?
娘は私が思うほど「もう中学生」ではなく「まだ中学生」だったと、あとから気づかされました。

3.娘が突然泣き出したのは、抱え込みすぎていたからだった
当時の娘は、いろんな負担を一人で抱えていました。
中学生活の「変化」と「負担」が、同時に重なっていたんです。
たとえば、
- 小学校から中学校への環境の変化
- 部活の厳しさ
- 塾との両立
- 友達関係のストレス
さらに、家に帰ると息子の癇癪や暴言が強く出る日もありました。
家に帰っても落ち着けない日が続き、娘にとって「家が安心できる場所」と感じにくくなっていたんだと思います。
脳は思春期になると大きく成長しますが、まだ発達の途中でもあります。
そのため中学生は、
- 気持ちを整理する
- 自分でも何がつらいのか理解する
- 言葉にして相手に伝える
こうしたことを、一人でうまく処理しきれないことがあります。
当時の娘も、たくさんの負担を抱え込みすぎて、いっぱいいっぱいになっていたのだと思います。
人は不安やストレスが強いと、落ち着いて考えたり言葉にしたりする力(前頭前野の働き)が落ちやすくなり、危険に反応する回路(扁桃体などの辺縁系)の反応が強まりやすい、と言われています。
そのため、「なんとなくつらい」「もう無理かも」「休みたい」そんな感覚だけが強くなり、自分でもうまく説明できなくなることがあります。
頭では「行かなきゃ」と思っていても、言葉にできず涙が出たり、体調不良として出たりすることもあるんです。
娘が急に泣いてしまったのも、「わがまま」や「反抗」ではなく、脳が抱えきれないほど負担が重なっていたサインだったのかもしれません。
私はそれまで、「もう中学生なんだから、何かあったら話してくれるはず」と思っていました。
でも実際は「もう中学生」ではなく、まだ安心がないと一人では抱えきれない「まだ中学生」だったんです。
だからこそ私は、無理に学校に行かせることや解決策を急ぐことより先に、まず安心を取り戻す時間を作ることにしました。
そのために、息子のために学び始めていた発達科学コミュニケーション(発コミュ)の関わり方を、娘にも使ってみようと思ったんです。
そして私がやったのが、次の『カウンセラーモード』でした。

4.思春期の子どもにも伝わった安心を作る4ステップ
私が、いっぱいいっぱいになっていた娘に行ったのは発コミュの『カウンセラーモード』でした。
カウンセラーモードとは、一言でいうと、問題を解決する前に、安心して気持ちを出せる空気を作る関わり方です。
ここで私が決めていたことがあります。
それは「今日この場で、答えを出さなくていい」ということです。
まずは、娘の脳が安心して話せる状態を取り戻すことを優先すると決めました。
そのために意識したのは、次の4つです。
① 親の思いは『一時保留』にする
「学校はどうするの?」「学校行けば治るよ」と言ってしまいそうになるのを、グッとこらえて横に置きました。
そして、短く聞きました。
「どうしたの?」
「いま、何がつらい?」
これだけ言って、まずは答え探しをやめ、娘の言葉が出るのを待ちました。
② 否定する言葉は言わない
以前の私なら言っていた、
「言ってくれなきゃわからないでしょ!」
「そんなこと言ってもしょうがないじゃん!」
こういう言葉は言わないように気をつけました。
不安やストレスが強い時は、子どもの脳は“守ること”にエネルギーを使っています。
そんな時に否定されると、さらに言葉が出にくくなってしまいます。
娘にはまず、「何を言っても大丈夫」な空気が必要だと感じたからです。
③ 事実より子どもの感情を理解する
娘の言葉に耳を傾けて、
「そう思ったんだね」
「それはつらかったね」
と理解しながら話を聞きました。
娘の話を遮らず、私の思いは言わず、とにかく最後まで聞きました。
④ 共感して「味方だよ」と伝える
最後に私は、
「つらかったね。話してくれてありがとう」
「これから一緒に、一つずつ考えていこう」
こう伝えました。
何があっても「ママはあなたの味方だよ」と伝えることで、娘の表情がふっとゆるんだのを、今でも覚えています。
正解を出すことじゃなくて、安心を与えてあげるのが先だったんだ、と実感した瞬間でした。
そして、安心が戻ると、娘に変化が出てきました。

5.「もう中学生」ではなく「まだ中学生」だった
カウンセラーモードで話を聞いていくと、娘は少しずつ気持ちを言葉にしてくれました。
- 塾の先生が変わって分かりにくい
- 塾の友達がやめて休憩中一人が辛い
- 塾で騒ぐ子がいて集中できない
- 部活で体力がついていかない
- 学校で友達とのトラブルがあった
- 家では弟の癇癪が辛い
こんなに多くのことを、娘は一人で抱えていたんです。
私は正直、驚きました。
昔から外ではしっかり者、家ではおしゃべりな娘だったので、
「もう中学生だし大丈夫」
「何かあれば話してくれる」
私はどこかで、そう思っていました。
でも実際は、多くを抱え込みすぎていて、言葉にできなくなっていたんです。
「もう中学生」ではなく「まだ中学生」
自分だけで処理するには抱えすぎていたんです。
話を聞いた翌日、娘は学校に行くことができました。
そして今では、「ママ聞いてー!今日こんなことあった」「あれが嫌だったけど、こうしてみた」そんなふうに、また少しずつ話してくれるようになり、笑顔も戻りました。
もし今、あなたのお子さんが、急に無気力になったり、話さなくなってきたのなら、それは「もう中学生、思春期だから」で片づける前に、たくさんのことを抱え込みすぎて、脳がうまく整理しきれなくなっているサインのこともあるかもしれません。
そんなときは、解決を急がずに、まず安心を先に届ける時間を作ってみてください。
中学生でも、安心が戻ると、言葉が戻ってくることがあります。
「そう感じてたんだね」
「話してくれてありがとう」
この一言が、次の一歩につながることがあると思います。

執筆者:えはら みさ
発達科学コミュニケーション アンバサダー





