「この夏、家族ぐるみでキャンプに行く予定なんですが、正直ちょっと不安で…」
そんな声を、ある受講生さんからいただきました。
子どもの発達特性が強く出やすい場面では、思わぬ言動に周囲が戸惑うこともあります。
これは、キャンプに限らず、祖父母の家・親戚の集まり・チーム合宿など、夏によくある“誰かと一緒に過ごす機会”全般に当てはまるお話です。
ママが一人で、抱え込まないで仲間を増やすコツをお伝えしますね。
「しつけがなってない」と言われがちな子、実は…
大人の常識や空気が読むのが苦手な子は、どうしても「わがまま」「しつけが甘い」と誤解されやすいものです。
ですが、周囲が善意で注意したつもりでも、それが子どもにとっては大きなストレスになり、ますます反発や混乱を引き起こしてしまう。
そうしてママはますます肩身が狭くなり、子どもと同じくらい傷ついてしまう。
だからこそ、最初に必要なのは「正しさ」ではなく、「理解」です。これは脳が育つ順番にも関係しています。
育てにくい子=手がかかる子ではない
「育てにくい」と感じるのは、これまで私たちが受けてきたしつけベースの関わりが伝わりにくいから。
けれどその奥には、
・衝動的に動いてしまう脳のクセ
・感覚の敏感さや不注意の特性
・まだ発達途中の感情のコントロール機能
などが隠れています。
つまり、「わざとやってる」のではなく、それらを処理する脳機能がまだ育っておらず、「そうせざるを得ない状態」なのです。
親や周囲が「この子は困っているんだ」と見方を変えるだけで、子どもは守られていると感じ、少しずつ落ち着きはじめます。
言い方ひとつ、関わり方ひとつで、反応は変わる
私自身、「正しいことを言えば伝わる」と思っていたときは、子どもはどんどん反発してきました。
ところが、正論よりもまず「そう思ったんだね」と共感してみたら、怒鳴る代わりに、ことばで返してくれるようになりました。
子どもが変わったというより、私自身の“まなざし”と“声かけ”が変わったことで、やりとりの質が変わったんです。
「なんだ、こんな小さなことでいいんだ」と思えるようになったとき、あの“育てにくさ”は、少しずつほどけていきました。
協力してもらえるかどうかより、“知っていてくれる人”がいることが救いになる
正直、家族や周りの人が同じように関わってくれるかといえば、すぐには難しいこともあります。
ですが、「そういう子なんだね」「そういう関わり方をしてるんだね」と知ってもらえているだけで、ママの気持ちはずいぶん軽くなります。
そして、その安心が伝わることで、子ども自身も落ち着いていく。
「協力してもらえるかどうか」ではなく、まずは“理解してもらえること”が、親子の安心につながるんです。
実は私も“一人で頑張らなくていい”と感じた瞬間があります
実は私自身、子どもがミニバスをしていた頃、うまく輪に入れなかったり、空気を読めなかったりする我が子を見て、「どうしてうちだけ…」と感じることが何度もありました。
そんなとき、周囲に迷惑をかける大きな事件を起こし、親子共にもう限界だ!と思い切って周りのお母さんや指導者の皆さんに話してみたら、
「うちもそんなときあるよ」
「大丈夫、○○くん、いいところあるじゃん」
「一人で抱えなくてもいいよ、一緒にがんばろう!」
そんな言葉を返してくれる人たちがいて、本当に心が軽くなったのを覚えています。
“一人で頑張らなくていい”って思えるだけで、どれだけ救われるか。
そして、誰かの理解が、自分にも子どもにも、安心を広げてくれることを知りました。
あなた自身が、最初の“理解者”になる
この夏、子どもと過ごす時間が増えるからこそ、すれ違いや戸惑いも生まれやすい時期です。
ですが、逆にいえば、「理解してくれる仲間」を見つけたり、育てたりするチャンスでもあります。
だれかを変えようとしなくていい。
まずは、あなた自身が「わかろうとする人」になってみてください。
それだけで、親子の空気が変わっていくこと、きっと実感できるはずです。
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