「なんで夜中までゲームをするの?」「そんなの非常識!」
子どものゲームをめぐって、夫婦の意見が食い違うことはありませんか?
Mさんも、まさにその状況にいました。
小学4年生の息子・Dくんが、週末になると早朝2時半に起きてゲームを始める。
夫は「絶対に許せない」と激しく反対。
一方、妻のMさんは「楽しみにしているのだから、無理に止めたくない」と感じていました。
同じ子どもの行動を見ているのに、どうしてこんなにも夫婦で意見が違うのか。
発達科学コミュニケーションの視点で見ると、そこには「脳の仕組み」が関係していました。
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昼夜逆転でも大丈夫?ゲーム漬けに見える子の“脳のサイン”
この記事では、夫婦の考え方がぶつかる原因と、発達科学で導く“本当の解決法”を解説します。
夫は「非常識」、妻は「成長のサイン」
Dくんは普段、昼夜逆転もなく、学校にも休まず通っています。
発達科学コミュニケーションの関わりを続けていることもあり、癇癪を起こすことが激減し、家庭内も穏やかになっていました。
そんな中、週末の「早朝ゲーム」をめぐって夫婦の意見が対立したのです。
発達科学でみる「没頭の才能」〜夫婦が見落としがちな“集中力の芽”〜
発達科学の視点で見ると、Dくんのように好きなことに強く集中するタイプは、発達特性の子に多い“没頭の力”を持っています。
興味のスイッチが入ると、時間の感覚を忘れるほど夢中になる。
それは「依存」ではなく、「集中力という才能の芽」です。
脳の発達段階で見ると、好きなことに集中することで前頭前野(考える力)が育ち、自己コントロール力が伸びていきます。
大事なのは、やりすぎを止めることではなく、終わったあとに脳が落ち着けているかどうかを見ること。
行動をABCで整理してみよう
発達科学コミュニケーションでは、行動を次のように整理して考えます。
A(状況)ワクワクして早起き。好きな配信がある日。
B(行動)静かに集中してプレイ。怒鳴ったり暴れる様子はなし。
C(結果)ゲーム後に満足そうに話し、落ち着いて切り替えられる。
この「C=結果」の状態が安定していれば、脳が安心して集中できていた証拠です。
逆に、ゲーム後にイライラしたり暴言が出る場合は、問題は“ゲーム”ではなく“安心の土台”にあります。
問題は「夜中に起きること」ではなく「脳の状態」
Dくんのように夜中や早朝に活動すること自体は、一概に「悪い」とは言えません。
大切なのは1日の睡眠時間が足りているかという点。
小学生の理想は9〜10時間、最低でも8時間。
7時間を下回ると、脳の疲労が残り、イライラやこだわりが強まりやすくなります。
夜中に起きていても、トータルで十分眠れているなら脳は回復できます。
つまり、見るべきは“時間帯”ではなく“脳の回復度”なのです。
ご主人の怒りの背景にある「不安」に対する伝え方
ご主人が怒るのは、「昼夜逆転」「ゲーム依存」「将来の心配」という“未来への不安”が原因です。
「今の行動を叱っている」のではなく、この先取り返しがつかなくなるのでは」という恐れが
怒りに変わっているのです。
ご主人が理屈で理解するタイプなら、感情ではなく“仕組み”で伝えるのが効果的です。
たとえばこんなふうに話してみましょう。
「夜中に起きることよりも、
1日の睡眠が8時間とれているかが大事なんだって。」
「ゲームをしたあとに落ち着いて話せている日は、脳が安心している状態なんだって。」
さらに、
「ゲームをやらせっぱなしではなく、終わったあとに“今日は何をやったの?”と話して整理している」
と“構造”や“条件”で説明すると、理屈で筋が通っていると感じ、納得しやすくなります。
家庭が落ち着くたった一つの視点
「夜中にゲームしていい・悪い」ではなく、見るべきは「安心しているかどうか」。
脳が安心していれば、行動は安定し、家庭の空気も穏やかになります。
Mさんはこのアドバイスを受けて、実際にご主人と冷静に話し合い、家庭の空気が大きく変わりました。
次回は、「伝え方を変えたら夫も子どもも変わった」Mさんの実践ストーリーをお届けします。

 
  
  
  
  
