1.勉強が苦手な子どもの辛さをイメージしてみましょう
「うちの子、どうも勉強が苦手みたい…」と悩むお母さん、多いのではないでしょうか?
その「苦手」、努力で克服できる場合とそうでない場合とがあります。
学習面でつまずく発達障害グレーゾーンや学習障害の子は、努力してもできないことが多いのです。
そうなると勉強するのが嫌いになります。学校だって楽しく無くなるので行くのがだんだん辛くなる…。
そんな時お母さんはどんな対応を思いつきますか?
勉強が苦手だったら、克服しちゃえばいいんだ!と思って、塾に行かせる、家庭教師をつける、たくさん教材を買ってきてやらせるなんて対応を思い浮かべてしまいませんか?
うっすら気づいているお母さんもいるかもしれませんが、これ、NGパターンです。
ここで発達障害や学習障害の子にとっての学校という場所をイメージしてみましょう。
お母さん自身の苦手に置き換えて考えてみるとわかりやすいかもしれません。
私の場合、数学が大の苦手で先生の言葉は呪文にしか聞こえないのに、理系を専攻しなければいけないのと似ています。
先生に呼び出されて苦手な数学を「もっとがんばりなさい」と言われ、ご丁寧に宿題も出される。
下校後は苦手を補うために塾に行き、家に帰れば手強い「お母さん」が数学をやらせようと待ち構えている…。
自分の好きなこと・得意なことをする時間はほとんどなく、ずっと苦手なコトに囲まれた生活を送っているイメージしてみてください。
ああ、考えただけでも辛い…!
こんな風に考えると、発達障害や学習障害の子の辛さをイメージできると思います。
では、そうなったときにお母さんができるサポート方法をお話します!
2.「もっとやらせる」よりも大切なこと
それは「もっとやらせる」ことではなく「今のガンバリを認める」こと。
勉強が苦手な子や発達障害・学習障害の子は、内心では「恥ずかしい」という気持ちを持っていることが実は多いのです。そして、頑張ってやってみようと思っても間違うと叱られる。
「どうしてわからないの?」
「何回言ったらわかるの?」
そんなふうに言われ続けたら頑張れないですよね?
だからこそできていること、やれていること、そこから認めてあげるのです。
お母さんの言葉かけが子どものやる気を失わせないポイントになります!
では、具体的にどんな声かけがいいのでしょうか?
3.発達障害・グレーゾーン、学習障害の子のやる気を引き出す声かけのポイント!
勉強が苦手な発達障害・グレーゾーンの子がちょっとだけ頑張ってみよう!と思える言葉かけ。
ズバリ!そのポイントは…
できていること、やれていることを認めてあげること、そしてちょっとだけ自尊心をくすぐってあげることです。
どういうことか、さっそく見ていきましょう!
◆エンジンがかかり始めたタイミングを褒める1%ルール
宿題が山盛りあるのに全然進まない様子を見て、
「早くやりなさい」「まだ半分なの?!」「そんなに間違えたの?!」
なーんて言いたくなりませんか?
子どもにしたら苦手なことに向き合おうとしているのに、ガミガミ言われてばかり…これではがんばるパワーが出ません!!
じゃあどんな言葉かけがいいかというと、
「いまから始めるんだね」「1問解けたね」「半分できたね」
こんな言葉かけが効果的です。
ええっ!始めるところから褒めちゃうんですか?と思うかもしれないですが、それでいいのです!
発達科学コミュニケーションでは、これを1%ルールと呼んでいます。
勉強のスタートを1%、終わりを100%と考えた時に、スタートに近いところほど、つまり1%に近いところほど、しっかり褒めてあげる!これがコツなんです。
脳はクルマのエンジンに似ていて、走り出すときが一番パワーが要ります。
だからそのタイミングを見逃さずしっかり認めてあげ、少しずつ加速するお手伝いをするのです。
「いいよ、その調子!」そんな風に応援された方が頑張れそうじゃありませんか?
苦手と向き合うことは、とてもしんどいこと。ただでさえしんどい時にお母さんから叱られたら想像するだけでも辛いだろうなーと思いませんか?
「褒めようと思っても、褒めるところが見つからない」というお母さんの声をよく耳にしますが、 これは100%できたときしか褒めようとしないから。
宿題が全部できたところで褒めようと思っても、途中で集中力は切れるし、不注意なミスはするし、なかなか100%にたどり着かない。たどり着かないから、褒められない。
これ、発達の特性がある子たちにとってはよくあることなんです。
だから少し視点を変えて、子ども達の「私、頑張ってる!」「俺、超やってるし!」を認めてあげてくださいね。
認める、褒める、この「量」が増えてくると子どもが苦手なことに向き合う自信を持てるようになります!
◆自尊心をくすぐる
我が家には高1の息子と中1の娘がいます。
やっている勉強内容を見ると、私自身
「あれ?昔できたはずだけど、これどうやったっけ?」
「意外に難しいことをやってるんだな」
と思うことがあります。
だから、その感想をそのまま言葉にして伝えるのです。
「難しいこと、やってるんだね」
「ママも苦手だった〜」
この声かけは、子どもの「どうだ!」という気持ちに火をつけます。
頭の良いお母さんからしたら「こんなの簡単!」と思うことであったとしても、「難しいことやってるんだね」と言ってあげてくださいね(笑)。
間違っても、「お母さんが学生のころはもっとできた!」なんて言わないでくださいね。
発達の特性があって勉強が苦手な子たちは、努力だけではクリアできない困難を抱えています。
それでも日本の義務教育課程ではそれに向き合わないといけない。
そんな辛いことに向き合おうとするだけでちょっと尊敬しちゃいませんか?
学習が苦手な子が抱く劣等感のモトは、「こんなこともわからないバカな僕/私」という思いです。そんな子たちに「なんでわからないの?」なんて言うのはご法度です!
みんなが分かっていることが自分には分からないから不安になるし、情けなくなる。だから勉強すること自体を敬遠するようになっても当然です。
まずは、どんなレベルの内容であっても嫌いなことに向き合う姿をリスペクトする声をかけてくださいね!
成績を今すぐあげることよりもっと大事なことかもしれません。ぜひ参考になさってくださいね。
執筆者:清水畑亜希子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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