発達でこぼこの過敏な子どもがひきこもりの小学生に
子どもが不登校になった後、自室にひきこもり、誰とも会わず、家族とのコミュニケーションもほとんどとれないことはありませんか?
我が家には小学6年生の自閉症スペクトラム(ASD)グレーゾーンの息子がいます。
息子は小学4年生の冬から不登校になりました。
不登校後、息子は次第に思い通りにいかないと癇癪からキレるまでの着火が早くなり、暴力的な子になりました。
それとともに、自分の部屋にひきこもり、リビングに降りてくるのは、テレビを見る時とお風呂に入るときぐらいになりました。
自室から、用事があるときに、「ママ!」「ママ!」とイライラした声で呼びつけて、「〇〇持ってきて!」「お夕食を持ってきて!」と指示するようになりました。
指示に従わないと癇癪を起してキレる状態になりました。
ひきこもり小学生になるのは感覚の過敏性も原因?
発達でこぼこの子どもが、その特性(一次障害)があるがゆえに、迷惑がられたり怒られたりして、二次的に別の障害を引き起こすことを二次障害と呼びます。
二次障害には、自分の外に表現される場合と自分の内部に抱え込む場合があります。
外に表現する場合は、周囲の人に激しくキレて暴力をふるうなどがあります。
自分の内部に抱え込む場合は、不登校やひきこもりなどの状態として現れます。
また,発達でこぼこの子は、視覚や聴覚、感覚を担当する脳の部分が未熟なことがあり、過敏性として現れることがあります。
学校などは,人の体臭、声、動き、音など五感を揺さぶる刺激が多く,不快な感覚刺激では疲れ、一人になりたいと思い引きこもりがちになることがあります。
まずは、過敏な視覚、聴覚、皮膚感覚に心地よい刺激を与える環境を家庭の中に作ります。 家庭環境は常に脳を刺激するので子どもの脳が育ちやすくなり,脳の過敏性をやわらげることができます。
まずは脳の過敏性をやわらげ,自室からリビングに出てこれるまでにしましょう。
まずはリビングに呼びこむおうち対応から始めよう
ひきこもりの人は、3年未満でひきこもりから抜け出せないと、7年以上に及ぶ長期のひきこもりになるリスクが高くなると言われています。
できるだけ早く動き出すのがポイントです。
感覚刺激に働きかけたおうち対応なら、今すぐに自室からリビングに呼び込むことができます。
心地よい感覚刺激でリビングに呼び込むおうち対応
家庭を安心できる環境するポイントは3つです。
1つ目は視覚、2つ目は聴覚、3つ目は皮膚感覚への働きかけです。
ポイント1.視覚を刺激する対応
お母さんの顔は、口角をあげた微笑む表情をつくるようにします。
お母さんの真顔は怒っているように見えます。
子どもにとってはいつ見ても機嫌が悪く見えてしまいます。
お母さんが微笑んで座っているだけで家庭内に肯定的な注目が伝わります。
次は姿勢です。
背筋がピンとして、すっと背筋が伸びている人は、元気で明るく見えます。
特に朝は、「おはよう!」と背筋を伸ばして明るい気分で子どもに話しかけます。
お母さんが前かがみで、上から見下ろされると怖い感じがします。
ポイント2.聴覚を刺激する対応
声は少し柔らかくしてあげましょう。
声の角をとり柔らかく話すと、声が脳の中に入りやすくなります。
強い声では、言葉が伝わらないことが多いです。
次は日常生活音です。
お母さんの生活音を静かにして過ごすことを心がけます。
お母さんが出す生活音が大きい場合、例えば足音が大きい、食器を洗う音がガチャガチャとうるさい、物を置く音がドサッと大きいと機嫌が悪く聞こえます。
発達でこぼこの子は小さいころから、怒られていることが多く、常に用心しています。
足音一個にもビクビクして過ごしています。 階段をあがるときなど、大きな足音でドン!ドン!ドン!ドン!ドン上がらないように注意しましょう。
ポイント3.スキンシップで感情の脳の部分を育てる
皮膚刺激は、脳の中では感情を司る部分と太いネットワークがつながっており、触ってあげればあげるほど、感情の脳の部分が育ちやすくなります。
抱きしめる、膝に乗せる、 肩や背中をポーンと叩いてあげる、さする、ハイタッチなどがあります。
食卓テーブルにあるお醤油などを、子どもに「取って」と頼まれたら 「はい、どうぞ」と言って渡してあげることもスキンシップです。
このころの息子は、いつも険しい顔をしていて、スキンシップなんてとてもできる雰囲気ではありませんでした。
そこで、「ママ!ママ!」と呼びつけられて必要な物を持って行ったときに、「はい、どうぞ」と言って、にこやかに手渡すことをスキンシップにしました。
ポイント3つを続けていくうちに、息子はニコニコと笑顔になることが増え、 食事などを「はい、どうぞ」と手渡すと、「ありがとう」とお礼も言ってくれるようになりました。
食事はリビングで食べるようになり、ハイタッチやハグをしてくれるようになりました。
家族以外に祖父母とのおしゃべり、ご近所の床屋さんに行くこともできるようになりました。
子どもがひきこもりがちで、家族とのコミュニケーションがなくなったお母さん、視覚、聴覚、皮膚感覚に働きかけた居心地のよい家庭環境を作ってみませんか?
再びリビングに呼び込むことができますよ!
執筆者:川上陽子
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
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