新学期や夏休み明け、不安や疲れで学校に行けない発達障害の小学生が多くなります。長期のお休みでゆっくり過ごしリフレッシュしたはずなのに、一体なぜ?不登校になる理由と子どもの元気を回復するためにできる親の正しい対処法をお伝えします。
【目次】
1.夏休み明け不登校になった発達障害グレーゾーンの小5の娘
2.新学期に学校に行けない小学生が増える理由
3.不登校の子どもが学校に行けるようになる方法
①子どもの疲れを認め無理をさせない
②日常生活の中で肯定し自信をつける
1.夏休み明け不登校になった発達障害グレーゾーンの小5の娘
我が家には、現在小学校5年生のASD傾向の娘がいます。
幼い頃からこだわりが強く、少しでも気に入らないことがあると癇癪を起こし、とにかく育てにくい子どもでした。
しかし、まだ幼いし「こういう性格なんだろうな」くらいに母親の私は思っていました。
そんな娘は、小学校に入学してすぐ、上の子にはなかった登校しぶりが始まり、癇癪もエスカレートしていく様子があり、娘の発達障害を疑い始めたのです。
そして、私は娘の困りごとを解決したいという一心で、発達科学コミュニケーションに入りました。
発達について学んでいく中で、娘の幼い頃からの多くの困りごとは発達障害の特性からきているものであることを理解しました。
・こだわり、偏った思考
・不器用 ・学習面の苦手
・コミュニケーションの苦手さ 等
このような特性の為、集団生活の中では出来ない事や困難なことが多く、娘にとって学校は苦痛を感じやすい場所であることや娘の辛さを知ることができました。
そして、娘の気持ちを第一優先で考え、本人が「学校を休みたい」と言った日は無理せず休ませ、学習は娘のレベルや意欲にあわせ無理をさせない等、娘のペースで学校と向き合ってきました。
そのような対応で、休むことはあっても、そんなに長期化せずに順調にいっていました。
しかし、小学校4年生の夏休み明けに、長期にわたる不登校となってしまったのです。
我が家では、毎年夏休みは、無理をさせず1学期の疲れを癒す時間にしています。
・ゲームやユーチューブ時間が長くなっても、うるさく言わない
・学習は無理させず、すべて終わらなくても良し(担任と相談済み)
・子どもが喜ぶ大型プールや家族旅行に行き楽しい思い出作り 等
このように、夏休みは家で怠惰な様子が見られても大目に見て、自由に過ごさせてあげたつもりです。
また、楽しい家族旅行にも連れて行き1学期の疲れをリフレッシュして、元気を充電できたはず…
なのに、なぜ学校に行けなくなったのか、全く分かりませんでした。
2.新学期に学校に行けない小学生が増える理由
春の新学期と、夏休み明けの新学期に分けて、解説をしていきますね。
◆新学期・進級進学時期の疲れ
もともと発達障害の子どもは、多くの特性を持っているため学校生活が困難なものになりやすいです。
<様々な特性>
・集団行動が苦手
・不器用
・不注意
・聴覚や視覚などの感覚過敏
・コミュニケーションが苦手
・ネガティブな記憶が残りやすい
これらの特性により、先生から注意されたり、お友達と仲良くできなかったり勉強についていけない等の辛い思いをすることが多くなるのです。
発達障害の子どもは、定型発達の子どもが難なくこなしていることを、その特性から、何十倍もの能力を必要とし心身ともに疲弊している状態です。
さらに、4月の進級進学時期は、何もかも新しい環境となります。
新しい担任やクラスメイトに緊張し不安でいっぱい、学習もさらに難しくなります。
その為ストレスが増大し、疲れ切ってしまっている状態なのです。
◆夏休み明けの疲れ
そんな大変な1学期を何とか乗り越えて、待ちに待った夏休み。
1学期を頑張って乗り切ることができたのだから、夏休みはとにかく楽しく過ごし疲れを癒してあげよう!と思いますよね。
親も子どもの登校渋りや不登校問題から解放されて気持ちを休めることができる期間でもあります。
ゆっくりと楽しい時間を過ごし元気が戻り、「よし、新学期も頑張るぞ!」と前向きに夏休み明けをスタートできるかもしれません。
そのエネルギーが夏休み明けもずっと続けば良いのですが、生活リズムが崩れ、ストレスのない状態で過ごした夏休みです。
あらゆる点で耐性が弱くなっているのも事実です。
夏休み明け、すぐに以前の学校生活に戻り、早起き、勉強、対人ストレス等に適応していかねばならず、そのギャップに疲れてしまうこともあるのです。
そして、夏休み前までは適応できていたものも、難しく感じてしまい、学校に行けなくなってしまうこともあるのです。
我が子も、新学期からの学校ストレスや疲れがたまった状態で夏休みに入り、疲れを取ろうとゆっくり過ごしたり、楽しいことを沢山しました。
しかし、結局は辛い学校の記憶に蓋をしていただけだったのです。
そして、夏休み明けすぐに以前の学校生活に戻り、辛い記憶がフラッシュバックして夏休み前は必死に頑張れていたことも、「もう無理…」と学校に行けなくなってしまったのです。
3.不登校の子どもが学校に行けるようになる方法
進級進学時期、夏休み明けに関わらず、疲れた子どもの心と体を元気にするための対応ポイントをお伝えしますね。
◆①子どもの疲れを認め無理をさせない
子どもが「疲れた。学校に行きたくない」と言ってきたとき、こんなふうに返していませんか?
「何言ってるの?!夏休みに沢山休んだでしょ!」
この返しは、絶対NGです!子どもは、十分頑張っています。
大人の私達より、毎日が新しいことの連続で沢山のことを日々吸収しているのです。
子どもが弱音を吐いた時は、日頃の頑張りや疲れを理解し受け止める声かけをしてあげましょう。
・「そうだよね~疲れたよね」
・「うんうん、いきなり5時間って辛すぎだよね」
このように、子どもの疲れた気持ちを認める声かけをしてあげることで、子どもは「お母さんが私の辛さを分かってくれている」と思い安心することができるのです。
また、子どもの「学校休みたい」の言葉は、悩んで悩んだあげくのお母さんへのSOSです。
子どもは、学校に行かないといけないことは分かっています。
しかし、自分の心身の状態を考えお休みが必要だと自分で判断し、お母さんに必死で伝えているのです。
お母さんは、冷静に笑顔で受け止めてあげましょう。
・「うん、分かったよ」
・「〇〇ちゃんの気持ちを伝えてくれて、ありがとう」
と言い、無理をせずお休みをさせてあげましょう。
このような対応で、子どもは学校に行けない自分を責めるのではなく、「私、このままで良いんだ。頑張っているよね」と自分で自分を認めることができるようになります。
すると、自然と心が軽くなり、余裕が生まれてきます。
私の経験上、無理やり説得して登校させるよりも、一日休ませてリフレッシュさせたほうが子どもの心の回復も早く、登校渋りも長引かないことが多いです。
◆②日常生活の中で肯定し自信をつける
疲れや不安が多い時は、人は無気力状態で行動することができません。
行動量が減ると、ますます鬱々してきてしまいます。
よって、まずは日常生活の中で当たり前にできている行動を肯定し、小さな自信を積みあげていってあげましょう。
・「お、一人で起きて来れたね」
・「沢山ご飯食べれたね」
・「ママのお話を聞いてくれて、ありがとう」等
本当に些細なことで大丈夫です。
ママが言語化して伝えてあげることで、出来ていることが沢山あることに気づくことができます。
その小さな自信が積み重なり、大きな自信になると、新しいことを「やってみようかな」という気持ちも生まれてきます。
少しずつ行動できることも増えてくるのです。
我が子も、小学校4年の夏休み明けに不登校になりましたが、学校に行けないことを責めることをせず、肯定的に関わった 結果、秋頃から再度登校することができるようになりました。
子どもが学校に行けないと、親はとても心配し不安になりますよね。
しかし、我が子のように不登校経験があっても、自信を取り戻すことができれば、「また学校に行ってみようかな」と思うことができるのです。
また、子育てのゴールって、何でしょう?
私は、「将来自立をして、明るく楽しく過ごしてくれること」だと思っています。
学校は自立するまでの通過点でしかなく、学校に行く行かないは大した問題ではないという心の余裕を親が持てることが大切だと思います。
親の「学校は行くべき」という固定概念を捨て、子どもに寄り添う対応を行うことが、子どもが元気を回復する早道なのだと思います。
夏休み明け、お子さんに新学期疲れが見られた時に、私の体験談が少しでも参考になると嬉しいです。
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執筆者:松あき子
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)