【お悩み相談室】発達障害の診断が出てショックです。この子は成長するのでしょうか。

先日、息子に発達障害、自閉症スペクトラムという診断が出ました。そのときに「発達障害は治るものではありません。」と医師から言われて目の前が真っ暗になりました。このまま他の子との成長に差が出てくる可能性もあり大変かもしれない、とも言われ絶望的な気持ちになっています。どう成長していくのか不安です。これからどう接していけば良いのでしょうか。

 

3歳・男の子のママ

私の息子も3歳のときに自閉症スペクトラムと軽度知的障害の診断が出ています。医師からも相談者さんと同じような説明をされ、毎日泣いて過ごしていました。今や知的障害のボーダーラインからも外れた息子の成長を見てきた私が解説します!

 

発達科学コミュニケーションリサーチャー 瀬名香織

 

【目次】

 

1.発達障害の診断が出たらどうする?「発達障害は治らない」を誤解しないで

 
 
わが子に発達障害の診断が出ると、「あぁ、私の育て方のせいではなかったのね」「発達障害が原因だったのか。」とほっとするお母さんと、 「まさかうちの子が!?信じられない!」とすぐには受け入れられないお母さんとに分かれるようです。
 
 
現在6歳になる私の息子は、3歳のときに「自閉症スペクトラム」と「軽度知的障害」という診断が出ました。
 
 
発達障害は予想していましたが、「知的障害」の言葉のインパクトにかなり動揺し、涙してしまったことは鮮明に覚えています。
 
 
そして、相談者さんと同じように「発達障害は治るものではありません。このまま行くと周りと差は開くので日常生活での支障が大きくなることが予想されます。」と説明を受けました。
 
 
もうショックでショックで…冷静に受け止めようとしましたが、この子が大人になったらどうなってしまうのだろう…とその日から毎晩ネット検索し続ける日々を送っていました。
 
 
ですので、相談者さんの気持ちは痛いほど分かります。将来を考えると夜も眠れませんよね。
 
 
 
 
あれから2年半ほど経過し、息子も6歳。4月から小学生です。普通級に在籍予定です。
 
 
結論から言いますと、発達障害があったとしても必ず成長します!そして、息子の場合は周りとの差がどんどん開いていくようにも感じていません。
 
 
周りとの違いはあります。不器用で不得意なことが多いため、同じようにはできません。
 
 
しかし、息子はできなかったことができるようになり確実に成長しています。ちなみに、 先日の発達検査では数値も伸びたので、知的障害域から外れました。
 
 
検査結果が全てではありませんが、平均値との差が縮まったことを意味しています。
 
 
もちろん、相談者さんの息子さんと我が家の息子の脳の特性は全く同じわけではないので、伸び方や得意不得意はそれぞれです。
 
 
発達障害は個性だ、とよく言われていますが、脳の特性や成長の仕方は障害があってもなくても個性的で千差万別です。
 
 
日常生活で困りごとが多ければ「発達障害」という診断が出るだけのことです。診断が出ることで、療育が進めやすいなどのメリットもありますので、そこに抵抗を感じる必要はないのではないかと私は考えています。
 
 
そして、発達障害かそうでないかの線引きは、世の中の仕組みに対して存在するものだとも感じています。
 
 
「発達障害が治らない」の真意は、発達障害という脳の特性は治らない…と言うよりも治す必要が無いもの治すという考え方が当てはまらないのだ、と思うようになりました。
 
 
そう思えるようになったのは、ここ数年で驚くほど成長し、頼もしくなっていく息子の姿を見ることができたからです。
 
 
そして、「発達障害は治らない」は「脳の特性は変わらない」であって、成長しないのではない、ということを強くお伝えしたいのです。
 
 
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2.子どもの「発達の足踏み」はコミュニケーションで次の一歩を後押しできる

 
 
診断が出ることの側面として、治療、という言葉が使われることがあるのも事実です。ここで言う治療というのは、薬物やリハビリなど医学的なアプローチです。
 
 
リハビリというのは、「作業療法」「言語療法」「理学療法」といった医学的アプローチの療育です。診断がつかなくても受けることができますが、診断がついた方が医師も早めに対応してくださる印象があります。
 
 
息子は作業療法を受けており、一定の成果を感じることができました。そして、ここでも大事なのはコミュニケーションだと私は強く感じました。
 
 
その理由は、いくら知識豊富な作業療法士の先生であっても、息子への対応、コミュニケーションの取り方が合っていなければ、本人はやりたがらないし、行きたがらなくなります。
 
 
2人の作業療法の先生に携わっていただいたのですが、うまく声かけしてやる気を引き出してくれる先生とのときの方が断然結果が変わってきました。
 
 
いかに対応やコミュニケーションが大切なのか、ここでも再確認する機会となったのです。
 
 
 
 
ちなみにですが、家庭で発達科学コミュニケーションを取り入れて、親子間のコミュニケーションを改善できたことも良かったと実感しています。
 
 
医学的なアプローチにも助けられながら、子どもがどうすれば楽になるかを考えて対応する。しっかりと正しいコミュニケーションをとりながら本人の成長を支える、ということができたと思います。
 
 
そもそも、発達は誰しもみんな同じ道を辿ります。その発達段階を通る時期が違うだけ
 
 
発達のペース、得意不得意の凸凹、個性がそれぞれあるのです。
 
 
個性があるがゆえに、今ある社会システムの中で不便さがある、ということです。
 
 
いかにその個性を理解し、生活とのすり合わせをしていくか、ここが重要なポイントになります。
 
 
発達凸凹は誰しもがあるものです。遅れている部分は成長しないのではなく、「発達の足踏み」をしているだけなのです。
 
 
お母さんとのコミュニケーションの中でしっかり自信を付けてあげ、できることが増えてくると、昨日まで足踏みしていたのに、急に進みだす…そんな場面に出会えると思います。
 
 
ちなみにですが、先日うちの息子が3年ぶりに発達検査を受けました。その結果、発達凸凹は激しいのですが、数値が上がり知的ボーダーから外れました。
 
 
これは、平均値に近付いたということなのですが、発達障害があるから周りとの差がどんどん大きくなるとは一概には言えない、ということです。
 
 
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3.「子育て」でなく「子育ち」の視点を持つのがポイント

 
 
これから接して行く上でのお母さんの視点についても触れておきたいと思います。
 
 
「子育て中のお母さんは…」とよく使われますよね。子どもは弱い存在でお母さんが保護し、全責任を持って育てる!という図式を当てはめてしまう印象が強くあり、私はあまり好きではありません。
 
 
先ほどからお伝えしている通り、子どもたちはそれぞれの個性を持ち自分で発達する力を持っていますので、むしろ「子育ち」という言葉の方がしっくりきます。
 
 
当然ながらお母さんが責任ある重要な当事者ではあるのですが、主体的に発達する子どもと、その育ちの環境を整えるお母さんとの相互作用によって、両方の発達が促されるわけです。
 
 
子どもの発達がすさましければ、お母さんも変化せざるを得ないわけで、言い換えればお母さんは「親育ち」していかなくてはなりません。
 
 
例えば、発達障害の子どもの特性として、今目の前の欲求に対して執着する、ということがあります。あれやりたい、これ食べたい、今がいい!子どもに振り回されて、お母さんは自分のペースで何事も進められません。
 
 
私はこの「自分のペースでやれることが何もない」状態に相当ストレスがたまりました。相談者さんはいかがでしょうか?振り返ると、相当忍耐力も鍛えられたのではないでしょうか。
 
 
一方で子どもの欲求を押し通そうとする自我の芽生えも子どもの成長ですから、お互いが日々成長しているとも言えるのです。
 
 
不安感が強い子に、「不安を感じるのを止めなさい」と言ったところで無理ですよね…
 
 
それと同じように、気が散りやすい子に「集中しなさい! 」、癇癪がある子に「静かにしなさい!」と言っても、無理な話です。
 
 
不安を感じやすい、集中力がないなどの本人が持って生まれた「育ち方」をサポートするのがお母さんの役割だと私は思っています。
 
 
まずは息子さんには成長する力がある、ということはここで断言しますので、その力を信じてあげてください。
 
 
 
 
花に水をあげる、日光が当たるところに置く、ときに肥料をあげる。水のやりすぎにも注意です。
 
 
花が元気に美しく咲かせるにはどうするのか?ひまわりの種から、朝顔を咲かせることはできません。ひまわりにはひまわりの育て方があり、花開く時期もそれぞれです。
 
 
そんな視点で息子のさんの「特性」や「育ち方」を観察し、それに合った正しい対応をとってあげて欲しいと思います。
 
 
少しだけ手間のかかる子育てになるかもしれませんが、成長を感じて感動する場面にこれからも沢山出会うことができますよ!一緒にがんばりましょうね!
 
 
子どもの成長を後押しするコミュニケーションを多数お伝えしています!

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執筆者:瀬名香織
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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