
IQが高い小学校5年生の男の子がいます。おしゃべりがとても好きなのですが、内容が難しかったり、しゃべるスピードが早かったり、会話の途中でコロコロ話題が変わったりすることもあり、話が合わないと感じることがあります。お友達にも息子の話は理解してもらえないことが多いようで、今後社会の中で周りとうまくやっていけるのか心配です。
11才・男の子のママ

子どもが社会へ巣立つ前にうまくコミュニケーションをとれるようになってほしいですよね。しかし、子どもとの話が合わないと心配ですね。IQが高いギフテッドタイプの子どもの話し方がなぜ分かりづらいのかを理解して、会話スキルをアップさせるかかわりをマスターしましょう!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー すずき真菜
【目次】
1.IQが高すぎる息子との会話が苦行!
2.ギフテッドタイプの子どもとの話が合わない理由
3.息子との会話が楽しくなった方法
◆とにかく笑顔でよく目を見て話を聞く
◆話が合わないときの質問は最小限で
◆同世代に関わらず子どもに合う友人を探す
4.IQの違いが大きくても分かりやすい話し方になる
1.IQが高すぎる息子との会話が苦行!
我が家の中学1年生の息子は自閉症スペクトラム、ギフテッドの傾向があります。
小さい頃から、好きなこと、興味のあることを話すのが大好き。作文や絵を書くことが苦手なので、伝えたい内容をアウトプットするには会話をすることが一番楽しくて楽な方法です。
しかし!母には息子の話す内容が理解できない…ということが多々ありました。
まず第一に、何についてしゃべっているのか分からない。そして、話の時系列も分からない、何についての話か分かったとしてもマニアックすぎて理解したいと思えない…
子どもと楽しく会話する時間を夢見ていた私にとって、息子との会話が苦行と感じてしまった時期がありました。

どうにか息子の話を理解しよう、息子の話し方をもっと分かりやすくしようと、息子が話している間を割っていろいろ質問すると…
「なんでそんなことも分からないの?」
「もういい!お母さんには分からないよ!」
「この前も説明したじゃん!」
と怒られ、私が質問することを嫌がるようになってしまいました。
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2.ギフテッドタイプの子どもと話が合わない理由
そもそも、なぜ息子と話が合わないのか。それは息子の思考パターンにありました。
IQが高いということは、深く考えることが得意ということです。また、瞬時に物事を分析・理解してしまうということです。
それに加えて、同時処理系の認知パターンをする子どもの頭の中では、まず伝えたい事柄があって、話していくうちに色々な考えが湧きおこり、それらの考えが会話の中にどんどん盛り込まれていくことがあります。
同時処理とは?こちらで解説しています!

さらに、IQが高いとはいえまだ子どもですから、相手が理解しやすいように話をしなくてはという考えには至りません。
物事を、段階を踏んで考えていきたい私にとって、息子の話し方が理解できないのも無理はありませんでした。
しかし、思考パターンというのは、使いやすい脳内の回路の違いであって、正しいも間違っているもありません。
息子の話し方を、誰でも理解しやすいように矯正しようと、ゴチャゴチャと質問を返す私のやり方に息子が怒るのは当然でした。
では、どうしたらギフテッドタイプの子どもと楽しく会話できるようになるのでしょうか?
3.息子との会話が楽しくなった方法
私があることを意識すると、息子との会話が楽しくなり、息子の会話術もアップしました!今回は3つの方法をご紹介します。
◆とにかく笑顔でよく目を見て話を聞く
もちろん、日常的な会話であれば理解できるので普通に会話していたのですが、よく考えてみると、息子の話が長かったり意味が分からなかったりすると、私も夫もよく聞いてあげるということをしていませんでした。
息子にしてみれば、「大好きなことは、他の人にも聞いてもらいたい!一緒に分かち合いたい!」という気持ちだったことでしょう。
理解できないという理由で、面倒くさがって目も合わさず家事をしながら聞いたり、時には眠くなって寝てしまったりという失態もありました。申し訳ないことです。
そこで、まずは最も身近な存在である母親の私が、「じっくり聞くよ」という態度を示すことで、息子から、相手に伝わりやすいように話そうという気持ちを引き出そうと考え直しました。
息子の話がよく理解できなくても、とにかく笑顔で目を見てしっかり聞くことを大事にしました。
息子がゲラゲラ笑っているときは、多少話が分からなくても、
「〇〇くんがそんなに笑っていて、なんだかお母さんも嬉しいわ」
「その笑顔がいいねぇ!」
と、話の内容ではなく、楽しんで話している息子のことを褒めるようにしました。
◆話が合わないときの質問は最小限で
息子がいつでも機嫌よく私に話してくれるようになったと感じたら、話の内容を分かりやすく伝えてもらえるように、会話中に質問をしていくことにしました。
初めは、ひとつの話題に質問はひとつだけと決めて、息子が会話を嫌がらないように気をつけました。
「その話題は〜についてで合ってる?」
「それは昨日のこと?今日のこと?」
「それってこういうことで合ってる?」
と、なるべく息子の話からヒントとなることをキャッチして、そこからより理解を深めるための質問をします。最初はひとつだけの質問にしていましたが、だんだんと嫌がる様子もなくなり、少しずつ質問を増やせるようになりました。
質問することができるようになると、私自身が息子の話を理解できるようになり、心地よいリズムで会話を進めることができるようになっていきました。

◆同世代に関わらず子どもに合う友人を探す
私が息子との会話を改良している頃、息子の希望で家庭教師さんに勉強を教えてもらうことになりました。我が家の家庭教師さんは、20代の大学生の男性です。
息子の興味関心がもともと同年代の友達とは合わず、話せる相手もいないため辛いようでした。しかし、この家庭教師さんは息子の好きなことをよく知っている世代でした。
息子が話すことに対して、
「よくそんなこと知ってるね!すげーじゃん!」
「わかる!これおもしろいよね!」
などと共感してくれ、「僕の興味を理解してくれる人に初めて出会った!」と息子は大喜びでした。
4.IQの違いが大きくてもわかりやすい話し方になる
「息子との会話を楽しく!」というテーマを掲げて半年ほど過ぎました。気がついてみると、私が楽しく息子と会話できるようになっただけではなく、息子の話し方がこんな風に劇的に成長していました。
・相手には分かりにくい話題かなと感じる時には、「〜についてなんだけどね」と前置きをするようになった!
・話が長いときには、「つまり、〜ということだよ」と要約するようになった!
・自分の話がマニアックすぎるかなと感じるときには、「例えば〜なこと」と相手が理解しやすいように例をあげるようになった!
・話の途中で「この話、大丈夫?分かる?」と相手を気づかうようになった!
これは、相手に自分の話を理解してもらいたいという気持ち、相手が分かりやすいように話そうという気持ちが育まれたからだと思います。そんな気持ちが芽生えたことがとても嬉しいです。

実はまだまだ、息子の話題が私にとっては興味がないことだったりすることはあります。
しかし、私自身の気持ちが「息子の考えを理解したい、息子が楽しいと思える会話にしたい」という気持ちに変わったため、多少話題がつまらなくても問題ではなくなりました。
また、家族や友達とマニアックな話題で盛り上がれなくても、一緒に盛り上がれる先生がいることで息子の欲求も満たされています。
ぜひ、IQが高く話が合わないお子さんとの会話が楽しくなるコミュニケーション術や、常識にとらわれない友人探しをしてみてくださいね!
IQが高すぎる子どもの困りごとの解決法をお届けしています!
執筆者:すずき真菜
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)