「今日のご飯なに?」「明日スイミング行く?」など同じ質問を何度も繰り返す、発達障害・グレーゾーンの小1の息子。「さっき言ったでしょ!」と、つい強い口調で言ってしまい後悔する毎日です。息子とのコミュニケーションの質は向上するのでしょうか。
小1・男の子のママ
忙しいときはつい感情的に対応してしまいがちですよね。同じ質問を何度も繰り返すのは聞いていないのではなく発達障害の特性かもしれません。お母さんが特性を知ることで、発達障害・グレーゾーンのお子さんとのコミュニケーションの質も向上しますよ!
発達科学コミュニケーションリサーチャー 岩原まゆみ
【目次】
1.自閉傾向のお子さんに多い?同じ質問を繰り返すワケ
2.答えを知りたいから質問するのではなかった!我が家の場合はこうでした
3.親子関係とコミュニケ―ションを向上させる4つの秘策
◆予定をカレンダーに書いて、本人に確認させる
◆繰り返してもよい回数を先に決めておく
◆お子さんの質問から会話に繋いであげる
◆ホームカウンセリングで不安を取り除く
1.自閉傾向のお子さんに多い?同じ質問を繰り返すワケ
発達障害・グレーゾーンで自閉傾向がある子どもが同じ質問を繰り返す症状は、特性からくる可能性があります。 なぜなら、見通しが立たず不安感を抱いている可能性がありその不安を和らげるために、同じ言動を繰り返すことで安心しています。
自閉スペクトラム障害の子どもは、パターン化したものや同じことの繰り返しに安心感をもつ特性があるからです。
また目に見えないものを想像することが苦手だったり、空気をよむことができなかったりするなどコミュニケーションを取るのが苦手なことも多いです。
こう言ったら相手はどう思うか、といった想像をすることができません。お母さんがどうしてイライラしているのかが分からないのです。
このような場合は、自閉症スペクトラムの子どもの行動を変えるのではなくお母さんが接し方を変えてみましょう!
お母さんがコミュニケ―ションの質を工夫し向上させることで、同じ質問を繰り返す方法を使わずに子どもが安心できるようになります。
2.答えを知りたいから質問するのではなかった!我が家の場合はこうでした
小学生の息子は、自閉症スペクトラム障害です。 家で暇を持て余してしまうと私に「土日の予定はなに?」「明日学校から帰ったらどこ行くの?」「明日の習い事は何時から?」など何度も同じ質問をしてくることがよくあります。
度重なる質問に「さっきも言ったでしょ!」「きちんと聞きなさい!」と子どもに言ってしまっていました。
他人が見たら、子どもが聞いているのだから、お母さんがきちんと答えてあげればいいのにと思われているだろうなとさらに落ち込みました。
疲れていているときや忙しいときなど私自身に余裕がない日は、質問ばかりしてくる息子を無視していたこともあり、今思えばひどい態度をとっていました。
どんなに私が叱ってやめるように注意しても、同じ質問を繰り返す回数は決して減ることはなく、逆に増えているようでした。
さらに、私以外の家族にはしつこく質問しないので、息子と二人きりで長い時間過ごさなくてはならない日は恐怖でしかありませんでした。
追い詰められた私は、このままではまずい…と思い、調べた情報を組み合わせて息子の状況にぴったりだと思う対応を見つけ、実践しました。
3.親子関係とコミュニケ―ションを向上させる4つの秘策
お母さんは、お子さんが同じ質問をしてきたら、お母さんモードから研究者モードにスイッチを切り替えましょう。 研究者になりきり、お子さんの状況を心の中で実況中継するとイライラしなくなりますよ!
私が普段行っていることをご紹介します。
◆予定をカレンダーに書いて、本人に確認させる
発達障害・グレーゾーンの子どもは、耳で聞くだけより目で見た方がより理解できる場合があります。 聞いただけでは記憶に残りにくく、内容をすぐに忘れてしまうこともあります。
そこで、1週間の予定をカレンダーに文字で書いてあげるか、自分で書かせて視覚的に確認させるのがおすすめです。
小さい子の場合はイラストや写真を貼っておくのもよいです。文字だけでなくイラストや写真も活用したら誰にでもパッと見ただけで何をするかわかりやすくなります。
我が家では、息子にお気に入りの手帳を準備して自分の予定を書かせるようにしています。 「ここに書いてあるよ、みてごらん」と声がけすると、自分で確認するようになり、聞いてこなくなりました。
見通しがつく事で子どもも安心することができます。
◆繰り返してもよい回数を先に決めておく
決まったやりとりを繰り返す行為で安心している場合があります。 発達障害の子どもの中には、言葉遊びを通してお母さんとのコミュニケーションを取ることで安心感を得ていることがあります。
そこでお母さんが我慢できる、繰り返しても良い回数を決めておきましょう。 例えば同じ質問は3回までと決めてお約束します。
見えるようにホワイトボードに書き、質問するたびに印をつけていきます。 最初は10回20回と質問してくることもありますがここはぐっと我慢。
3回質問したらおしまいのお約束が守れたら十分褒めてあげてください! お母さんに褒められたら徐々に同じ質問を繰り返さなくなっていきます。
子どもはお母さんに褒められるのが大好きです、そこをうまく利用します。
◆お子さんの質問から会話に繋いであげる
もっとそのことを話したいけれど、話題の広げ方が分からず同じ質問を繰り返していることもあります。 お子さんに質問返しをしてみましょう。
例えば、子どもが「明日どこ行くの?」の質問を繰り返し「動物園に行くよ」と何度も答えなければならない場合、お母さんは質問を返してお子さんが答えられるようにします。
「明日どこ行くの?」
「動物園に行くよ、車で行く?それとも電車で行く?」
「電車がいい!」
「電車で動物園に行ったら、何の動物みようか?」
「キリン、ゾウ…、…!」
「動物見たら、お昼ご飯はお弁当食べる?それともレストランで食べる?」
お子さんがお母さんともっと話したい!という気持ちを見逃さないで察知しましょう。 楽しいことや好きなこと伝えたい、という意欲は脳の発達を活発にします。
会話を引き延ばして楽しく会話をつづけると、自分の気持ちを伝えるトレーニングにもなりますよ。
◆ホームカウンセリングで不安を取り除く
行きたくない場所などがあり、繰り返し質問する場合は不安を取り除いてあげましょう。
例えば、「明日スイミングに行く?」を繰り返す場合、実は不安があって行きたくない思いが隠れていることがあります。 「どうしてスイミング行かないの?」は禁句です。
ホームカウンセリングとは発達科学コミュニケーション(発コミュ)で習う、資格がなくてもお母さんができるカウンセリングのテクニックです。
「そっか~」「なるほどね~」「そうだったんだね~」「他には?」などの言葉を使って気持を受け止めましょう。
「これをやってほしい」という大人側の気持ちをいったん後回しにして子どものいう事に耳を傾けます。 ありのままを受け止めてもらえたことで、子どもは現実をみつめて立ち向かう心の準備がだんだんできてきます。
大事なことは、自分の存在を否定する場合以外は、子どもは何を話してもお母さんは全て受け止めることです。
ホームカウンセリングについての詳しい記事はこちらにもあります。
さて、我が家はどうなったかというと研究者モードで接し状況に合わせて対応したら、息子は同じ質問を繰り返す回数が驚くほど減りました。
同じ質問を繰り返すのはなぜなのか息子の気持ちと状況を分析することで、私も冷静になれてイライラすることがなくなりました。
その結果、コミュニケーションが増えて親子関係も向上しました!
アウトプットが苦手な息子が、会話を通して自分の考えや気持ちをゆっくり伝えることができるようになってきました。
お子さんが同じ質問をくりかえすようなら、是非試してみてくださいね。 お母さんの接し方で、お子さんのコミュニケーションが向上すること間違いなしです。
発達障害・グレーゾーンの子どもの対応をお伝えします!
執筆者:岩原まゆみ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)