息子は自閉症スペクトラムの診断がある小学校1年生です。通常級で頑張っているのですが、なかなか宿題に取り掛かれません。何度も声をかけても宿題をやらないでダラダラしている子どもにイライラしてしまいます。家庭学習の習慣をつけるには「どうしたら良いのでしょう?
小学1年生・男の子のママ
宿題をやらないでダラダラしている子どもの姿を見ると、イライラしてしまいますよね。どうやったらスムーズに宿題に取り掛かれるか、作戦を立てましょう!
発達科学コミュニケーション
リサーチャー 丸山香緒里
【目次】
1.宿題をしない息子にイライラと不安を感じる日々
2.どうしてなかなか宿題に取り掛かれないの?
3.自閉症スペクトラムの小学1年生が学習習慣を身につけた3ステップ
STEP①次の行動に移すための声かけ
STEP②ご褒美を使って机まで誘導する
STEP③解けばいいだけ!お母さんはサポートに徹する
4.たった2週間!家庭学習に自ら取り組むようになった息子
1.宿題をしない息子にイライラと不安を感じる日々
私も発達障害・自閉症スペクトラムの診断がある息子を育てています。
息子は現在小学3年生。1年生の頃、宿題がスムーズにできなくて、本当に苦労しました。 ですから、相談者さんの悩みにはすごく共感します。
息子は帰宅すると、即おやつ!
おやつが終わったら即ゲーム!
最初は「宿題は何時からやるの?」と優しく聞いてあげられるのですが、まったく動く気配のない息子。同じことを繰り返しているうちにどんどんイライラしてきていました。
「どうして宿題しないの!?」
「いつまでゲームするの?」
「明日出さないといけないんでしょ!」
「いつまでゲームするの?」
「明日出さないといけないんでしょ!」
などと、毎日のようにガミガミ叱っていました。
私の怒りで「ヤバイ!」と感じた息子は、一応宿題に取り掛かるのですが、
「漢字イヤ~!」
「もう分からない!」
「お母さん、ちょっと来て!」
とグズグズ言いながらノロノロ進めるので、私はますますイライラしてしまっていました。
つまり、
・なかなか動かない息子にイライラ
↓
・怒って声がけ
↓
・お母さんが怒っているから取り組む
↓
・自発的に始めたのではないので集中できない
↓
そんな息子の姿に自分がイライラ
という負のスパイラルに陥ってしまっていたのです。
毎日の宿題バトルが本当に苦痛で、まだ小学1年生なのに、こんな調子でこれからどうなるんだろう?と不安しかありませんでした。
2.どうしてなかなか宿題に取り掛かれないの?
相談者さんも、私も含めて、お母さんが子どもに「宿題しなさい!」とガミガミ言っても、素直に取り掛かれるケースってほとんどないんです。
子どもがなかなか宿題に取り掛かれないのは、実は脳に原因があるのです!
◆➀脳のしくみ
発達障害・グレーゾーンにかかわらず、人間は今している行動から別の行動に切り替えるとき、脳は大きなエネルギーを必要とします。
なかなか行動が切り替えられないのは、そのまま同じことを続けた方が脳が省エネで済むからなのです。
ましてや、子どもが大好きなテレビから、子どもが嫌いな勉強に切り替えるにはとても大きなエネルギーが必要なのです。
宿題が嫌いな子も、宿題をやらなければいけないことは分かっています。分かっていても宿題に取り掛かれないのは、脳のしくみに原因があるのです。
◆➁子どもの特性
自閉症スペクトラムに関わらず、発達障害の子どもたちはそれぞれに特性を持っています。
脳の発達が遅かったり、もともと持っている特性によって不器用だったり、苦手なこともたくさんあります。
ですから、宿題にもなかなか取り組めないという状況になってしまうのです。
このように、脳のしくみや特性によるものが関係しているのでお母さんの対応が間違っているのではなく、お子さんの特性が大きく関わっているのです。
しかし、「特性だから」と諦めても何ひとつ変わりません!
私は息子の特性にあった宿題へ取り組む方法を考えて実践してみました。
自閉症スペクトラムの小学1年生が家庭学習の習慣を身につけた3ステップ作戦をお伝えします。
3.自閉症スペクトラムの小学1年生が学習習慣を身につけた3ステップ
ただ、「宿題しなさい!」と言ってもゲームに釘付け。もはや私の声を聞いてすらいない。こんな息子をどうしたらいいか?といろいろ試してみました。
一番効果があったのが、実際に宿題を解き始めるまでの事前準備を工夫したことでした!
3つのステップで進めてみると、息子がスムーズに宿題に取り掛かれるようになりました。
◆STEP①次の行動に移すための声かけ
まずは、お子さんが夢中になっていることを終わらせて宿題に取り掛かるための声がけをします。声がけのポイントは2つあります。
①お母さんに意識が向くための声かけ
遠くやお子さんの背後から声をかけても今やっていることに夢中で気が付かないことが多いです。
お子さんに声をかけるときは、子どもの方を叩いたり視界に入ったりしてまずはお母さんに意識が向くようにしましょう。
お母さんが強制的に止めさせることは絶対にしないでくださいね。
バトルまで発展しなくても、険悪な雰囲気になってしまうので、宿題に対してますますやる気をなくしてしまいます。
我が家の場合はゲームがやめられなかったので、「ゲームどう?いい感じ?」とゲームをしていることを肯定してあげました。
自分がしていることを認めてもらうことで気持ちが変わるというのは、発達障害の有無に関わらず、大人も子どもも同じです。
まずは、子どもが今していることをしっかりと認めてあげることで子どもが気分よくなり、お母さんの話をしっかりと聞く準備ができるのです。
➁行動を切り替えようとしたときに褒める声かけ
お母さんの話を聞く準備ができたら本題に入りましょう。
「ゲーム楽しいね。だけど、もう宿題の時間だから終わりにしようね。」 と行動を切り替えるための声かけをします。
こう声をかけたとき、子どもが少しでも終わりにするそぶりを見せた瞬間が大切です!この瞬間を逃してはいけません!
行動の切り替えにはエネルギーが必要だとお伝えしました。この瞬間は、まさにテレビをやめて勉強に切り替え ようとしている瞬間なのです!
「もう終わりにできるんだね!」
「さすがだね!」
「さすがだね!」
と褒めてあげることで、お母さんの声かけをエネルギーにして行動を加速させてください。
◆STEP②ご褒美を使って机まで誘導する
テレビを終えたら、サクッと宿題に取り掛かりたいところ。でも、ここで焦らないのがポイントです。
まず、リビングから机に移動して、椅子に座ること。
テレビから宿題へのハードルは高くギアチェンジはとても大変です。ここでワンクッション置きましょう!
例えば、机でおやつを食べたり、塗り絵をしたり、机でできるお子さんが好きなご褒美でワンクッションはさみます。
一通り満足したら、そのまま宿題に取り掛かれますよ!
◆STEP③解けばいいだけ!お母さんはサポートに徹する
机に座ったからあとは自分でやってね!が理想なのですが、小学1年生だとまだ難しいかもしれません。
宿題は毎日いくつか出ます。範囲を確認して、何から始めるか決めて、教材を開く。これが難しいんです。
「なんだったっけな~」
「なにやろっかな~」
こんな風に、考える時間は省きましょう!
「宿題について考える時間」が長ければ長いほど、実際に勉強するという行動に移しづらくなってしまいます。ここでも行動の切り替えが必要になってしまうからです。
サクッと進めてほしいなら、「あとは解くだけ!」にお母さんがサポートしてあげてください。
連絡帳で宿題を確認
↓
筆箱から鉛筆と消しゴムを出して手渡し
↓
「ドリルと音読、どっちからする?」と選ばせて
↓
該当するページを開いて渡す。
子どもは解くだけ!解くしかない!状況までお母さんがサポートする。こうすれば、スムーズに宿題に取り掛かれます!
4.たった2週間!家庭学習に自ら取り組むようになった息子
ここまでしてあげないといけないの?甘やかしではないの?と思った方もいるかもしれません。
しかし、発達障害・グレーゾーンのお子さんは不器用なお子さんや「探す」ということが苦手なお子さんがたくさんいます。
特性やつまずきをサポートしていくことで子どもが本来の課題に集中することができるのです。
まだまだ小学1年生です。手厚くサポートしてあげて良いんです!
正直私も、ここまでお母さんがサポートしないと息子が宿題をやらない事実に、正直泣きたくなりました…
でも、この3つのSTEPを踏むと、宿題バトルが一切なくなったんです!
「宿題しなさい!」とガミガミ言うこともなければ、息子がグズグズすることもない。宿題にかかる時間が半分になりました。
宿題の時間が半分になるなら、私が頑張ればいいか…と妥協していたのですが、始めて2週間で変化が!
なんと、手順を覚えた息子が、自分でテレビを終わらせ、おやつを取り、ダイニングテーブルに移動して宿題を始めるようになったのです!
ここは自閉症スペクトラムの子が得意な、「パターン化」がハマった形です。
最初は1つ完了するごとに「お母さん、マル付けしてー!」と呼ばれていたのですが、今では「終わったからあとでマル付けしておいてね!」とまとめてできるように。
おかげで、私は夕食の支度がはかどるようになりました!
自閉症スペクトラムで、ルーティンやルールを大事にする特性を持つ息子なので、毎日同じような手順で進めたことがよかったのかもしれません。
もし、相談者さんの息子さんが同じくルーティンを大事にするタイプなら、ぜひ実践してみてくださいね。
我が家の息子に合った事例でしたが、お子さんの特性に合わせて工夫することで、家庭学習に嫌悪感を持っていくのか?意欲的になっていくのか?が大きく変わっていくのではないでしょうか?
一番身近にいるお母さんがお子さんのサポーターになってください!
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)