小学校で毎日のように宿題に出される「音読」。発達障害やグレーゾーンの子どもたちはこの「音読」が苦手な子が多いようです。なぜ「音読」が苦手なのでしょうか?本記事では「音読」が苦手な発達障害・グレーゾーンの子どもが家庭で楽しく取り組むことができる方法をご紹介します。
1.音読の宿題が苦手な子はいませんか?
小学校に入ると、毎日のように国語の宿題として教科書の音読がだされますよね。
発達障害・グレーゾーンの子どもには、この音読をなかなかやりたがらない、苦手という子が多くいます。
やり始めても読み間違いや読み飛ばしが多くて、そのうちにイライラしてきて投げ出してしまう。
そんなお子さんとママがバトルになって、宿題をさせるのに毎日ぐったり…なんてことはありませんか?
2.毎日の音読をやらせるのにぐったりでした…
私の小学校2年生になる子どもも音読の宿題が苦手です。
最初はまじめに読んでいましたが、つまったり、読み間違いや読み飛ばしが多く、スムーズに読めなかったのです。
上手に読めないので、だんだんイライラ…。
「学校の授業の音読もおもしろくない!」
「授業でも何回も読んだり聞いたりしているのに、なんで家でもやらないといけないのか。」
「毎回毎回、同じ文章を繰り返し読むのがつまらない。もう飽きた!」
などと言って、だんだん音読の宿題をやらなくなっていきました。
音読で理解力をつけてほしいと思っていた私は
「もう一度読んでごらん。ゆっくり読めば間違えずに読めるよ。さっとやれば音読なんてすぐに終わるから。」
などと正論をぶつけてしまい、子どもを追い詰めてしまいました。
なだめたり、お菓子で釣ったり、ぬいぐるみなどを活用して遊び感覚にしてみたり、毎日いろいろな方法で宿題をやらせようとしました。
しかし、やらせようと思えば思うほど、子どもはだんだんやる気をなくし、「宿題やろう!」と言っただけで不機嫌になるように。
取り掛かるのにも時間がかかり、お互いにぐったり疲れていました。
3.発達障害・グレーゾーンの子が音読が苦手な理由は?
発達障害・グレーゾーンの子どもが音読が苦手なのには理由があります。
それは「目をうまく使えない、見る力が弱い」からなんです。
目をうまく使えないと、ものを目で追ったり、目から入った情報をうまく処理することができません。
つまり、ぱっと見た大まかな情報はつかめるけれど細かい部分を見落としてしまうのです。
そのため読み間違いや読み飛ばしが多くなります。
学校生活ではこの目を使う場面が意外と多くあります。
見る力が弱いと
・黒板を見てノートに書き写すのが苦手
・漢字が覚えにくい
・定規の目盛りがうまく読めない
・計算のひっ算が苦手
・キャッチボールが上手くできない
などの困りごとが見られ、苦労することがあります。
また、わが子の場合は音に対する過敏性もあるので、クラス全員が大きな声で音読した時の音のボリュームがとてもしんどく感じたようです。
もともと読書は好きな子どもでしたが、音読という行為が「楽しくないこと」になっていたようです。
4.音読を楽しむ非常識な方法
楽しく音読できるように私が活用したのは、ゲームです!
私の子どもはゲームもYouTubeも大好きです。
普段からよくYouTubeのゲーム実況を見ています。
好きなロールプレイングゲームや対戦系カードゲームをする時に、キャラクターのセリフや技名・技の効果をユーチューバーのように声に出して読んでいたのです。
あんなに教科書の音読は嫌がっていたのに!
ゲームで音読なんて非常識な!なんて思われてしまうかもしれませんが…
よく考えてください『文を見て、声に出して読む、自分の声を聴いて理解する』
これは音読そのものですよね。
ゲームを音読しているときに「上手く声に出して読めてるね」と声をかけると本人も「ほんとだ!音読できるね」と嬉しそうにしていました。
毎日一緒にゲームをする時間は、「このセリフ、おもしろいね」「○○ってどんな技なの?」と会話も弾み、自然と音読しながら親子の楽しいコミュニケーションの時間になっています。
宿題の音読はというと…
・ママが読むのを聞く
・1ページだけ読む
・1段落ずつ交代交代に読む
などその日のペースで取り組んでいます。
「教科書をひらけたね」「その読み方、おもしろい!」など声をかけ、教科書の音読も私と子どもの楽しい時間になるようにしています。
今は以前のように怒り出すことは無くなり、無理せず音読の宿題に取り組めるようになりました。
さらに読むことへの抵抗感がなくなってきて、以前は「ママ、読んで。なんて書いてあるの?」と言っていたものも自分で読めるようになってきたり、わからないことを自分で図鑑やネットで調べて読むようになってきました。
好きなことを通じて行動の幅が広がっているなと感じています。
苦手だと思っていることはなかなか行動出来ませんが、楽しい、好きなことはどんどんやりたくなります。
音読は教科書でなくても、本人が好きなゲームでもマンガでもなんだってOKです。
楽しいこと、好きなことをうまく活用して、音読を楽しい親子の時間にしましょう!
執筆者:
発達科学コミュニケーション リサーチャー
よしみつ りこ