子どもが親に本音を言えない状態、放っておくのはNG!気持ちをまるっと受け入れ、子どもの発達を促そう

わが子が親に本音を言えない、そんな様子はありませんか?子育てに強い不安を感じたお母さんがとってしまった言動に、理由があるかもしれません。子どもが困りごとを抱える前に、家庭を安心できる場所に!親や家族に本音を話したくなる、かかわり方とは?

子どもの成長のチャンスを親が奪った苦い過去

私には発達障害グレーゾーンの小学校6年生の息子がいます。
注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)と3つの特性があります。
内向的な息子は自分から人の輪に入るのが苦手で、嫌がらずに集団生活になじむまで時間がかかりましたが、友達のおかげで少しずつ一緒に遊べるようになっていきました。
そんな息子が幼稚園のころ、ある出来事が起きました。
園庭開放の様子を見守っていると、息子が仲良くしている友達を鬼の形相で追いかけ、その友達も息子から必死で逃げていたのです。
何かトラブルが起こっていたのは明らかでした。
息子に事情を尋ねましたが、説明が上手ではないため、2人の間に何があったのかわかりませんでした。
ただ、友達の言動に腹を立てていることだけはわかりました。
友達と喧嘩になったら、それが原因で孤立してしまうのではないか。
不安にとりつかれた私は、何か嫌なことがあったのね、でも許してあげようよ、と息子の気持ちを抑え込んでしまいました
当時はよほどのことでもない限りそこまで怒ることがなかった息子が、友達を許せなくて追いかけ回すほど嫌なことが起きていた。
その気持ちに蓋をさせ、正直な気持ちを親にわかってもらえた!という成功体験の機会を奪ってしまったのです。
同じような出来事が何度かあり、息子は本当の気持ちを抑え込む癖がついてしまいました。
親である私が本音を言わせない状態にしてしまっていたのだとやっと気づき、「正直な気持ちを言っていいよ。本当はどう思っているの?」と息子に尋ねても、息子の答えは「わからない」でした。 
親に本音を言えない。
行き場のない思いを息子は抱えていたのだと思うと、今でも胸が苦しくなります。

子どもが親に本音を言えない理由

なぜ子どもが親に本音を言えなくなってしまうのか考えてみると、原因は親が抱きがちな2つの不安からとる言動にあると思います。
1つ目は、子ども同士の喧嘩が起こりそうな状況で、親は何もせずただ見ているだけだと周りからどう思われるのかという、世間体を気にした不安です。
2つ目は、子どもの友達関係で問題が起こるのを何とか防がねば、という子を想うゆえの不安です。
子ども同士の喧嘩も時には必要、仲良く遊べることがいつも正解ではないと頭ではわかっています。
しかしわが子がコミュニケーションが苦手であるのを強く心配する気持ちから、友達と仲良く遊べているのを見ることで安心したいのです。
そこに子どもを放置している、注意せずに甘やかしていると思われたくないという恐れも加わり、親がする必要のない先回りをして、波風が立たないようにその場を収めることがよく起こるのです。
そう対応することで、友達との間では大したトラブルにはならずにすむかもしれません。
その代わり、子どもの心の中に、親に本音を言えない、言ってもわかってもらえないという大きなしこりを残すことになります。
本来、安心できる環境の中で子どもの発達は進んでいきます
本音を言っても受け入れてもらえない、共感してくれたように思えても最終的には否定されるという状態では、自分の本当の気持ちさえもわからなくなります。
それは自分以外の人の気持ちがわからないという問題にもつながり、コミュニケーションがますます困難になっていきます。
親に本音を言えない状態が続くと、自己肯定感が低くなることから、暴言や暴力など攻撃性が増す2次障害も引き起こす可能性があるので、早いうちに気づいて対応しなければなりません。

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親に本音を言えない現状を変えたい。気づいたときがタイミング!

子どもは本来わがままで、自分の気持ちや欲求に正直に生きています。
ですから、子どもが親の希望と異なる言動をするのはごく当たり前なことです。
子どもの希望や要求に応えるかどうかは別の問題ですが、子どもが今の正直な気持ちを素直に出せる環境は常に用意してあげたいものですね。
対応を変える必要があると親が気づくのが、例えば思春期を迎える小学校高学年など、子どもがある程度大きくなっていても、あきらめることはありません。
私たち大人も自分が苦しい思いをしているときに、決めつけられたり、逆に望んでもいないアドバイスをされたりすると、その相手の声を聞こうという気にはなりませんね。
一方で、共感して気持ちを受け入れてもらえると、その相手の言葉には耳を傾けたくなるのと同じです。
気づいたそのときから、子どもの本音に耳を傾けていきましょう。
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本音を言っても大丈夫!家庭を安心できる場所に

子どもが親に本音を言えない、その現状でできることはただ1つです。
急かしたり決めつけたりせずに、しっかりと話を聞いてあげることです。
そのときに気をつけるポイントがあります。
◆話を聞いた後に「でもね」「だけど」などと否定しない
◆親の気持ちは言わずに、子どもの気持ちをまるごと受け入れる
楽しかった、おもしろかった、などポジティブな気持ちには親も「よかったね!」などと共感しやすいですね。
しかし友達のことが嫌い、もう遊びたくないなどネガティブな気持ちだと、つい注意したくなります。
「嫌な気持ちになったんだね。でも、嫌いだなんて言うものじゃないよ」などは共感ではなく、否定されたと子どもは感じます
たとえ、友達への文句など後ろ向きな内容であったとしても「あなたはそう思ったんだね」と受け入れてあげてください。
ここでは本当のことを言っても大丈夫、と家庭を安心できる場所にしてあげるのです。
本音を抑える癖がすでについてしまっているなら、自分の気持ちに意識を向けること自体が難しいかもしれません。
けれども普段から本当の気持ちを受け入れる会話やコミュニケーションを大事にしていれば、子どもは少しずつ心を開いてくれます。
私は息子が5年生のときに発達科学コミュニケーションに出合い、それまでの否定や決めつけの会話をやめました。
幼児ではないし年齢的にはもう遅いのかもと不安でしたが、根気よく向き合い、私の思いは横に置いた状態で、そうなんだね、と息子の話を受け入れてあげられるようになりました。
今では、学校や友達の前では言えなくても、私の前では本音を話してくれるようになっています。
子どもが成長し思春期に入っていくと、会話そのものが減ったり、親子でお互いに苛立つ場面が増えたりすることはあります。
だからこそ、子どもが親に本音を言えない状態を少しでも早く抜け出しませんか?
家族には本当のことを言っても大丈夫というゆるぎない安心感を土台にして、日々のやり取りで心を通わせていきたいですね。

執筆者:にしがみあやか
(New Mammyアンバサダー★)

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