中学生男子が感じる「母親嫌い」イライラを暴言・暴力にしない方法

中学生の男子にとって、母親は時に「うざい」「母親嫌い」と感じる存在。親の指示は「心理的リアクタンス」を引き起こします。暴言・暴力にしないために、中学生が自分で行動できる機会を増やし、怒らない脳を育てる具体的な声かけのテクニックを解説します。

母親嫌いな中学生男子に張り付いていた私の黒歴史

ある穏やかな休日のこと。

課題として出されていた作文の提出日の前日、中学生の息子が重い腰を上げてようやく始めました。

こんなギリギリでいいの?と思われるかもしれませんね。

いいんです。息子が自分でやると決めてとりかかったのですから。

今でこそ、子どもの自主性に任せてゆったりと見守っていますが、以前の私なら絶対に許しませんでした。

もっと早い時期に、怖い顔でぴったり横に張り付いて、無理やり机に座らせていたものです。

ひどいときには、取っ組み合いまでしてでもやらせていました

そのうち息子の言葉は「うざい!」「うるさい!」から、「シネ!」「コロス!」「キエロ!」などの暴言へとエスカレートしていきました。

このころの私は、

・こうまでしないと息子はできないんだから!
・母親としてしっかりやらせなくては!
・私は息子のために好きだった仕事までやめたのだから、何としても言うことを聞かせなければ!

…と思っていました。

そうはいっても、思春期に入り私より体も大きくなった男子を、力でねじ伏せることはもうできません。

本当は、自分で考えて動ける子になってほしいのに。

息子の人生も、母親である私の人生も、あきらめたくないのに…。

出口の見えない反抗期に、もう手遅れなのだろうかと途方に暮れていました。

そんな中で発達科学コミュニケーションに出会った私は、脳を成長させる声かけができれば、思春期からでも子どもを伸ばせると知りました。

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中学生男子が「母親嫌い」になる脳科学的なワケ

反抗期そのものは自立への第一歩であり、悪いことではありません。

思春期の中学生は親と距離をとるようになり、態度もぶっきらぼうになるため、親子関係が希薄になったように感じます。

そのため、自分の声が子どもにちゃんと届いているか不安になり、親は口うるさく言ってしまいがちになります。

ここで知っておきたいのが「心理的リアクタンス」という言葉です。

心理的リアクタンスが親子関係を壊すメカニズム

誰もが自分の行動や選択を、自分で決めたいという自由への欲求を持っています。

とくに、思春期を迎え自立心が急速に高まる中学生男子にとって、この欲求は非常に強いものです。

このとき、母親など外部の人間から行動を強制されたり、自由を制限されたりすると、人は無意識に強く反発してしまいます。

この現象を「心理的リアクタンス」と呼びます。

この反発心は、提案や指示の内容がたとえ自分にとってプラスになるものであっても発動します。例えば、

「宿題をしなさい!」と指示される→ 自由の制限 → 「うるさい、母親嫌い!」と反発し、むしろやる気を失う

というプロセスで、行動を強制されること自体が、中学生男子にとっては最大のストレスになり、「うざい」感情や反発的な態度につながるのです。

自立に向けた脳科学的成長

そもそも人は自分で決めたい生き物であると頭に置いておくことに加えて、大事なことがもう一つあります。

脳は、考えているだけではなかなか成長せず、行動したときに脳内の神経細胞(ニューロン)同士のネットワークが強くつながり、できることが増えていきます。

このネットワークを強化するプロセスこそが、脳の成長です。

中学生の男子が「うざい」と感じ、母親からの指示を拒否してしまうと、自分で考え、行動する機会を失ってしまいます。

その結果、本来伸びるはずだった脳のネットワークが育たず、自立に向けた成長が停滞してしまうのです。

中学生の男子が自分で考えて決めたことを、どれだけ行動につなげられるかが、思春期からの子育てでは大きなポイントになります。


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母親が行動を奪うと暴言・暴力が加速する理由

子どもが成長していけば、反抗期はいつか必ず終わるものです。

ところが、思春期の男子の「自分で決めたい」という気持ちを理解せず、母親が押さえつけてばかりいると、次のようなことが起こります。

思春期特有の怒りやイライラ、モヤモヤする感情を抑圧してしまったり、暴言や暴力で表現することが増えてしまったりするのです。

その結果、大人になってもネガティブな感情を自分で消化できずに苦しむことにつながります。

それは、お母さんの望む子どもの未来ではないですよね。

中学生の母親として、子どもの脳を伸ばしてあげられるのは、学校やプロの発達専門家よりも、子どもと接する時間が多い私たち親なのです。

母親嫌いと言われても、思春期からでも遅くはありません!

先ほども述べたように、考えるだけではなく実際に行動することで脳の発達を促していくことができます。

行動につなげるためには、親の希望を押しつけるのではなく、子どもの「自分はこうしたい」を尊重してあげることが大切です。

そうやって、子どもが自分で考えて決め、行動する機会を増やしていきましょう。

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自分で行動できる中学生男子を育てる簡単テクニック

中学生の男子の行動する機会を増やすには、子ども自身に決めさせて、後はまかせることです。

そして、行動したことを認めて肯定してあげましょう

たとえそれが、最初に決めたのと違った行動になったとしても、です。

「うちの子は、母親が話しかけてくるだけでうざいと全く無視で、会話なんてとてもできる状態じゃないんだけど!」というお母さん。

そんなときは、「選択指示」というテクニックをぜひ使ってみてください。

二つの選択肢のうち、どちらを選んでも行動する指示にして、どちらがいいか子どもに決めてもらうのです。

例えば、

「今週は数学と英語の課題があるのね。どっちから始めようか?」
「半袖と長袖を両方用意してあるから、好きな方を着ていいよ」

のように声をかけると、そのどちらを選んでも、結果として子どもは行動することになります。

子どもは母親に強要されるわけではなく、自分で選んで決められるので、納得して行動できることが増えるのです。

母親嫌いだと煙たがっていた思春期の子どもとの関係に、少しずつ変化が表れてきますよ。

執筆者:桜井ともこ
(発達科学コミュニケーションマスタートレーナー)

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