失敗を恐れる子どもだった小学生時代
私の息子は発達障害グレーゾーンの中学生です。
不安が強く、失敗を恐れる子どもで、集団生活があまり好きではありません。
小学生時代は登校しぶりをしていましたが、中学校では交友関係も広がったことから部活動にも参加できるようになりました。
バドミントン部の練習はときに厳しいこともある中で、息子が楽しく活動している様子を親として嬉しく思っていました。
今日はこんな練習をしたよ。
走り込みはしんどくて嫌いだけど、体力はついてきてるみたい。
友達とペアになって、試合形式でやるのが一番おもしろい!
失敗を恐れる子どもとそんな会話ができることが幸せで、成長をしみじみと感じていたのです。
簡単には外れない、失敗を恐れる子どもの心のブレーキ
夏休みに入ったばかりのある日、顧問の先生から大会の案内がありました。
息子にどうするか聞いてみると「うん、出るよ」との返事。
失敗を恐れる子なので、いざとなると尻込みするかもしれないとの心配がよぎりましたが、その言葉を聞いてホッとしたのです。
よし、頑張れ!申し込みしとくね、と試合用のユニフォームとゼッケンを注文。
私も息子の初試合を応援に行くことを想像して舞い上がり、ワクワクしていました。
ところが、大会が近づいたある日、「やっぱり出るのやめとく」 という言葉を聞いたときは受け入れることができませんでした。
と同時に思ったのは 、そうだった…、この子は普段と違うことをするときに不安で動けなくなるんだった。
休日のお出かけでさえも、家から30分以上かかる場所には行きたくないと言っていたんだった…ということでした。
もし会場が中学校の体育館なら、出られると言います。
開催されるのは、家から車で30分ほどの、県南の中学校から大勢の生徒たちが集まってくる大きな会場。
そして、息子がなにより不安を感じる、本番の勝負ごと。
負けるのは恥ずかしい。負けたらどうしよう。
失敗を恐れる子どもがそう簡単に変わるはずはなく、負けることへの恐れがあるようでした。
勝ち負けじゃなく、出場することがすごいんだと正論を伝えても息子には響かない。
本当はもっと話し合いたかったけれど、私の気持ちを一方的に押しつけることになるのが目に見えていました。
だから、お母さんは、あなたがいつか出場するところが見てみたいなと伝えるのが精いっぱいでした。
子どもに押しつけてしまいがちな親の願望
息子が出場を見送ってしばらくしたころ、二学期になると、別の大会の案内がありました。
もしかしたら、今度は出るって言うかも…凝りもせず、またもや抱いてしまう淡い期待。
あれから夏の厳しい練習を頑張って、自信もついているかもしれない。
私の悪い癖だなと思いながらも本人に確認すると、「いや、出ない」
やっぱりダメか。勝手に少し期待していたとはいえ、落胆してしまいました。
そんな私に夫が言ったのです。
「大会に出ることが全てじゃないよ。 中学生になって、部活を頑張る姿を見て喜んでいた初心に戻ってみたら。」
確かにそのとおりでした。
ここまで練習を頑張ったのだから、次は大会に出てほしいと思うのは、私の願望。
この子には、この子のペースがある。
失敗を恐れる子に限った話ではなく、わが子であろうと、親の願望と子どもの意思を分けて考える必要があるところです。
どんな決断をしたとしても、この子が決めたことなら受け入れよう。 そう思ったのです。
失敗を恐れる子どもに必要なエネルギーの「もと」
大会に出ないなら出ないでいい。
ただ、頑張っていることをしっかり認める声かけはどんどんしよう。
頑張っていることを当たり前だと思わないようにしよう。
帰ってきたら明るい声で迎えること。
バドミントンのことをいろいろ質問して、話してもらうこと。
厳しい練習に対して文句が出ても、そうかそうかと聞いてあげること。
そして、ときどき一緒に家の前でバドミントンを楽しむようにしました。
一緒にバドミントンをすることで、多くの発見があったのです。
遠くまでシャトルを飛ばせるようになっている!
ラリーが前より続くようにもなっている!
一緒にバドしようという私の誘いを、嫌がらなくなっている!
息子の変化をしっかりと感じ取ることができました。
体育の授業中に突き指をし、骨折したときでさえ休むことなく部活に参加した息子は、今までで一番頑張っていたのです。
どんな変化にも気づいて言葉や態度で伝えたことがエネルギーとなり、失敗を恐れる子の中に挑戦する意欲を育てていました。
そして、二学期の終わりに開催されるダブルス大会に、息子は迷うことなく出場を決めました。
挑戦する気持ちになったんだね!と喜びつつも、やっぱりやめるかもしれないと、覚悟だけはしておきました。
ところが息子は、着々と大会に向けて準備を進め、当日を迎えることができたのです!
親ができるのは、頑張りを「見逃さない」「認める」のみ!
本番のコートに立つ息子を観客席から応援していると、胸がじーんと震えました。
不安が強くて失敗を恐れる子が、大会に出られた。
こういう葛藤を何度も何度も経験しながら、人は成長するんだなと実感しました。
無事に出場を終えた帰りの車の中では、「2月にはシングルスの大会あるんだけど、出るつもり」
「うん、そうか。いいね!」
そんなやり取りをしながらご褒美に買って帰ったケーキを囲むと、特別な記念日のように感じました。
この先、やると決めたことを、やっぱりやめた、やらないと覆すこともあるでしょう。
だけど、この子の成長していく段階の中で、今回はそう決断したんだと受け止めよう。
私がやることは、息子のどんな小さな頑張りも見逃さず、いいねと認めてあげることだけ。
それができるようになったら、本当の意味で子どもを見守ることのできる親に少し近づけるのかもしれません。
執筆者:にしがみあやか
(New Mammyアンバサダー★★)
ママと子どもの成長記録の中から、子育てを楽しくするヒントが見つかります!
▼無料メール講座の登録はこちらから