発達グレーゾーンの就学準備をどう進めたらいいか悩んでいませんか?ぜひ子どもの目線に立ってこれからの入学準備を乗り越えて欲しいと思います。就学相談を受けるかどうか?普通級か支援級か?と悩んでいるママに先輩ママの就学相談の体験談をお届けします。 |
【目次】
1.就学相談を受けたきっかけとは
2.就学相談を受けてよかった点、今ひとつだった点は?
3.就学相談のその後―「判定会議」の結果は普通級!
4.先輩ママが語る!就学相談を受けた方がいいケースとは
5.入学後のミスマッチを防ぐ!就学相談を受ける際のポイント
1.就学相談を受けたきっかけとは
早いものでもう9月半ば。年長さんはあと半年足らずでピカピカの1年生ですよね!
何かと心配事が多い発達障害・グレーゾーンの就学準備。お母さんたちの中には、就学相談(就学前相談とも言われます)を受けて客観的に我が子に最適な学びの場を探そうとされている方がいらっしゃるかもしれません。
就学相談が本格的にスタートするのは9月頃だと言われていますが、とにかく不安な方が多いのではないでしょうか?
どんなことを聞かれるの?
どんな準備をしていけばいいの?
うちの子、普通級がいいの?支援級がいいの?
と不安たまらない方へ、この記事では就学相談を実際に体験した先輩ママの体験談をインタビュー形式でご紹介します。
就学相談を受けたきっかけや、就学相談を経て得たもの・得られなかったもの、普通級か支援級か?の選択についてもうかがいました。
インタビューに協力してくださったのは、発達科学コミュニケーショントレーナー・森博子さんです。
森さんのお子さんは、現在小学3年生。発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)タイプの男の子です。
現在普通級(通常学級・通常級)に在籍しているということですが、もともと支援級を検討されて就学相談を受けられたとのこと。
今回、森さんに当時を振り返っていただき、就学相談や入学後の困りごとや対応方法についてお聞きしました。
――小学校入学前に就学相談は受けましたか?
「市の教育委員会が実施している就学相談を受けました。
息子は年長のときから児童発達支援の療育に通っていました。園の先生・療育の先生とも相談し、支援級も検討していたので、その相談として受けました。
支援級を検討していたものの、どういう形での支援が息子のためになるのか分からなくて…それもあって就学相談を受けることにしました。」
◆ポイント解説
療育に通っているなど、すでに発達支援を受けているお子さんは就学相談を受けるケースが多そうですね。
発達障害・グレーゾーンの子どもの学びの場は普通級、支援級、通級利用、とさまざまな選択肢があります。
何が子どもにピッタリなのか、どの程度の支援が必要なのか判断しかねる場合は、就学相談を利用してみるのがオススメです。
2.就学相談を受けてよかった点、今ひとつだった点は?
――実際に就学相談を受けてみて、よかったと思うのはどんな点でしたか?
「私自身が普通級・支援級・通級などの選択をよく分かっていなくて、それぞれのモデルケースを知ることができたのはよかったです。
また、必要に迫られてではあったのですが、あたらめて息子の特性と向き合って、「人に伝える」という目線でまとめることができたのはよかったと思います。」
◆ポイント解説
支援の仕組みを詳しく知るには、就学相談は最適な機会ですね。行政が行っている就学相談はもっとも正確な情報を得られる場所です。
支援体制は地域によって異なる場合もあります。どんな支援が得られるのかは必ず正確に確認しておきたいですよね。
また、就学相談を通して、「人に伝えられるように子どもの特性をまとめる」という作業をされた森さん。大変な作業ですが、就学相談の段階でやっておくと、小学校に入学した後の先生とのやりとりもスムーズにできそうですね。
――反対に、期待外れだったという点はありますか?
「結局のところ、就学相談を受けただけでは、息子をどういう支援の場に入れた方がいいのかを選ぶ決め手にはあまりなりませんでした。
就学相談の場では支援の場についていろいろ聞くことはできたのですが、就学相談だけではどうしたらいいかわからなかった、という意味です。
就学相談は、どの学級が適当かという判定会議がセットになっているんです。就学相談から判定会議までが2か月ほどあり、就学相談の最後に、『支援級を希望されるなら連絡ください』と言われて終わりました。
ですが、支援について説明を受けただけでは、息子が普通級に行ってもいいのかどうか分かりませんでした。」
◆ポイント解説
就学相談は、支援についての情報は得られます。しかしその情報は、子どもの発達特性を踏まえて、どんな支援を必要としているのか知っていてこそ役に立ちます。
「うちの子は○○だからこんな風に支援してほしい」という具体的なイメージを持っていないと、「それがかなえられる学びの場所はここだ!」という確信が持てないままになってしまいます。
3.就学相談のその後―「判定会議」の結果は普通級!
――判定会議の結果ですが、森さんご自身が希望した結果になりましたか?
「最初は『支援級』を希望していましたが、判定会議では『普通級が適当』という判定がおりました。最終的に普通級に進学しました。
私のなかでは『支援級がいいかな?』と思っていたのですが、判定を聞いて『うちの子、普通級で行けるんだ!』とほっとしたのも事実です。
今思うと、普通級を選ぶのに、誰かに背中を押してもらいたかったのかもしれません。
でも、もし判定会議で「支援級が適当」と出ていれば、納得して支援級に進んだのではないかなと思います。」
◆ポイント解説
普通級に行ける!とほっとされたという森さん。発達障害・グレーゾーンのお子さんを持つお母さんとしては当たり前の感情かもしれません。
でも、一番大切なのは子どもが無理なくのびのびと学べ、生活できる環境です。そのための支援が得られるのはどこなのか、「子どもファースト」で考えることが大切ですね。
4.先輩ママが語る!就学相談を受けた方がいいケースとは
――来年度年長さんになるお子さんの場合、就学相談を受けるか迷っている方もいらっしゃると思います。実際に受けられて、どういったケースは受けた方がいいと思いましたか?
「まずは、支援級や通級を少しでも検討している方は受けた方がいいと思います。また、そういった支援の仕組みがよく分からない方も受けた方がいいと思います。
うちもそうなのですが、第1子の場合、小学校ってどんなところなのか分からないんですよね。小学校がどのレベルを求めているのか、分からなくて…ですから、どれぐらいの特性なら通常級でいけるのかということも分かりませんでした。
正直にお伝えすると、当時の私は『うちの子みたいな感じで普通級にいってもいいのかな?』と、どこか他人からの評価を気にしていたところがありました。
だれかに迷惑をかけたらどうしよう、『だったら絶対に支援級じゃないとだめだ!』と。
何よりも小学校を楽しくスタートしたいと思っていたから、はじめは支援級からでと考えていました。いまひとつ子どもをしっかり信じ切れてなかったのかもしれません。
就学相談や判定会議は、総合的に子どもを見て判断してもらえる場だと思いますので、第1子の方は受けてみてもいいのかと思いました。」
――ありがとうございました!
5.入学後のミスマッチを防ぐ!就学相談を受ける際のポイント
森さんからお話を伺って、就学相談を受けるポイントが見えてきました。
①何らかの支援を受けたいなら、就学相談を受ける
②就学相談を受けて、地域の支援について正確に情報を得る
③子どもの特性と、必要な支援について具体的にイメージして、担当者に伝える
という3つのポイントです。
就学相談は、子どもの学びの場を決める判定会議につながります。ですから特に「③子どもの特性と、必要な支援について具体的にイメージして、担当者に伝える」はとても重要なポイントです。
・発達障害やグレーゾーンの子どもの困りごとをどう支援したいのか
・その支援が得られる場所はどこなのか
という2つの観点で考えていくことが必要です。
そう!まず目を向けるのは学校ではなく子ども自身なのです。「子どもファースト」が何よりも大切なのです。
この2つの観点で考えれば、子どもが入学した後にミスマッチを起こしたり、お母さん自身が「なんか違う…」と悩んだりすることもないはずです。
何よりも大切なのは子どもが無理なく学べる場所・生活できる場所を探すこと!これを忘れずに入学までの準備を進めていきましょう。
次回は、入学後の生活についてお送りします。
支援級を検討しながらも通常級に進学した森さんの息子さん。どんな問題があってどう解決したのでしょうか?ぜひお読みくださいね。
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執筆者:丸山香緒里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)