発達障害・ADHDの子どもがペットのお世話ができないことってありませんか?餌やりや掃除などを忘れてしまい、結局親の仕事になる…命の大切さも教えたいし、ちゃんとお世話してほしいですよね。今回はお世話できない理由と対応策ついてお伝えします。
【目次】
1.ペットのお世話ができない…発達障害・ADHDキッズに悩んでいませんか?
2.なぜ発達障害・ADHDの子どもはペットのお世話ができないの?
3.ペットのお世話ができない問題に効果抜群!3つの対策とは
①面白さを伝える
②お母さんが協力して工夫する
③行動できる声掛け
1.ペットのお世話ができない…発達障害・ADHDキッズに悩んでいませんか?
ペットを飼うことは毎日の生活が楽しくなったり、心の癒しの効果があったり、子どもの成長や教育にもよい効果があると言われています。
子どものころからペットと過ごすことで命の大切さを学べ、相手への思いやりや優しさなど豊かな感情を育むこともできます。
ペットを飼っているお子さんは毎日、忘れずにお世話ができていますか?
・餌をあげ忘れている
・掃除を忘れる(住んでいる場所の環境を整えられない)
・興味が薄くなってきた
こんなふうに悩んでいるお母さんもいるかもしれません。
我が家には発達障害・注意欠如多動症(ADHD)の息子がいます。
夏祭りで金魚を獲ってきてから、自宅で金魚を飼い始めました。
飼い始めた頃は、餌をやったり、水替えをしたり、自分から積極的に金魚のお世話をしていました。
毎日、よく観察もしていました。
ところが、1ヶ月くらい経過すると餌をやるのを忘れたり、水が濁ってきてもなかなか水替えができなくなってきました。
命の大切さも学んでほしいので、「餌やり忘れているよ」「水替えしないとしんどそうだよ」と注意することがありました。
ところが、気が向けばやることもあるけれど、友達と遊ぶことを優先する、めんどくさいのでやらない…
いつの間にか心配になった他の家族が世話を始めました。
世話ができない息子に「自分が飼い始めたのに、どうしてちゃんとお世話しないの…」と困っていました。
2.なぜ発達障害・ADHDの子どもはペットのお世話ができないの?
発達障害・ADHDの子どもはなぜペットの世話ができなかったり、興味が薄くなってしまうのでしょうか。
発達障害・ADHDの脳の特性が大きく関係しています。
◆ワーキングが少ない
発達障害・ADHDの子どもはワーキングメモリ(作業をする記憶の要領)が少ない傾向があります。
そのため、ペットの世話をすること自体を忘れてしまいます。
やらないといけないことより目の前のことに注意が向く、気が散ってしまうなどの行動が現れます。
◆時間管理が苦手
発達障害・ADHDの子どもの脳は発達がゆっくりで時間の見通しをつけることが苦手です。
そのため、後でやろうと思っていても、学校に行く時間になったり、夕食の時間になったりと、計画通りに進まないことがあります。
こちらの記事も参考にしてください。
◆エンジンがかりにくい
子どもの脳はまだ未熟なために、やるべきことに行動を移すには大人よりもたくさんのエネルギーが必要になってきます。
「ペットのお世話がめんどうだな」と感じていたら、行動に移すまでに時間がかかってしまいます。
やろうとは思っているんだけど、なかなかエンジンがかからない…という状態です。
大人でもよくあると思いますが、子どもはやり始めるまでにはたくさんの時間がかかってしまいます。
これらの理由で、何日もお世話をしていないことが続いてしまうのです。
3.ペットのお世話ができない問題に効果抜群!3つの対策とは
ペットの世話ができない子どもの行動を引き出すには、子どもの脳の特性に合わせて、取り組みやすく工夫してあげることが大事です!
ここでは我が家の例を参考に、効果のあったサポート法を3つご紹介します。
◆①面白さを伝える
発達障害・ADHDの子どもは面白そうなことには注意が向きやすい傾向があります。
その特性を活かしてペットのお世話の面白さをお母さんが伝えます。
息子の場合は、「金魚って餌をみせると、寄ってくるんだよ」と伝えました。
すると、興味関心の強い息子は「えー何それ?」と言って、水槽のところまで行き、餌を見せて寄ってきた金魚に喜んで餌やりを始めました。
子どものやる気がでるような楽しいことを伝えてみましょう。
◆②お母さんが協力して工夫する
ペットのお世話ができないと、命に関わってきます。
そのため、始めはペットのお世話をお母さんと一緒にすることで負担を減らせることができます。
例えば、
・朝夕の餌は子どもがあげる
↓
・お昼はお母さんがあげる
分担をして一緒にお世話をするのもいい方法です。子どもが忘れても安心です。
さらに、お世話を忘れさせない工夫として、ペットを飼う時に必要なものを目につく場所に置いておくということもおススメです。
例えば、朝起きてリビングに来るまで、帰宅してランドセルを置くまでの動線上に、ペットの餌を置いておくと忘れ防止になります。息子には効果的でした!
子ども一人で飼い始める予定の方も、何かあった場合は家族が引き継ぐといった約束をしておくことで安全度が高まります。
◆③行動できる声掛け
ペットのお世話をしていないと「お世話をしなさいよ!」と言ってしまうと思いますが、その声掛けはNGです。
お母さんに注意され続けることで、ペットのお世話に対してネガディブな記憶が残ってしまいます。
できていないことを注意されるとどんどん自分から行動できなくなってしまいます。
普段から子どもが自分から行動できるような声掛けにチェンジします。
例えば、私は息子が学校から帰宅したら
「元気に帰ってきたね」
「手を洗ったんだね」
「ランドセル片付けたね」
このように子どもがやっていることを、そのまま口に出して伝えます。
このことで子どもは褒められていると思い「ぼくってできるんだ」と感じることができます。
次に、たまたま今日はペットの餌やりを自分からやり始めた!という時は、褒めポイントです! 「餌をあげるんだね」「餌をやってくれてありがとう」「喜んで食べているね」とすぐに褒めます。
脳がそれを覚えていくと自動化していくので、だんだんとお世話が得意になっていきます。
今ではいちいち考えなくても、朝起きれば餌をやる、帰宅すれば餌をやる、という感じで脳が勝手に餌をやるという行動が定着してきました。
いかがでしたか?
ペットのお世話ができない子どもへの対応にはやりたくなる仕掛けが必要です。
環境や声掛けを工夫するだけで、お母さんが注意しなくても自分から行動できるようになりますよ!
子どもが積極的にお世話ができるように、お母さんも一緒に楽しんでくださいね。
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執筆者:石井花保里
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)