【お悩み相談室】約束を守れない発達障害の息子。わがままな子への対応に困っています

発達障害、自閉症スペクトラム(ASD)の4歳の息子へのコミュニケーションの取り方について相談です。マイペースで約束も守れないこと多いです。わがままな子どもにどう対応したら良いのか悩んでいます。

 

3歳・男の子のママ

我が家の息子は現在6歳です。3~4歳の頃は大変で、お約束を守らせようとするものの、うまくは行きませんでした。けれど、今はすぐには動けないこともあるものの、約束を守ろうと葛藤の末に自分で行動するまでに成長した姿を見てきた私が解説します!

 

発達科学コミュニケーションリサーチャー 瀬名香織

 

【目次】

 

1.発達障害の子の「約束を守れない」には早めの対応がおすすめ

 
 
発達障害の息子さんが約束を守れないこと、わがままへの対応に頭を悩ませていらっしゃるとのことですね。
 
 
まず約束を守れないということについてですが、約束どおり行動できるようになることと、自分の気持ちをコントロールすることは直結しています。
 
 
気持ちのコントロールができるようになると、約束も守れるようになってきて、お母さんのイライラも減り、親子共に楽になりますよね!
 
 
 
 
また、就学までにある程度対応しておければ、小学校入学後に「時間割通りに動く」ことや集団生活にも早く馴染めるようになるので早めに対応しておきたいですね。
 
 
今回は私の息子の事例もご紹介しながら具体的な対応、コミュニケーション法をお伝えしていきます。
 
 
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2.約束を守れない=わがままな子、とは限らない

 
 
約束が守れないからわがままな子、と決めてしまうのは少し可哀そうかな、という気が私はします。
 
 
単なるわがままな性格と自閉症スペクトラム(ASD)傾向のある子の特性というのも別に切り分けて考える必要があるかな、と考えているからです。
 
 
そのことを説明するために「自己中心性」ということについて触れておきますね。
 
 
1歳半ば~3歳くらいの間に1回目の反抗期を迎えます。いわゆる「イヤイヤ期」で「自己中心性」が育ってくる時期です
 
 
これは単なるわがままではなく、常に自分が世界の中心にして、自分を客観視することや、他者に自分とは違う考え方・気持ちがあるということを理解できない、ということ。
 
 
 
 
「自分が楽しければ、相手も楽しい」「自分が悲しければ、相手も悲しい」という捉え方が、幼児期の特性である「自己中心性」です。
 
 
自分と他者との違いが明確に分からないため、「他者の気持ちを考える」ということがむずかしい時期。発達が未成熟なのです。
 
 
例えば、鬼ごっこで鬼をやりたくないなどです。この時期の自己中心性が成長してからも残っていると、「わがまま」「空気が読めない」などと言われることにつながってきます。
 
 
発達障害、ASD傾向の子はこの「自己中心性」が残っていることが多く、約束を守るべき状況を理解できていない、また、約束を守るために我慢をするという気持ちのコントロールも難しいのです。
 
 
「自己中心性」が残っていることで元々もっている不安感が強くなってしまったり、予測することが難しい…その結果、全力で今を生きているのが息子さんの状況。
 
 
息子さんは約束の記憶があるので、目の前の誘惑と戦って我慢しようとしますが、そのとっても魅力的な誘惑に負けてしまうのです。
 
 
約束が守れないないからわがままな子、と捉えるのではなく、約束を守ろうとがんばっている、という側面にも目を向けて支援してあげて欲しいと思います。
 
 
これから自分の気持ちを抑えることを学んで行く時期です。お母さんがお手本となり約束を守ることの大切さを根気よく伝えていってあげてください。
 
 
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3.マイペースさを特徴とする子が約束が守れるようになる為に必要な大事なこと

 
 
そして、約束を守れるようになるために必要なことがもう1つ。それは、「時間の流れ」の理解を深めることです。
 
 
例えば「あと10分TV見たらご飯食べようね」の「あと10分」が分からない。その場では「はーい」と返事をして約束しますし、多少なりともその通りにしようと本人も思っています。
 
 
けれど10分と言っても目の前の楽しいアニメはまだ続いていますし、約束した時点で10分の長さをイメージできていなければ、心の準備もできません
 
 
ですので、時間の流れの理解と約束を守れる(我慢ができる)量は平行していると考えて対応をしていきましょう。
 
 
時間の流れを体得していく上で大事なことは、まずは時間の迷子にならないように毎日のリズムを整えるのが大事です。毎日変化が多いとその理解は難しくなりますので、毎日が同じ流れ、が理想的です。
 
 
リズムの整った生活は、まずは1日の生活。朝起きてから寝るまでのリズムを整える。それが身についてきたら、その次に1週間の理解につなげていきます。
 
 
一週間の流れについては、月曜日に見るTV番組はコレ、〇〇の習い事があるのは水曜日、などで体得していきます。
 
 
カレンダーや予定表などを使って、まずは1日の流れを、そして次は1週間分を、と少しづつ時間の流れを体得していけるようにしてみてくださいね。
 
 
そのときに、時計を見ながら行動する習慣を身に付けるとより脳の発達にも良いです。まだ時計を読むのが難しい場合には、短い時間はタイマーや砂時計などを使っていくと良いでしょう。
 
 
昨日、今日、明日が分かる、それがつながって時間の流れが分かるようになってくると我慢ができるようになり、約束を守れるようになってきます
 
 
そして大事なことがもう1つ。我慢して約束を守ることができたときにはご褒美をしっかりとあげてください
 
 
約束を守ると良いことが、我慢した甲斐があったな!と思えるようなことが無いと、大人でも頑張れませんよね。
 
 
ご褒美と言っても特別なものを用意する必要はありません。お母さんからの誉め言葉やハグ飴1つ、でも良いのです。
 
 
子どもの脳にとって、お母さんとの触れ合いやコミュニケーションに勝るものはありません
 
 
何かを我慢して約束を守る、ということは明日から急にできるようになることではありませんが、お母さんも「またか!」と思わずに、都度リセットしながら接するようにしてみてください。
 
 
それが息子さんにとっても、お母さんにとっても気持ちが楽になるポイントです。
 
 
 
 
我が家の息子もまだまだ我慢することが苦手で、約束よりも目の前のやりたいことを最優先しがちです。
 
 
ご飯だよ、と声をかけてもTVを見たい息子。でもいつ終えるのか確認すると、「(時計を見ながら)長い針が6になったらTV消してご飯食べるね」と自分で約束の時間を決められるようになりました。
 
 
毎回守るのはなかなか難しいですし、多少過ぎることもありますが、時間が近づくと時計をチラチラ見て意識するようにもなっています。
 
 
最終的には、ちゃんと自分でTVを消して席についてくれます。成長しました!笑
 
 
時間を意識しながら日々を送る。 約束を覚えていて努力している様子を褒める、また同じ状況で約束ごとを守れたらまた褒める、を繰り返す…
 
 
気持ちのコントロールが上手になってくると、約束を守れるようになるし、状況や相手の気持ちに沿った行動ができるようになった、と実感しています。
 
 
これからも子どもの変化や成長を楽しみに、一緒にがんばりましょうね!
 
 
子どもがお約束を守れるようになるコミュニケーション法を多数お届けしています

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執筆者:瀬名香織
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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