「ゲーム依存はダメ、勉強依存ならいい?」子どもの“楽しい”から発達を促すという視点

子どもの発達が気になると、

「この力をつけなければ」

「このトレーニングをした方がいい」

「今のうちに苦手を何とかしなければ」

と、お母さんは心配になります。

 

 

私もそうでした。

けれど、子どもが成長した今、

振り返ってみると気づくことがあります。

 

 

我が子が大きく力を伸ばした時には、

いつもその前に、

「楽しい」
「もっとやりたい」
「もっと上手くなりたい」

という本人の気持ちがありました。

 

 

発達のために何をやらせるか。

どんな環境で育てたいか。

それを考えることも必要です。

 

 

けれどその前に、

「この子は、何なら自分からやるんだろう?」

と、目の前の子どもをよく観察すること。

そこにも、発達を促す大きなチャンスがあります。

 

 

「できない」を何とかしようとしていた私

 

幼稚園の頃の我が子は、

とにかくじっとしていられない子でした。

 

 

体育座りができず、

みんなが座っている中で、

いつの間にか床に寝転がっている。

 

 

仏教系の幼稚園だったので、

正座をしてお経本を読む時間も

ありましたが、いつもフラフラ。

 

 

先生のお話もなかなか聞けず、

先生の真横に座っていることも

しょっちゅうでした。

 

 

練習や活動から

脱走するようなこともありました。

 

 

家でも寝転んで遊ぶことが多く、

姿勢は崩れやすく、

体もふにゃふにゃして見えました。

 

 

小学校に上がる前には、

感覚統合のトレーニングを

紹介されたこともあります。

 

 

あまりにもじっとしていないことや、

いつも体をかきむしるような様子を見て、

発達相談で心理士さんから勧められました。

 

 

感覚統合とは、

目や耳、触覚、体の位置や動きなど、

さまざまな感覚を脳で整理し、

体の動きや行動につなげていく働きのことです。

 

 

当時の私は、

「感覚統合って何?」

「その教室は、遠いし、そこまでして通うの?」

 

 

と、いまひとつピンとこなくて、

しかもこの子をどこかに連れていくこと自体に

いつも疲れを感じていた私は、

結局、通いませんでした。

 

 

今、発達について学んだからこそ、

なぜ息子にそのような支援を

勧めてくださったのかは分かります。

 

 

けれど今だから、

もう一つ分かることがあります。

 

 

子どもの力が育つ道は、

一つではなかったということです。

 

 

長く我が子を見てきた今だからこそ

思うのです。

 

 

大人が「必要だから」とやらせた時と、

本人が「もっとやりたい」と動き始めた時では、

子どもの伸び方が大きく違いました。

 

 

正座もできなかった子が、ゴール下でどっしり構えるようになった

 

息子は小学3年生になると、

ミニバスケットボールを始めました。

 

 

とはいえ、

最初から一生懸命練習したわけではありません。

 

 

興味のある練習しかしない。

コーチの話も聞けない。

しょっちゅう練習から脱走する。

 

 

そんな子でした。

 

 

ところが、

『SLAM DUNK』など、

いろいろなバスケ漫画を読むようになり、

 

 

少しずつバスケットボールの戦術に

興味を持つようになりました。

 

 

すると、

「もっと上手くなりたい」

「もっとシュートを入れたい」

「あのプレーをやってみたい」

という気持ちが出てきました。

 

 

そこからは、

「どうしたらもっと入る?」

「どうしたらあのプレーができる?」

と、自分なりに考えながら

何度も練習するようになりました。

 

 

フリースローは、

30本連続で外さず入れられるほどになりました。

 

 

そして、幼稚園では

正座をしているだけでもフラフラしていた子が、

 

 

ゴール下では、

体の大きな子にぶつかられても

構えてプレーできるようになっていました。

 

 

もちろん、

これは「バスケをすれば体幹が育つ」

という話ではありません。

 

 

私が伝えたいのは、

「もっと上手くなりたい」

という気持ちが生まれると、

 

 

子どもは自分から何度も体を使い、

考え、試し、失敗し、

またやってみようとするということです。

 

 

子どもが楽しんでいることの中にも、

発達を促すチャンス

たくさんあります。

 

「栄養があるから食べなさい」より、自分で育てた野菜を食べてみたい

 

偏食もそうでした。

 

 

我が子は好き嫌いが激しく、

食べられるものが少ない子でした。

 

 

そんな時、親はつい、

「栄養があるから食べなさい」
「一口だけでいいから食べてみよう」

と言います。

 

 

言っていることは間違っていません。

むしろ正しい

 

 

けれど今振り返ると、私はいつも、

私が思う「正しい方」に子どもを誘導

しようとしていました。

 

 

そんな息子が野菜を食べられるようになった

きっかけは、説得ではありませんでした。

 

 

家庭菜園でした。

自分で水をやる。

少しずつ大きくなる野菜を見る。

自分の手で収穫する。

 

 

すると、

「自分で育てた野菜だから食べてみたい」

が生まれました。

 

 

「栄養があるから食べる」のではなく、

自分が体験したから、やってみたくなった。

 

 

ここでも同じでした。

 

 

大人が正しい答えへ

動かそうとした時より、

 

 

本人の中に「やってみたい」が生まれた時に、

子どもは動いたのです。

 

 

子どもの苦手を見つけると、

「どうやって克服させよう?」

と考えたくなります。

 

 

けれど、

「この子が自分から

一歩踏み出したくなる体験は何だろう?」

と考えると、見えるものが変わります

 

 

ゲーム依存はダメ。でも勉強ばかりなら止めないのはなぜ?

 

ゲームについても同じです。

 

 

「ゲームばかりしていて、

このまま依存になったらどうしよう」

そう心配するお母さんはとても多いです。

 

 

けれど私は時々、

こんなふうに問いかけます。

 

 

勉強ばかりしていたら、

「そんなに勉強しないで」

止める親はほとんどいないでしょう。

 

 

けれどゲームばかりしていたら、

「そんなにゲームして大丈夫?」

「依存になるんじゃない?」

と心配になる。

 

 

同じように

一つのことに夢中になっていても、

なぜゲームだけは怖く見えるのでしょうか。

 

 

もちろん、

ゲームを長時間していることだけで、

依存かどうかが決まるわけではありません。

 

 

大切なのは、ゲームによって

睡眠や食事、学校生活、人との関わりなど、

生活全体がどうなっているかを見ることです。

 

 

ゲームをしている=悪

ではありません。

 

 

大事なのは、

その子の世界が、

その活動によって狭くなっているのか。

それとも広がっているのか。

そこを見ることです。

 

 

我が子も最初は、

自分の世界の中だけで楽しんでいました。

 

 

けれど私は、

ただ制限するのではなく、

子どもの好きなものを、

楽しいコミュニケーションに変えていきました。

 

 

カードゲームを通して人との交流が増えました。

スケートボードを通して、

行動範囲が広がりました。

 

 

知らない人と出会う。

負ける。

失敗する。

うまくいかなくて悔しがる。

 

 

それでも、

「もっと強くなりたい」
「もう一回やりたい」

と挑戦する。

 

 

好きなものが、人とつながるきっかけになり、

外の世界へ出ていくきっかけになり、

失敗や困難を乗り越える

経験にもなっていきました。

 

 

お母さんの知らない世界は、

怖いかもしれません。

 

 

ゲームも、YouTubeも、

カードゲームも、スケートボードも、

 

 

親が経験していなければ、

「そんなことしていて大丈夫?」

と思います。

 

 

けれど、

子どもが夢中になった世界が、

その子自身の世界を広げてくれる

ことがあります。

 

 

そして時には、

子どもがお母さんの世界まで

広げてくれることもあるのです。

 

 

教えるより「知らないから教えて」で、子どもの言葉は増えていく

 

我が子が夢中になったものの一つが、

カードゲームでした。

 

 

私はカードゲームに詳しくありません。

好きでもありません。

 

 

息子からは、

「何回言っても分からない」
「ママに言っても無駄」

何度も言われました。

 

 

それでも私は、

「分からないから教えて」
「何も知らない素人の私にも分かるように説明して」

と言いました。

 

 

今思えば、

私は知らない方がよかったんです。

 

 

知らないから、アドバイスできない。

正解を教えられない。

 

 

だから、

「それってどういうこと?」
「そのカードは何が強いの?」
「なんでそっちを選ぶの?」

と聞くしかありませんでした。

 

 

好きなことだからこそ、

子どもは考えて、
自分の知っていることを、
一生懸命言葉にします。

 

 

親子で楽しく話す。

子どもの好きなことを教えてもらう。

 

 

それだけでも、

考える。
言葉を探す。
順番を組み立てる。
人に伝える。

そんな経験をたくさん積むことができます。

 

 

そして、子どもがまず欲しいのは、

いつも大人からのアドバイスとは限りません。

 

 

「自分はこう思っている」

ということを、分かろうとしてもらうこと。

 

 

話しているうちに、

「あ、自分はこれが嫌だったんだ」
「本当はこうしたかったんだ」
「じゃあ次はこうしてみようかな」

と、

 

自分でも気づいていなかったことが

言葉になっていくこともあります。

 

 

昔から、何を聞いても、

わからん、知らん、忘れた、今いい、

ほとんど、会話にならなかった子です。

 

 

だから私は今、

子どもに何を教えるかより、

子どもが何を話したくなるか

を大事にしています。

 

 

「小学生の子どもがYouTubeで

マイクラのゲーム実況を始めました」

という相談がありました。

 

 

お母さんは、

「小学生なのに、こんなことをしていていいの?」

と不安になっていました。

 

 

けれどその子は、

30分間、マイクラを操作しながら、
一生懸命説明していたそうです。

 

 

私はそこに注目しました。

 

 

ただ「30分ゲームをしていた」と見るのか。

 

 

「好きなことなら、30分も自分から見て、

操作して、考えて、言葉にして、人に伝えられた」
と見るのか。

 

 

親の見方が変わると、
同じ子どもの中に、

今まで見えていなかった力が見えてきます。

 

 

私が専門にしている、
暴言・暴力・無気力が強く出ている時は、
子どもが安心して考えたり、

新しいことに挑戦したりしにくい状態です。

 

 

だから私は、
暴言をやめさせる。
ゲームをやめさせる。
学校へ行かせる。

そこだけをゴールにはしていません。

 

 

親子関係を立て直したその先で、

「この子の何を伸ばそう?」と、

お母さんがもう一度

考えられるようになること。

そこまでを目指しています。

 

 

そして、その発達のきっかけは、
お母さんが

「これが正しい」と思っているものとは、
真逆のところに隠れていることもあります。

 

 

ゲームかもしれない。
YouTubeかもしれない。

 

 

だからこそ、

「これは良い、これは悪い」

と決める前に、

 

 

目の前の子どもをよく観察してみてください。

 

 

この子は今、
何をしている時に
一番「もっとやりたい」と思っているだろう。

 

 

その中に、
これから伸びていく力の入口
隠れているかもしれません。

 

 

子どもの「楽しい」から、

できている力を伸ばしていきたい。

 

 

そう思っても、

暴言や暴力がある。

何を言っても反発される。

ゲームやYouTubeのことで毎日バトルになる。

 

 

そんな状態では、

「何を伸ばそう?」と考える前に、

まず整えたいことがあります。

 

 

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私がこれまで見てきた中で
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子どもを動かそうとする前に、
まず“話が届く親子”に戻ること。

 

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