癇癪がひどい自閉症年長さんで言葉の遅れがあると、小学校に入学してから大丈夫かなと心配になりますよね。年長の今、言葉を伸ばす対応に注目する前に癇癪を落ち着かせる対応を取ることで、自閉っ子の会話力が伸びていきますよ!
【目次】
1.自閉症っ子の言葉の遅れにはまず癇癪から対応
2.年長さんの今対応!癇癪を起こしにくくして言葉を伸ばす理由
3.癇癪っ子だった我が子が自分の気持ちを伝えられるように!
4.年長自閉っ子の癇癪を落ち着かせて言葉が伸びるママの対応
①癇癪が起きたら距離を取る
②癇癪を起こしていないときの肯定の声かけ
1.自閉症っ子の言葉の遅れにはまず癇癪から対応
自閉症で癇癪が多く、言葉の遅れがあるのでこれから会話が上手にできるようになるのかというお悩みを抱える親御さん。
自閉っ子の会話力を伸ばすためには、専門家に診てもらう、言語訓練を受けるなどが思い浮かぶと思います。
けれど、どれだけ言葉のトレーニングを重ねたとしても、癇癪を落ち着かせる対応をしていなければ効果は出にくいのです。
自閉っ子の言葉を伸ばすには癇癪を落ち着かせることが先なのです!
癇癪が落ち着くと言葉の発達が加速していきます。
どういうことなのか解説していきますね。
まずは、そもそもなぜ癇癪を起こしてしまうのかについて、脳科学のお話しを少ししていきます。
脳はもともと楽しい・嬉しいというポジティブな感情よりも、怖い・危険というネガティブな感情を優先して記憶するようになっています。
生き残るために、この場所は危険だ、この草は食べてはいけない、などということを記憶するためです。
脳の内側にある扁桃体という脳部位は、感情を司る中枢であり特に原始的なネガティブな感情に深く関わっており、扁桃体周辺を「感情の脳」と言うことがあります。
不安が強かったり、癇癪・パニックがある子はこの「感情の脳」の発達が特にゆっくりなのです。
脳の発達とともに徐々に感情のコントロールができるようになるのですが、感情の脳の発達がゆっくりなため何かのきっかけで「感情の脳」が暴走してしまう=癇癪が起きる状態になるのです。
この「感情の脳」の周りを人間の理性的な脳が覆っているのですが、言葉を司るのはこちらの人間的な脳のほうなのです。
感情の脳が暴走した状態だと、人間的な脳は働きづらく、言葉が伸びていきにくくなります。
感情の脳が落ち着いて始めて、人間的な脳が働きやすくなり、感情をコントロールしたり、言葉などの発達も促していけるようになります。
そして、根本的に癇癪を解消していくには癇癪を起こしたときの対応ももちろん大事ですが、癇癪を起こしていない時間の対応が鍵を握ります。
365日一緒にいてくれるママの声かけと対応こそ、癇癪っ子の会話力を伸ばして行くにはとても大事なのです。
前述した通り、自閉症癇癪っ子の言葉をもっと伸ばしたいのであれば、癇癪を落ち着かせることは今最も優先的に解決すべきものです。
ママも、ひどい癇癪が続いて毎回対応しているとイライラしてしまいますよね。
このイライラという感情は自閉っ子にも伝染しますし、癇癪を悪化させることに繋がります。
そんな悪循環に陥らないためにもママが子どもの感情に巻き込まれなくてすむ対応、声かけを覚えていきましょう。
2.年長さんの今対応!癇癪を起こしにくくして言葉を伸ばす理由
年長さんで癇癪が強く、言葉が遅いと来年度から小学1年生なのに大丈夫かなと心配になりますよね。
癇癪グセを残したまま小学校へ進み、失敗体験が積み重なっていけば自信をなくし、一歩が踏み出せなくなっていきます。
そうするとできる経験に差が生まれてしまいます。
ですが、年長さんの今、ママが対応を変え癇癪を落ち着かせてあげることで小学校でも過ごし方が変わってきます。
まず、癇癪を落ち着かせて自分の気持ちを伝えられるようにしてあげれば、先生やお友だちに理解してもらいやすくなります。
そうすると、自分のペースで課題にも取り組めますし、環境調整等、周りが配慮しやすくもなるので本人も周りの人たちもストレス軽減につながります。
そんな環境の中で疎外感を感じることなく、自己肯定感を育みながら進んで行くほうができることも増えていきますよね。
自信がつけば、またさらに新たなチャレンジができるようになるという好循環も生まれます。
ですので、ぜひ年長さんの今のうちに癇癪を落ち着かせて、言葉を伸ばしていく対応をとっていきましょう!
3.癇癪っ子だった我が子が自分の気持ちを伝えられるように!
私の息子は不安の強い癇癪っ子で言葉がゆっくり、パニックを起こすこともよくありました。
幼稚園の年長のときには癇癪がひどくなり、手が出るようになってしまいました。
同時に登園渋りもひどくなり、家でも幼稚園でも荒れ放題の日々でした。
ところが、日々の声かけや癇癪を起こした時の対応を変えていくと 1週間ほどでひどい癇癪が落ち着き、手が出ることはなくなりました。
そして、気に入らないことがあっても、自分の気持ちを言葉で伝えてくるようになっていったんです。
登園を渋ることについても、それまでは聞いても「イヤだ!わかんない!」としか言えなかった息子が、「ダンスが苦手だからやりたくない」など、幼稚園に行きたくない理由を自分から伝えてくれるようになりました。
他にも要求ばかりだった息子が「ママ見て見て~」と自分の作った物を見せて説明してくれるようになったり、今日は「~して遊んだ♪」と幼稚園のことを話してくれるようにもなりました。
そして何より変わったのは私自身でした。
距離をとったり、正しい対応を覚えたことで、息子の感情に巻き込まれることがなくなったので、毎日イライラして怒りっぱなしだった私が怒ることはほとんどなくなりました。
怒らなくてよくなると、毎日の育児がとっても楽になりました。
4.年長自閉っ子の癇癪を落ち着かせて言葉が伸びるママの対応
では、どうやって癇癪を落ち着かせるのか? 必要な対応は2つです。
◆①癇癪が起きたら距離を取る
1つ目の対応は癇癪を起こしたときは距離を取ることです。
癇癪を起こしているときに、怒る・叱るの声かけは脳に届きません!
驚くことに、怒る・叱ることが子どもにとって、ママから注目してもらえた、というご褒美になってしまっているのです。
ご褒美があると次もまたやりたくなりますよね。
ですので、癇癪が起きてしまったときは、声かけではなく、注目せずに距離を取る、見て見ぬふりをするという対応をします。
癇癪を起こしても自分の要求は通らない・ママから注目もしてもらえない
↓
それでは癇癪を起こす意味がない
↓
結果的に癇癪が落ち着いていく、
ということになります。
距離を取るときのポイントは以下の3点です。
●視線も体も向けない
癇癪に気付いていないように演じます。
●否定的な感情は出さない
ため息など無言プレッシャーは出さないようにします。
●落ち着けたらすぐに褒める
褒めて終わることで、どの行動ならママが注目してくれるのか学習していきます。
◆➁癇癪を起こしていないときの肯定の声かけ
2つ目の対応は、癇癪を起こしていない時間の声かけで感情の脳を育てることです。
癇癪を根本的に解決していくためには褒めの声かけがとても重要です。
脳にしっかりと届く褒め、肯定的な注目をすることが感情の脳を育てていく、癇癪を起こしにくい脳にすることに繋がっていきます!
そして癇癪を起こしにくい脳にすることで言葉の脳がどんどん働くことになります。
上手に褒めていくと素直な脳になるので、ママの指示や提案をスムーズに受け入れやすくもなりますよ。
肯定的な注目をする、褒めるときのポイントは、子どもがすでにできていること・終えていることに注目して褒めることです。
例をあげますね。
●食事の場面で食べこぼしがひどい!床にもこぼれちゃってる!という状況では…
「自分で食べてるね。」
「食べるの楽しそうだね。」
「椅子に座ってるね。」
と、できていることだけ言えばOKです。
「ママのご飯たべてくれてありがとう‼」もいいですね。
できていないことはスルーします。
自閉っ子はどうしても注意されたり、怒られたりする場面が多く、感謝の言葉をあまりかけてもらう機会が少なくなりがちです。
貢献欲求が満たされたり、自分の存在を認めてもらえたという感情が生まれるので効果的な声かけです!
●朝起きて、服は脱ぎっぱなし、片付けもせずテレビを見始めているという状況では…
「自分で起きたね!」
「パジャマ脱いだね!」
「着替えたんだね!」
と、すでにできているところに注目して声かけします。
テレビを近くで見ていることについては、まず「~見てるんだね!」と興味関心を示してあげることで肯定的な注目をします。
その後、「ここまで離れようか」などと指示を出すと素直に聞いてくれますよ。
今は褒めるところが上手く見つけられない、と心配しなくても大丈夫です。
できているところはどこかな~と普段の生活の中で観察していると徐々に慣れて見つかるようになっていきます!
こうして良いところに注目して褒めるという関わり方をしていくと、ママとのコミュニケーションがスムーズになって行きます。
すると、感情の脳が育っていき、言葉の発達が加速していきます!
癇癪っ子は決してママを困らせたくて癇癪を起こしている訳ではなく、ママにSOSを出しています。
自分の気持ちをうまく伝えきれずに苦しい思いをしていますよね。
ママも同じく、我が子を分かってあげられないこと、どう対応したらいいのか悩んだり苦しい思いをしている方も多いと思います。
自閉っ子親子の癇癪の困りごとを根本的に解消して、会話力を伸ばし、それぞれに「楽しかったね」、「ドキドキしたね」と気持ちを伝え合う会話ができるようになる、そんな未来を叶えていきましょう!
発達障害・グレーゾーンの様々なお役立ち情報が学べます!
執筆者:東原あや
(発達科学コミュニケーショントレーナー)
(発達科学コミュニケーショントレーナー)