書き写しが苦手な発達障害・学習障害の子どもへ少しの工夫で「やりたくない」を解決!

発達障害・学習障害は子どもによって困難さは様々です。ADHDグレーゾーンの小学生の息子も宿題の書き写しが特別苦手。今回はそんな文字の書き写しや読み書きが苦手なお子さんに効果のあった、ママのちょっとした工夫についてご紹介いたします。
 

【目次】

 

1.発達障害・学習障害の子どものつまづきは様々です

 
 
最近は授業にタブレットが導入されている学校はあるものの、宿題は多くの文字を手書きで書き写さなければいけないのが現実ですね。
 
 
小学校1年生で学ぶ漢字は80字、2年生は160字。なんと倍です。小学校6年間で学ぶ漢字だけでも1026字!!数字にするととても多いですね。
 
 
そんな中、発達障害の子どもの中には、脳の特性から学習に困難さのある子どもがいます。
 
 
学習障害というと、知的な発達の遅れはないものの読むこと、書くこと、計算することなど、学習の特定の部分だけが苦手というふうに考えてしまいます。
 
 
けれども、実際には学習障害(LD)の診断はないものの不注意や感覚過敏が原因で学習に支障をきたしている子どもも多くいるのです。
 
 
 
 
周りからみて分かりにくい学習の苦手さがあると、理解されない苦しさを1人で悩んでいる子どもがいるかもしれません。
 
 
今回はそんな子どもが少しでも困難さから解放されればと思い、私のやってみた工夫をお伝えします。
 
 
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2.文字の書き写しだけはやりたがらない息子

 
 
私の息子は、発達障害・注意欠陥多動性障害(ADHD)グレーゾーンの小学2年生です。
 
 
息子は、2歳くらいから数字や文字に興味を持ち、今でも勉強に明らかな遅れはありません。
 
 
学校の授業を普通に受けて新しい漢字を覚えてきますし、宿題のドリルの穴埋めも問題なくできます。
 
 
また、読むことについても、スムーズに読めて苦労はないようです。
 
 
しかし、そんな息子がお手本にある文字を見て書き写すことだけは、とても苦手だと言ってやりたがらないのです。
 
 
宿題に書き写しがあるのにやらないのでは、いつまでたっても宿題が終わりません。
 
 
息子に書き写しをやりたくない理由を聞くと、
 
 
「文字が多すぎて頭が痛くなる」
 
「手本が見づらくて、はねやはらいがわかりづらい」
 
「面倒くさい!!」
 
 
と言うのです。
 
 
そんな息子に対して、「将来は勉強自体が嫌になってしまうのでは?」という不安から「やらなきゃ困るのは自分だよ!!」と、強い口調で指示ばかりしていました。
 
 
 
 
私の指示に対し息子は素直にやったかというと、当然、反抗してきました。
 
 
ノートを手でぐちゃぐちゃに握りしめ、鉛筆は投げる、「もー!嫌だ!!」と叫び、その声に「どうした、どうした?」と側に寄ってきた妹にまで「来るんじゃねぇ!!」と暴言を吐き、散々でした。
 
 
普段は優しい子なのですが、気に入らないと感情をコントロールすることが難しい。ADHDグレーゾーンの息子との関係は悪くなるばかりです。
 
 
そこで、まずは息子が書き写しの宿題をやりたくないという理由を深掘りして対策を考えてみました。  
 
 
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3.読み書きに関わる見づらさとは?

 
 
発達障害の子どもの中には視覚過敏がある子がいます。
 
 
息子も、3歳で弱視と診断され眼鏡で矯正中ですが、光に対してとても敏感で、電気の明るさや日光が眩しすぎると嫌がることがありました。
 
 
「手本が見づらい、はねやはらいがわからない」という息子の言葉から、もしかすると視覚過敏で見えにくくなっているのでは?と考え、まずは書体について調べてみました。
 
 
すると、息子の書き写しの宿題の手本は、担任の先生が独自で用意したと思われる、楷書体に近い書体の手本でした。
 
 
そのお手本を見ながら文字を書いていた息子は、そっくりそのままの字を写そうとカクカクした字で書き写していたのです。
 
 
 
 
鉛筆書きのような書体ではない手本を見ながら、鉛筆で字を書くわけですから、本人が言うように見えづらいのではないかと思いました。
 
 
実際、楷書体は字によって太さが違うところがあり、弱視や高齢者には細いところが見えにくく、「文章を読みたくない」「気持ち悪い」と不快感を感じる人もいるようです。
 
 
息子も、まだ言葉では言わなかったものの、似たような感覚があるのではないかと感じました。  
 
 

4.ちょっとした工夫で苦手が楽になる方法

 
 
人によって、見やすい書体、見づらい書体があるということを知ってから、周りの大人がサポートできることを考えて実践してみました。 
 
 

◆お手本を見やすい色で書いてみる

 
 
お手本が見えづらいのであれば、お母さんが手書きでお手本を書いてあげると、お子さんには見やすくなるかもしれません。
 
 
お母さんが手本を書くときは、黒の鉛筆でも良いのですが、本人にとって見えやすい色、例えば、青色やエンジ赤色の方が目がチカチカせずに見やすくなります。
 
 
息子には、青色と好きな緑色、しかも、はねやはらいが見えやすいようにとフェルトペンを使って手本を書いてみました。
 
 
すると、好きな色で書いたことで息子はやる気も上がってきたように感じました。
 
 
お母さんが、手本を見て写すのが難しいのであれば、お子さんの見えやすい書体をトレーシングペーパーで手本をなぞったり、コピーを利用するのもいいですね。  
 
 
 

◆ 書く行だけ見えるようにする

 
 
ADHDの特性として不注意性が高いので、宿題を行う環境作りは重要です。
 
 
さらに集中して取り組むためには、必要ないもの、使わないものは視界に入らないようにすることも大事です。
 
 
書き写しに関しても同じで、お手本の文字が多すぎると注意が向きにくくなってしまいます。
 
 
そこで、リーディングトラッカーといって、見たい部分だけが集中して読めるものを真似て、手本用のリーディングトラッカーを作ってみました。
 
 
作り方は簡単。
材料はよく家庭にもある、クリアファイルを使います。
 
 
そのクリアファイルをお手本の3行分くらいの幅に切ります。
 
 
そして、そのクリアファイルの両端をマスキングテープやカラーテープで前後の行が隠れるように貼ったら完成です。
 
 
材料があれば、5分以内にできますから、忙しいママ、ズボラな私でもすぐできます!
 
 
息子は「見やすい!!どの行を書いているかわかりやすいよ!!ママありがとう!!」と言ってくれました。
 
 
市販品もありますし、サイズ違いで作って本読みの時にも使えるのでお勧めです。  
 
 
 
 
 

◆担任の先生に協力を依頼する

 
 
やはり担任の先生に息子の現状を知っていただくことは重要です。
 
 
今までは、ある程度息子の特性についてはお伝えしていましたが、具体的な書き写しの問題についてはお伝えしていませんでした。
 
 
伝えていないことで、「どうしてやってないんだ」とか「もっと丁寧に書きなさい」なんて叱られたりして、息子のやる気をそがれては大変です。
 
 
そのため担任の先生には、書き写しが苦手なこと、書き写しの宿題については字数を減らしてほしいこと、書けなかった部分は、家庭でサポートすることをお伝えしたところ承諾していただきました。
 
 
息子にあったサポート対策を実践したところ、だんだんと書き写しの宿題をスムーズにできることが増えてきました。
 
 
しかし、毎日スラスラやって苦労しないというわけではありません。
 
 
他にやりたいことがあると、そちらを優先してしまうこともありますし、面倒臭い気持ち、やる気が起こらない日も正直言うと多々あります。
 
 
本人の負担にならないように、できている所に注目し、成功体験を増やすことも重要だと考えているので、今も無理やりやらせることはしていません。
 
 
今回ご紹介した工夫は、発コミュで学んだ適切なコミュニケーションを同時進行しているので、徐々に息子のやる気や、落ち着きが前よりも出てきたのだと感じています。
 
 
普段の適切なコミュニケーションを通じて、少しの工夫で「できた!」を増やす。
 
 
これからも学校の勉強だけでなくいろんなことに自信が持てるようにしてあげたいです。  
 
 
 
 
 
 
学習障害への困りごとも工夫次第で緩和します!

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執筆者:たみず なな
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
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