「チクチク、ザラザラが気になる!」という触覚過敏のお子さんに困っていませんか?無理矢理に服を着せようとすることは返って逆効果。親子の毎朝のイライラを無くして、お子さんがスムーズにお着替えできるようになるママだからこそできる方法があります。 |
【目次】
1.ザラザラ、チクチクが気になる娘に疑問だらけの私
私には、服の着心地にとても敏感な現在小学生の娘がいます。
3、4歳頃までは姉のおさがりの服を何でも着てくれていたのですが、幼稚園の年中になった頃から服の肌ざわりを気にかけるようになりました。
通っていた幼稚園は制服で、ポロシャツを着用する園に通っていたのですが、ポロシャツのザラザラ、デコボコした感覚を嫌がるように…
お着替えが原因で朝からイライラ、不機嫌になることも多々ありました。
一度着てみては、「なんかこの服気になる…」
他のサイズが大き目のポロシャツを試しても、「これも気になる!」
という感じで、あれもイヤ、これもイヤ!と、朝は何度もお着替えしなければいけないことが多々ありました。
私は、その度に
「え?この前買ったばかりなのに!」
「サイズはちょうどいいハズだから大丈夫!着てごらん!」
という言葉をかけていたのですが、しまいには、
「これを着ないと幼稚園行けないよ!」
「そんなことよりも、時間がないから一瞬だけ我慢してごらん!大丈夫だから!」
と、キツイ言葉を投げつけてしまったり、我慢をさせて無理にでも着替えをさせてしまったりすることが多々ありました。
私は自分の都合で心の中では「来年にはサイズアップするんだから、今さら買うのも勿体ないし。ある服を着て欲しい…」と、娘の立場で考えてあげることができていなかったのです。
なぜなら、娘の感覚は自分と同じ。多少気にはなっても我慢するとちゃんと着ることもできるし、着替えさえしてしまえば抵抗をしなくなるというふうに解釈していたからです。
しかし、年齢が上がり小学生になっても服の着心地への抵抗感は治まらず、娘は自分が安心して着ることができるお気に入りの服だけを着回していました。
服だけでなく、靴下や靴、上靴、手袋など身体に接触するもの全般に対して気にかけるようになっていったので、さすがに私も、「娘は皮膚から受けとる刺激にとても敏感な子なんだな」と感じるようになりました。
生地に配慮して綿100%や凹凸のない生地の服選びを徹底したり、肌への密着が少ないズボンを探したりと工夫をしていたものの、
なんでこんなに気になるんだろう?
同じ服ばかり着て、飽きないのかな?
という、他人事の感覚でしか娘のことを気遣うことができませんでした。
わが子なのに、わが子が不思議…。
と、もやもやを感じていた時に小学1年生の時にようやく娘には自閉症スペクトラム(ASD)の特性があるということを知ったことで、娘の着替えへの抵抗や服へのこだわりの理由をやっと自分ごとのように理解できるようになりました。
娘のように、服を着ることに違和感があって、我慢しなければならない。ちょっとした凹凸も皮膚への刺激となり気になってしまう。というような皮膚への過敏がASDの特性としてある子もいるということを知ったのです。
2.触覚過敏は我慢しても改善しない理由とは
娘は、セーターのチクチク感やタートルネックの服の首の締め付け感、下着や洋服のタグ、靴下などの刺繍の裏地の凸凹やボタンの凸凹感などが気になるようです。
このように、不快感を抱くほど過敏なことを触覚過敏といいます。その他にも、冬でしたら服に袖を通す際のヒヤッとする感覚も苦手です。
なぜ、服を着れないほどに過敏になるのか?というと、皮膚接触する脳のエリアがまだ発達していないから。
発達障害の子の場合、飛びぬけて得意な脳の部分もあれば、まだ成長がゆっくりな部分もあるというのが特徴。
触覚過敏に関しては、皮膚接触する脳のエリアがまだ未熟な状態なので、刺激を正しく脳が受け取ることができず、過敏が起こるということです。
発達がゆっくりということは鍛えていくことで徐々に過敏も薄れていくということ。触覚過敏は脳の発達に伴ってとれていきます。
かといって、じゃあ脳を鍛えよう!と急ぐのは禁物。
子どもがストレスを受けると、余計な負荷がかかってしまい脳の成長を停滞させてしまいます。トレーニングをさせようという感覚で捉えないことがポイントです。
お子さんの嫌悪刺激に感じることを緩和させてあげるという感覚で対応していきましょう!
これから、実際に触覚過敏のある娘がスムーズにお着替えできるようになった方法をご紹介させていただきます。洋服に対して敏感でお着替えが苦痛になっているお子さんへの参考になれば幸いです。
3.皮膚刺激に敏感な子が服をスムーズに着れるようになる一番の近道とは!
お着替えする度に労力を使っていた娘と私でしたが、ほんのちょっとの意識の変化でお互いの気持ちが楽になり娘の着替えがスムーズになった方法をお伝えします!
服に対しての対策はいろいろとネットでも検索をすれば沢山方法が出てくると思いますが、私がお伝えしたい一番大切なことがあります。
それは、ママが特性を理解することです。
私自身、娘がなぜ服を着ることにここまで神経質になるんだろう?と、疑問に感じていた時は、まだ娘のことを理解できていませんでしたのでどうしても否定的な目で見てしまったりすることもありました。
ですが、脳の発達に関連しているからだという理解をできてからは、今まで娘へ投げかけてきた私の冷たい言葉に深く反省しました。
一番大切なポイントは、お子さんがどのような感覚をいつも感じているのかということを理解して工夫したり、お子さんがどうすれば気持ちよく服を着ることができるかという対策を一緒に考えていくことだと思います。
お子さんの感覚をそのまま共感することは難しいことかもしれませんが、わがままでも大げさに表現している訳でもなく、苦痛な感覚なんだということを理解する努力をすることができれば大丈夫です。
お子さんの逆の立場で例えると、たとえば冷え性のお母さんのことを子どもは理解することが難しいかもしれませんが、周りのみんなは寒くなくても、お母さんは寒いんだねということを理解してもらえると、心はぽかぽかになりますよね。
このような安心感が、お子さんにとっての触覚過敏の刺激を緩和する材料の1つにもなります。
これは、嫌悪刺激を緩和させることには快刺激が有効なのですが、お子さんにとって大好きなお母さんの存在が自分のことを解ってくれる安心できるママであることで、お母さんが発する言葉を受入れやすくなるのです。
まずはお母さんご自身が、お子さんが触覚過敏で悩んでいるということを受け入れることができると、お子さんへかける声かけも自然にお子さん目線の言葉に変わっていくと思います。その言葉の安心感が過敏が緩和される材料になるのです。
うちの娘は今でも、この服は気にせず着ているから大丈夫そう!と思っていた途端に、生地は大丈夫でも外側の装飾が突然気になるということもあり、つい先日娘が訴えてきたことがあります。
「肩のところに、ヒラヒラが付いているから気になる」
今までの私の対応でしたら、「ヒラヒラは外側についてるだけだし、肌がかゆくなったり気にならないんなら着れるんじゃない?」
という感じで、娘の言葉を素直に受け入れずに反論していたと思います。
ですが、私はこのように娘に返事をしました。
「あ、そっかぁ、このヒラヒラが気になるんだね。確かになんか飾りが付いてると気になって嫌だよね~。」
というふうに共感の返事をして、他の服へ取り替えてあげると他の服はすんなり着ることができます。
洋服の飾りは皮膚に直接接触しているわけでもなく、縫い目もほとんど気になりそうな感じではなかったのですが、外側の飾りなどの凹凸も苦手だということがわかりました。
今回のこの服はもう着ることはないかもしれないですが、次からは飾りのないシンプルな形のものを選んだ方がいいということを学べました。
その他には、冬の寒い時期にはの服に袖を通した時に感じる冷っとする感覚も苦手だということを解っていたので、温かいヒーターの前に着替えの服を用意しておくと安心してくれます。
服を温めてから着替えをできる工夫をしたことで、ひんやりする時期でも素早くお着替えできるようになりました。
このように、お母さんがお子さん自身になり代わったくらいの感覚でお子さんとのコミュニケーションを大切にしながら接することで、本人が気になることを共有できる関係を保つこともできます。
どんな着心地が嫌なのか、どんな服だと抵抗があるのかということをお子さん自身もお母さんもお互いが認識して、それを次からは改善できるようになることで不快感の元を取り除いていけます。
単発でいろいろとしのぐ方法ももちろん必要ですが、お子さんとしっかりコミュニケーションをとることでお子さんの困りごとを一緒に解決していくことのできる親子関係であることが、簡単にお子さんの脳の成長を発達させていくことにも繋がります!
脳の皮膚接触の部分の発達が成長していくと、徐々に触覚過敏も薄れていきます。ぜひお子さんと同じ視点に立った安心できるコミュニケーションを意識してみていただけたらと思います。
お母さんの安心できる声かけでお着替えへのイライラを和らげてみてくださいね!
その他の感覚過敏に関する情報はこちらから随時配信していきます!
執筆者:おおむらさえ
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)
(発達科学コミュニケーションリサーチャー)