IQは高いのになぜ会話が通じない!?(上級編)ーー発達障害・グレーゾーン子どもの勘違いに対応しようーー

「“お願いだから、変な言葉遣いはやめて!”としょっちゅう思います」このお悩み、発達障害・グレーゾーンのお子さんをもつお母さんたちから何度聞いたことか…。彼らに起こる「独特な言葉の発達」、一緒にいる人たちはヒヤヒヤします。今日は上級編。手強い症状に切り込みます!
 

【目次】

1.発達障害あるある!?言葉がもっているニュアンスに気づけず…
2.発達障害・グレーゾーンの学習能力
3.上級編:ニュアンスを含む言葉の教え方~2つのポイント~
◆ポイント1.知識の記憶を作る
◆ポイント2.1対1のシチュエーションで教える
4.発達障害・グレーゾーンの子どもの「伝えたい気持ち」を育てる

 

1.発達障害あるある!?言葉がもっているニュアンスに気づけず…

 
 
発達障害の言葉の発達で起こりやすいのは意味を勘違いしたまま単語を学習してしまうことです。
 
 
初級編と中級編は、言葉の裏を読めないことへの対応なので、指示を出す方の言葉遣いを変えるだけで簡単にトラブル解決できるものでした。
 
【初級編】
 
【中級編】
 
 
ところが、この上級編の困りごとは、本人が言葉を間違って覚えてしまっているので、こちらの言葉遣いを変えただけでは対応できません。
 
 
だからこそ手強いのです。どちらかと言えば、年齢が高くなってきたときに起こりやすいトラブルですね。
 
 
 
 
「行く」「来る」
 
 
「あげる」「もらう」
 
 
「おかえり」「ただいま」
 
 
というような「やりもらい言葉」を、逆に覚えてしまうミスは有名です。さらに、慣用句的のような文脈の影響を受ける言葉は、も~っと苦手なのです。
 
 
例えば、こんな例。
 
 
発達障害・グレーゾーンの子どもS君とお母さん、ママ友とそのお子さんF君の4人で遊んでいます。子ども2人は小学校高学年。
 
 
通信ゲームをしている最中に、F君のミスで、S君に迷惑をかけてしまったようでした。
 
 
F君のお母さん(ママ友)は、S君に声をかけます。
 
 
ママ友 「S君、ごめんね~」
 
 
S君  「いや、別に全然大丈夫だよ!」
 
 
ママ友 「本当?ありがとうね」
 
 
S君  「仕方ないんだよ。このゲーム、F君はズブの素人なんだから」
 
 
なんとも微妙~~~な空気が流れます。あるいは、ママ同士の笑いが起きる場合もあるでしょう。
 
 
S君は、ミスをしたF君のフォローをしたつもりです。本当は「F君はまだ慣れてないから仕方ないよ」と言いたかったのでしょう。本来なら微笑ましい場面です。
 
 
でも「ズブの素人」って、普通は自分のことをへり下るときに使う言葉。
 
 
あなたって、ズブの素人ね
 
 
と使えば、相手を蔑むようなニュアンスに変わってしまう言葉ですよね。こういう変な言葉遣い、発達障害あるあるです。
 
 
辞書を見れば書いてあるのかもしれませんが、聞いて覚えた言葉は、正確な用法は説明されていません
 
 
空気を読めない子が、状況やニュアンスを把握せずに言葉を覚えてしまった結果、自分が使う場面では文脈を間違えて使用してしまうのです。
 
 
このとき、事実であるかどうかは関係ないですよね。確かにF君は「ズブの素人」なのかもしれません。でも、事実だからと言ってその言葉を使っていい、ということにはなりません。
 
 
これ、子どもだけでなく、大人でも同じような間違いがあります。
 
 
子どもなら笑って済ませられますが、接客業をしている人にとっては、とても大きな問題になります。だから上司の方は、いつもヒヤヒヤしているんです。
 
 
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2.発達障害・グレーゾーンの学習能力

 
 
この問題に対応しようとするとき、ネックになるのが「発達障害の学習の特徴」です。最初に覚えたことが強固に残って、記憶をなかなか変えられないんです。
 
 
言葉を間違えて使っているのを見つけて、「違うよ、本当の意味は○○だよ」と言っても、なかなか直りません
 
 
だからと言って、言わなければ本当に直らない。発達障害の対応は、私は3段階くらいに分けています。
 
 
 
 
① こちらの対応を工夫して、当事者が適切に行動できる環境を整える
 
 
これはニコニコで対応できます。初級・中級はここでしたね。
 
 
② 本人が気づけないことは、きちんと教える
 
 
これは穏やかな顔つきで教えます。
 
 
③ 許しがたい行動は、きちんと叱る(と言っても、教えるに近い)
 
 
これは真剣な顔つきです(感情的な顔つきではありません)。
 
 
暗黙のルールがわからないからこそ、このような言葉の間違いには、②で対応するのがベストです。
 
 
ズブの素人って言っちゃいけないの。分かるでしょ?
 
 
と言っても、発達障害・グレーゾーンの子どもには分かりません。でも、間違った記憶を上書きするのも至難の技。
 
 
だから、上書きじゃなくて「新規の記憶を保存させればいい」のです。
 
 
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3.〜上級編〜ニュアンスを含む言葉の教え方~2つのポイント~

 
 
子どもや大人が、もうすでに持っている記憶を「違うよ、本当はこうだよ」と教えるのは大変。だから、新しい記憶を作ります
 
 
そのときのポイントが2つあります。
 
 

◆ポイント1 知識の記憶を作る

 
 
発達障害の子どもや大人の多くの記憶は、知識の飲み込みは、比較的良好だという特徴があります。
 
 
厳密にいうと、発達のタイプによってやや異なるのですが、特にアスペルガーや自閉症スペクトラム(ASD)と言われていた人たちによく当てはまります。
 
 
反対に、状況の記憶は抜け落ちやすい人が多いようです。「えっ、そんなことありましたっけ?」みたいな。
 
 
だから、「あれだけ失敗したのに学習してないね」ってこともよくありますよね。宿題を忘れてめちゃくちゃ叱られたのに、翌日また忘れる…とか。
 
 
ですから、辞書に1つ情報を加えるように教えると、覚えてもらいやすいです。つまり、ダラダラと理由を並べたりせずに、結論だけを、簡潔に本人に伝えるとうまく行くのです。
 
 

◆ポイント2 1対1のシチュエーションで教える

 
 
発達障害の記憶は「1対1」が基本です。それはお勉強でも、社会スキルでも同じ「1 対 複数」は超苦手です。どのケースに、どの知識を使えばいいのか、分からなくなるからです。
 
 
ですから、本当は「ズブの素人」は、
 
 
自分に対して使うとき
 
相手に対して使うとき
 
 
2つ用法がありますが、1回に教えていいのは、1つの用法までです。2つ目の用法は、1つ目の用法をマスターした後に追加すれば、混乱しません。
 
 
上記の2つのポイントを合わせると、次のような教え方になります。
 
 
ズブの素人は、自分のことを言うときに使います。
 
 
以上。
 
 
余計な情報をベラベラ言ってしまうと、ますます覚えられません。
 
 
追加するとすれば、自分を指さしながら「ズブの素人は、自分のことを言うときに使います。」を本人にも言わせることくらいでしょうか。
 
 
言葉+動作で、記憶を新たに作るのです。
 
 
 
 
有名スポーツ選手のように、子どもの記憶を作るときの「ルーチン動作」を決めてもいいかもしれませんね。
 
 

4.発達障害・グレーゾーンの子どもの「伝えたい気持ち」を育てる

 
 
言葉の間違いが多くなると、その間違いを指摘される機会も多くなります。そうすると、だんだん喋らなくなる子どももいます。
 
 
特に自閉傾向のある人なら、話すことをためらい始めます。これだけは避けたいですね。
 
 
言葉の字面と意味がズレちゃう、発達障害・グレーゾーン。このことは、人の言ったことを理解するときだけでなく、自分が話す場面でも起こります。
 
 
だから、人の言ったことを誤解するだけでなく、自分が言ったことが誤解されてしまうことも頻繁に起こります。
 
 
そんなつもりじゃなかったのに…(涙)。と思いながら叱られ続けているのです。
 
 
もし、お子さんが言葉の使い方を誤っていたとしても「~って言いたかったんだね♡」と
 
 
・伝えたい気持ち(意味)を受け止めた後で、
 
 
・さらっと正しい用法(字面)を示して、
 
 
・新しい記憶を作る。
 
 
この態度が、コミュニケーションから子どもを遠ざけないコツです。
 
 
 
 
子どもが言ったこと(字面より中身)に対して、きちんと反応をしてあげれば、子どもは「この人にもっと話したい!」と思い、おしゃべりが活発になります。
 
 
あまり難しく考えず、言葉尻(字面)に神経質にならずに、会話の中身(意味)を楽しむことが、子どもの言語発達の第一歩です。
 
 
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執筆者:吉野加容子
(発達科学コミュニケーショントレーナー、学術博士、臨床発達心理士)
 
 
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